「凪のお暇」がある世界に生まれてよかった

そう思えるくらい、大好きな作品です。コナリミサト先生の漫画「凪のお暇」(秋田書店)。現在連載中で、先日5巻が発売されたばかり。まずかんたんなあらすじをご紹介します。主人公は事務職で働く28歳の大島凪。チラチラマウンティングしてくる同僚に「わかる」を繰り返し「空気、読んでこ」という毎日。唯一の趣味は節約。とあることがきっかけで過呼吸になり、会社を辞め身の回りのものを一切捨てしばし「お暇をいただく」ことから、物語は進んでいきます。

とにかくキャラクター造形がリアルなんですよね。いるいるこんな人……!とめちゃくちゃ頷きながら読み進めています。ああ、女子同士の会話ってたまにこうやって無言の圧を感じるよね、とか何気ないひとことが心に大きな跡を残すんだよね、とか。セリフ回しやモノローグの言葉選びにはっとさせられる。作者のコナリさんは人のことをすごくよく観察している方なのですよね。ただ、凪にとっては追い詰められる原因となった周囲の人々も、完全な悪人というわけではない。それぞれが悩みを抱えながら生きていてちょっとずつ共感できるんです。たとえばコミュニケーション上手で営業部のエース、なのに凪に攻撃的な元彼。最初こそ「なんでこんなひどいこと言うの!!」と読み手として憤慨するものの、だんだんその不器用な人間像が明らかになるにつれてむしろ好きになってくる。人間っていろんな側面があることを改めて思い知るのです。

近年大流行したドラマ「獣になれない私たち」も「逃げるは恥だが役に立つ」も、「こうあるべきである」という“呪い”と戦ったり、解放されたりする話だと感じていたのですが、この漫画もそう。気づかないうちに世の中に蔓延するいろんな呪いと戦う、現代を生きる人々の物語だな、と私は思っています。色々と書きましたが本当にシンプルに面白い作品なので、もっと多くの人に読んでもらいたい!と絶賛ひとりで布教活動中です。

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エディターSAKURABA

好きな服は、タートルネックのニットと極太パンツ。いつも厚底靴で身長をごまかしています。

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