『ブラック・クランズマン』 2019年3月29日現在、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開中。配給:パルコ
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ただいま公開中の映画「ブラック・クランズマン」。ブラック・エクスプロイテーションのムードを感じさせて、しかもスパイク・リー監督! という時点でワタクシ個人的に大好物な匂いがプンプンなわけですが……やっぱり観て大正解でした!
1970年代に街で初めて黒人刑事として採用されたロン・ストールワースが、白人至上主義団体KKKに潜入捜査。とはいえロンが実際に団員に会うわけにいかないので、白人刑事のフリップ・ジマーマンがロンのフリをして潜入する、というお話。
ロンさんは実在の方で、潜入捜査も実話という驚きの設定。そこにローラ・ハイラー演じるとびきり可愛いブラックパンサー党女性幹部とのロマンスや、懐かしの音楽や、ハラハラの活劇が絡んでエンタメとしてもバッチリ。
映画を楽しく観ながら、差別の歴史についても勉強になる。KKKはユダヤ人も差別していたんだ! とか、ジェシー・ワシントンのリンチ事件など「恥ずかしながら知りませんでした!」という要素がたっぷり盛り込まれています。映画にも登場する実在のKKK最高幹部、デビッド・デュークはさまざまな問題で差別意識をくるみ、政治を通じて憎悪を人に植え付ける存在で、トランプ大統領が誕生した今の世の中の背景もよくわかります。スパイクなので当然黒人差別に強くフォーカスしてはいますが、「憎しみの連鎖はやめよう」というのが一番のメッセージ。からの、エンディングはプリンスが弾き語る黒人霊歌。しびれます。
スパイクといえば個人的に大好きな映画は『モ‘・ベター・ブルース』ですが、主演のデンゼル・ワシントンの息子ジョン・デヴィッド・ワシントンが今回の主役を演じるというのは感慨深いものが。『モ‘・ベター・ブルース』のラストシーンのブリークみたいに、デンゼルも息子の演技を見守っていたかもしれません。これまた大大大好きなアダム・ドライバー演じるフリップは、ユダヤ人であるアイデンティティと向き合い、差別主義者からの罵声を浴びながらも静かに葛藤する役柄。抑制した演技からダダ漏れる色気にうっかり陥落。この色気ダダ漏れフリップとロンの潜入捜査を応援するおじいちゃん刑事が、ジミー。ジミーなだけにとても地味〜な役柄なのですが、ハードな内容に「ほっこりスパイス」を加えていて。誰かと思ったらなんとスティーブ・ブシェーミのご兄弟のマイケル・ブシェーミが演じていました! そんなところもツボです。
アクション・エンタメファン、社会派映画ファン、ブラックカルチャーファン、スパイクファン、プリンスファン、アダム・ドライバーファン、スティーブ・ブシェミファンと全方位(?)向いた『ブラック・クランズマン』は、もう観るしかないです!
ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。