2020.06.26

トム フォードの伝説の名香の素晴らしさを、今改めて語りたい

ネロリ・ポルトフィーノ。その四角いチェスの駒のようにも見えるフォルムが印象的な、トム フォードの香水です。数多くあるコレクションの中でも、圧倒的人気を誇ることから名香といって間違いない1本。しばらくこの香水をつけていなかったのですが、今、再び気分はネロリ・ポルトフィーノになっています。その理由はやっぱり季節があるのかもしれません。

いよいよ本格的な梅雨に突入して、ジメジメする日が続きます。そんな時にふと鼻腔をつく、この香りの爽やかさたるや!! トム・フォードがネロリというベーシックな香料を再解釈して作ったというノートは、極めてフレッシュで、それでいて大人の色香もある。

ラストノートにつれてはじけるような印象から、甘やかなトーンに落ち着いていく、変化も好き。こんな香りをつけている男性がつけていたら、思わず好きになっちゃいそうなくらいです。あるいはシェアしてもいいかもしれません(ユニセックスで使えます)。

 そして、何よりもポルトフィーノ、というネーミング。ポルトフィーノとは、イタリアのリグリア海岸に位置する小さな町のこと(ディズニーシーの街並みのインスピレーション源になったという説も)。ちょうど例のブーツ型の膝上あたり、ざっくりいうとイタリア半島の付け根部分に位置します。昔から海に面した高級リゾート地なのだそうです。

私はこのポルトフィーノという町には行ったことがないのですが、この近辺の小さな町(フィナーレ・リグレというところ)にGWの初夏の時期に軽い山登りに行ったことがありまして、その時にとても驚いたことがありました。

それは、ふと漂ってくる香りの豊かさです。山には自生のローズマリーや、フィグなんかが生えていてそこからなんとも言えない美味しそうな香りが漂ってくる。街中にはジャスミンが植えられていて、そこからも芳香が。なんだここは!まるで天然フレグランスの中にいるみたいじゃないか!と感動したことを思い出します。地中海沿岸のこの地方の、植生の豊かさに気がつくと同時に、「ああ、だから香水って日常に溶け込んでいるんだ」と、ものすごく腑に落ちたんです。そしてその地域はまさにネロリ・ポルトフィーノが似合いすぎてもはやそのままの世界観!という空気や風景にあふれていました。

 ネロリ・ポルトフィーノをつけると、この旅や、滞在した小さな町のこと、イタリアでの山登りのことを思い出します。思わず写真も、町の土産物店で買ったテキスタイルと一緒に撮影しちゃいました。

某美容エディターの方が、香りで旅ができる、ということをおしゃっていましたが、まさにそんな気持ちです。今は海外旅行には行けないですが、日本にいながらしばらくはこの香水で彼の地に思いを馳せたいと思います(いつかまたいくぞ!という気持ちを込めて)。

エディターASADAプロフィール画像
エディターASADA

主に美容担当。山登りなど自然に触れることが好き。最近は健康とかインナービューティとかいう言葉にめっぽう弱くなりました。

記事一覧を見る