ペンギンたちも面白さにびっくり仰天! 左は『三体』、3部作の第1作。右は第2作。ちなみにペンギンは出てきません。(劉慈欣・著、早川書房)
そもそも、「面白いらしい」と聞いていました。中国SF小説の『三体』。あのオバマ前大統領も絶賛していたとか。ミーハー心がくすぐられましたよ(笑)。決定的だったのは、SPUR10月号の「新世界IN&OUT討論会」。次世代アーティストによるカルチャー座談会でサファイア・スロウズさんが挙げていて。「やっぱり面白いんだ!」と。
冒頭は文革の描写や、物理・天文用語がヘヴィーだったんです。が、メインキャラの汪森(ワン・ミャオ)をゴースト・カウントダウンが襲うあたりから、「何? どういうこと? どうなっちゃうの?」と。先を急ぐスピードも興奮も加速していきます。
出色は物語のキーとなるVRゲーム「三体」。汪森氏がヴァーチャル・スーツを纏いゲームに没入したときの描写がヤバイ(笑)。いやもう、読んでるこっちが「没入」します。荒涼たる大地に足を踏み入れるや否や、忽然と現れる「周の文王」と従者。舞台は宇宙のどこか、三つの太陽のミステリアスな運動規則に翻弄され、文明は興っては滅びる。時系列はめちゃくちゃなれど、歴史上の有名人が古今東西入り乱れて登場。生存をかけて宇宙の謎を解き明かそうとしますが……。ログアウトしたって映画さながらの活劇やら、サスペンスやら、「あぶ刑事」さながらの魅力的な不良デカやら……。
昨今、「SNS脳」になっているせいか、読書が捗らなくないですか? いざ読み始めても気づいたら携帯をチェックしていたり。
ところが、この本はもう「やめられないとまらない」。ちなみに私、結果知りたさについお尻から読んでしまうのが癖なんです。今回もちょいちょい「ネタバレ読み」。展開に衝撃を受けつつ、今いる地点とのギャップを埋めるかのように続きを読んでいく、なんスタイルに。
初めは「コロナ後の世界を考えるヒントに」なんて、ややシリアスモードで手に取ったのですが、むしろ現実を忘れますね。もう、エンタメですよ‼︎! 超弩級の。このフロシキ、どこまで広がっちゃうの〜!? っていう。
ちなみにこの『三体』、Netflixがシリーズ化するそうで。しかも脚本と総指揮は「ゲーム・オブ・スローンズ」のデヴィッド・ベニオフとD・B・ワイス 。ビンジウォッチングどころの騒ぎじゃなさそうです。
ジュエリー&ウォッチ担当。きらめくモノとフィギュアスケート観戦に元気をもらっています。永遠にミーハーです。