心を救ってくれる春パンツ

「ああ、また今日もひとつ絶望してしまった……」「分かる」。そんなやりとりを友人と送り合っています。許せない事件や、腹の立つ発言。テレビを見ても、ネットニュースを見ても、そうしたものに容易に出合ってしまう日々です。ふとした瞬間に、心が少しずつ蝕まれていっているんじゃないかと考えることもあります。だけど、私は大丈夫です。

美しい色のパンツが心を救ってくれるから。

昨年東京で行われたOVERCOATの展示会に行きました。デザイナーの大丸さんもいらっしゃって、ロックダウン中に考えていたこと、改めて気づいた本当に必要なもの、そして人の手で作ることの大切さなど、いろんなお話を聞きました。特に、親交のあるアーティスト、ピーター・マイルズとのコラボレーションアイテムには熱い思いが。苦戦している大丸さんを心配し、柄に使えれば、と自身の作品を送ってくれたそうです。このパンツはピーターの作品をプリントしたものでした。艶のあるキュプラ地に美しいプリントが映えて、いつまででも見つめていたい、そう思わせる力がある。パンツなアートだわ!と一目惚れしてオーダーしました。ほんのり暖かくなり始めた先週あたりからワードローブのスタメンに。

ドローストリングでカジュアルな雰囲気もありつつ、テロっとした質感が上品でもあり。オンにもオフにも大活躍。何より、グリーンから薄いブルー、そしてピンクへと続く不思議なグラデーションが、まだ見ぬどこかの空のようにも、海のようにも思えて、自然と心が明るくなるのです。

エディターKINUGASAプロフィール画像
エディターKINUGASA

顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。

記事一覧を見る

FEATURE