2020.05.04

とっておきの靴をおろした日

ついに一歩を踏み出してしまいました!

食料の買い出しに行くだけで大袈裟ですが、この一足をおろしてしまいました。ちゃんとお洒落していく日にと考えていたニュー・シューズを……

出会いはちょうど半年前くらいでしょうか。2019年の9月、私はミラノ でサルヴァトーレ・フェラガモのショーを拝見。朝一番のスケジュールだったのですが、服そのものはもちろん、モデルも、ヘアメイクも、鳥がさえずるような緑溢れる会場も、天候も……ショー全体が清々しく美しく心に訴えかけてきたのを覚えています。

モデルのビンクスがピュアなオールホワイトのルックに身を包んで登場したファースト・ルック、私は思わず足元にも目を奪われました。ボウのついた真白なパンプスに白いソックスを合わせてたんです。

あれはフェラガモといえばの「ヴァラ」ニューバージョンかしら、なんて考えていると、次々と登場するモデルがさまざまな装いにこの靴を合わせていて。しかもすべて白いソックスに合わせているのがモダンで可愛くて。

後日現地の展示会で改めて、この靴はヴァラを再解釈した「VIVA」なる新作だと判明。アイコニックなリボンはあえてアッパーと同じ素材で絶妙に大きくリサイズし、つま先はツンととんがっています。このブランドらしいエレガントなムードもありつつ、全体にマットなテクスチャーがアート作品のよう。ちなみにヒールはしずく型というところにも胸キュン! こちらはリチャード・セラの彫刻にインスパイアされたとか。私ともうひとりのエディターで「今すぐ、ショーのルックみたいにソックスを合わせて履きたい!」と盛り上がったものです。

待ちに待った2月、VIVAはローンチされ、「春になったら●●●」という淡い妄想とともに私はこの靴を買いました。

そして新しい靴をおろす間もなく、世の中が変わり、自分も心の余裕がなくなり、外に出るにもなんとなくスニーカーだと安心する日々が続き。先日部屋を整頓していたら、履かれていない「VIVA」に気づきまして。このまま「履いていくところがない」ととっておくのも……と、思い切ってスーパーに行くのにおろしてみたのです。

気分がウキウキする、なんていうのはもちろんのこと、とにかくはき心地がいい! そう、フェラガモといえば歩きやすさに定評があるんだった……なんて改めて発見もありつつ。以前、ブランドのクリエイティブ ディレクターのポール・アンドリューさんが展示会で説明をしてくださったことがあるのですが、とても気さくでポジティブなムードの方だったんです。この靴で晴れやかにスーパーまでの道のりを歩いているとき、そんな彼が「そう、どこへでも気軽に履いていっていいんだよ」と言ってくれたような気がしました。いや、妄想が過ぎるかもしれませんが(笑)、これからはどんどん近所にも履いていこうと思います。

エディターNAMIKIプロフィール画像
エディターNAMIKI

ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。

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