そうだ細見美術館、行こう。

京都に細見美術館という美術館があるのをご存じですか? 茶の湯にまつわるものから琳派や伊藤若冲などの江戸絵画など、日本美術の粋を集めた素敵な場所。もちろんこの美術館だけでも行く価値ありなのですが、4月21日まで『石本藤雄展 マリメッコの花から陶の実へ-琳派との対話-』を開催中です。

石本さんは、愛媛県出身の78歳。「マリメッコ」のテキスタイルデザイナーを経て、現在もフィンランドの陶器メーカー「アラビア」のアート部門の一員として、作陶を続けている方です。2年前に愛媛県を旅したときに、石本さんがプロデュースしたショップ「MUSTAKIVI(ムスタキビ)」を訪れて以来、ささやかだけれども芯の強い可愛さに魅了されていたので、さっそくこちらの展覧会に行ってきました。

奥に置かれている屏風は、鈴木其一の《水辺家鴨図屏風》。最初に細見美術館での展示が決まった際に、石本さんがこの作品を見て、家鴨のころころと丸く愛らしい姿と自身の作品《冬瓜》に似たものを感じ、今回の琳派の作品と自身の作品を対峙して展示するというコンセプトを思いついたそうです。

こちらは酒井抱一の《槇に秋草図屏風》と石本さんの《色皿》。色とりどりの釉薬が美しい陶器と屏風に描かれた草花のにぎやかさが呼応しています。「置いてみて、ビジュアル的なコミュニケーションがあるなと思った」と石本さんご自身が展示解説で語っていました。

この展覧会の興味深いところは、石本さん自身の目に琳派の作品がどう映っているか、が垣間見えるところ。思ってもみない表現をするアーティストの方々に対し、「この人の目には世界はどのように見えるのだろう」と不思議に思うことがよくあるのですが、今回の展示では、石本さんの視点を感じつつ、さらに本人の作品も同時に並べるという対話が試みられているので、二重三重にも作品を味わうことができるんです。

「マリメッコ」時代のアイデアのスケッチも展示されています
「マリメッコ」時代のアイデアのスケッチも展示されています
美術館に飾られている「マリメッコ」時代の初期に発表したテキスタイル「Onni(オンニ/幸せ)」。館のあちこちにテキスタイルが飾られ、訪れるだけで楽しい気分になります
美術館に飾られている「マリメッコ」時代の初期に発表したテキスタイル「Onni(オンニ/幸せ)」。館のあちこちにテキスタイルが飾られ、訪れるだけで楽しい気分になります

今年の6月には、東京でも京都とは違った形での石本さんの展覧会を予定されているそうです。78歳の今も進化する可愛い情熱に、ぜひご注目ください。

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エディターMORITA

物心がついた時からパンツ派。今、一番興味があるのは、どうやったら居心地のよい部屋で暮らせるのか。美容、アート担当です。

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