SPUR11月号では、10月5日から上野の森美術館でスタートするフェルメール展にちなんで「拝啓、フェルメール様」と題した名品図鑑の企画を担当しました。
手紙にまつわるモチーフを好んで描いたフェルメールへ、SPURからのラブレターとして、もしも現代にフェルメールが生きていたらこんな名品を描いてほしかった!というアイテムをフェルメール的な光とともに切り取って提案します。そして、この企画のキモは、作家・原田マハさんによって創作していただいた"フェルメールへの手紙”。今回のテーマの奥行きを何倍にも広げる素敵なラブレターですのでこちらをぜひお見逃しなく。
今回、アートがテーマだったので「原田先生に!」とストレートに原稿のお願いをしたのですが、なんと偶然にも原田マハさんが掌編小説を書き下ろし、その物語をもとにデザインされたコレクションを発表する新進ブランド「エコール・ド・キュリオジテ」の今季のテーマもフェルメールなんだそう。写真はルックブックの中からの一枚です。フェルメール・ブルーの深い色合いが美しいコートを着た女の子は、17世紀の街角に画家を夢見るボーイッシュな女の子がひっそりたたずんでいるようでもあり、現代のパリにいるモダンな女性でもあり、その物語を想像させるような服作りがまさに、エコール・ド・キュリオジテらしいスタイルです。そのほかにも、ヴィンテージなムードのブラウスや、ワークコートなど、それを着た女性のストーリーを想像したくなるようなアイテムがたくさん。そして、ここでも合わせて読むべきは、原田マハさんによる物語。読むとその服はストーリーを持って寄り添い、着る人はもっと愛しくなるはず。物語からうまれた服を人が手にとり、さらにそれが新しい物語の始まりとなる。ほかにはない新鮮なコラボレーションですが、その服との向き合い方はモードを愛する人の真理でもあるな、と改めてフェルメールのコレクションをみて実感しました。エコール・ド・キュリオジテのサイトから掌編小説と今季のコレクションは見られるので、今月号の特集とともにぜひチェックしてみてください!
ファッションと占い担当。おしゃれは我慢、ができないので、着心地重視。休みの日は、大体インテリアのことを考えています。