この冬、ヘビロテで着ているニットがあります。新進気鋭のニットデザイナー、具志堅幸太さんのデビューコレクションを見て、一目ぼれしたもの。彼はセントラル・セント・マーチンズの2016年の卒業コレクションで注目された逸材。作品が見たくて、ブランドがデビューする前に一度お会いしたことがあるんです。強そうな名前とは裏腹に、物腰の柔らかい好青年で、真摯にモノづくりに向き合っている姿がとってもいいな、と応援したくなりました。そのとき履いていたレースアップシューズのくたびれた感じもかっこよくて、どこで買ったのか尋ねたら「ブランド表記はどこにもないけど、実は、ドクターマーチンが英国の地下鉄職員のために作っていた靴なんです」と。そのエフォートレスな姿がとても印象に残りました。
念願のブランドがスタートしたこともあって、楽しみに見に行くと、想像以上に良かった。クリエイション、熱量、リアリティが見事に融合していて、こんなニット、みたことない!という驚きも。私が選んだのは、弾力のあるニットのプルオーバー。ニットなんだけどスウェット風のデザインがいいなと即決。袖や裾にほんのりチェック柄がにじむ仕掛けも楽しい。
先日、ベテランのカメラマン、スタイリストと打ち合わせ中、こんな話題になりました。「素敵な服はたくさんあるのに、なぜ欲しくならないんだろう?」と。そこで、欲しくなるのはどんな服かを考えたら、「背景がある服だ!」と満場一致。デザイナーの哲学や想い、パッションが注がれたものに、きちんとお金を払い、大切に着ていきたい。Kota Gushikenのニットは、まさにそんなニットです。ぜひチェックしてみてください。
顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。