愛用しているジュエリーをなくしてしまう、という悲しい経験は誰の人生にもあるのではないでしょうか。私も昨年の冬に、人生で何度目かのやるせない出来事がありました。いつも身に着けていたクロムハーツのバブルガムリング、手袋を脱ぐのと同時に外れたらしく落としてしまったのです(泣)。いい大人が泣きそうになりながら大捜査網を敷いたものの、小さなリングは再び私のもとに戻ることはありませんでした……。
皆さんはこんな時どうしますか? すぐに同じものを買いなおす、己の不注意の戒めとして諦める。いくつかの選択肢を検討した結果、私は”似ているけど少し違うもの購入”という道を選びました。何度も忘れようとしたものの、ふとした瞬間にリングの不在を感じて寂しくなるというまるで失恋後のような状態が半年ほど継続。そのため「この状態から抜け出すにはもう一度手に入れるしかない!」と青山のショップへと足を運び、バブルガムリングを購入するに至ったのです。ただし全く同じデザインを買うのもどうだろう、選んだのは新たにひかれたCHプラスのモチーフでした。
そもそもこのバブルガムリングを身に着けるようになったのは数年前。手持ちのジュエリーのラインナップから「次は小指にするリングが欲しいな」と考えたことが始まりでした。探してみるとピンキーリングはその愛らしい響きも相まって当時は甘いデザインが主流、だけど個人的な希望はシンプルで力強いデザイン。そこでたどり着いたのがクロムハーツだったのです。
クロムハーツというとハードなファッションを好む男性のもの、というイメージを持つ方が未だにいるかもしれませんが、繊細で華奢なデザインも豊富で幅広いファッションに似合います。特にこのバブルガムリングは、小ぶりなサイズ感で女性からの人気が高く、私のようにピンキーリングとして愛用している方も多いそう。それに”印象的だけど主張しすぎない”という絶妙な存在感で、一つで身に着けても、他のジュエリーと重ね付けしても素敵です。実は私がクロムハーツに惹かれたのも、某ハイジュエラーのリングとクロムハーツのリングを重ね付けしているご婦人を見かけたのがきっかけ。エレガントかつモダンな佇まいに見惚れて、マネしようと心に決めたのでした。なかなかご婦人のように洗練された手もとには到達できませんが、自分なりに手持ちのジュエリーと合わせています。再び手に入れたお気に入り、半年ぶりに訪れた小指のちょっと窮屈な感覚すらもうれしい。今この原稿を書いている瞬間も「もうなくさないぞ」と心に誓いながら、ほくほくした顔で指輪を眺めています。
ワードローブの中心はデニムとメンズのシャツ。『スターウォーズ』シリーズに出てくるイウォークに似た犬と暮らしています。