ゴールデンウィーク、スタートしましたね。昨年に引き続き今年も自宅で静かに過ごすことになりました。ここ最近の土日はマンガを読んで過ごすことが多かったのですが、この連休は部屋のある“積読”の山に突撃しようと思っています(どうしても映画やドラマなどの映像作品やマンガと比べ、集中力が必要なので、連休の時にまとめて読むことが多くなってしまいました)。会社のデスクに置いている本もどっさりと持ち帰り、「ガンガン読むぜ!」と気合十分な私。まず手に取ったのはSPUR本誌でもお世話になっているテキストレーターはらだ有彩さんの最新エッセイ『女ともだち』(大和書房)です! 古今東西に存在する“ガール・ミーツ・ガール”の物語に登場する、女性同士の関係性をはらださんならではの優しく、力強い言葉で語ったエッセイ集です。
たとえば、CLAMP先生の『カードキャプターさくら』に登場する知世とさくら。『プラダを着た悪魔』のミランダとアンドレア。時代をさかのぼり、鎌倉時代に成立した擬古物語『我が身にたどる姫君』の前斎宮と中将など、時代と国を問わず、様々なジャンルに登場する“ふたり”にスポットを当てています。いずれのトピックも新鮮な切り口で、胸に刺さる内容なのですが、世代ど真ん中だからでしょうか、『カードキャプターさくら』の章を読んだ後は特に胸が震えました。さくらに“片思い”をしながら、彼女の活動をアシストする知世ちゃん(知世”ちゃん”と呼びたくなってしまいますよね……)。原作の中では“恋”と明確に表現されてはいませんが(『カードキャプターさくら』の中では“愛”の描き方が極めてフラット。家族、友人、恋人、愛の当事者同士の境界線が曖昧で心地いいな、と最近読み直して改めて実感しました。まさに”人間讃歌”です)、「(恋をしている)さくらのことを静かに見守る知世は、さくらとどうなりたいんだ……。というかこの二人の関係性は何なんだ……!」と頭を悩ませていた私に答えをくれました。この章の最後に添えられていた一文に号泣したことをお伝えしたいです。「一緒に戦えなくてもいい。手を繋いでキスしなくてもいい。一番好きな人が他にいてもいい。運命じゃなくてもいい。あなたを覚えておくことだけが、私の幸せなのだから」という言葉に、さくらに対する知世ちゃんのすべてが詰まっていました。(今もこのワードを思い出し、涙目になっています……)。この言葉を安易に使うことは避けたかったのですが、「尊い……」(涙をこらえ天井を静かに見つめるポーズとともに)とつぶやかずにはいられません。はらださんのこのエッセイでは、この世に存在する既存の言葉で、“ふたり”の関係性に無理に名前を付けることはせず、その正体を丁寧に、美しい言葉で、寄り添うように語っていきます。過去に触れたことのある作品の新しい表情を見出すことができたり、まだ読んだことのない作品に触れてみようと思うきっかけを作ってくれた一冊でした。ゴールデンウィークの読書タイムのお供におすすめしたいです。ちなみに今、この本を読んで知った名香智子先生のマンガ『ファンション・ファデ』を読み進めている最中です。
ファッションとビューティ担当。K-POPを始めとする韓国カルチャーにお熱。茶碗蒸しと無花果の香りが好き。
実家で暮らす柴犬が親友です。