2021.10.10

実家のタンスに眠るヴィンテージを再解釈する

コレクションの時期になると、ランウェイだけではなく、現地のストリートスナップをチェックするのがマイルール。今シーズンはフィジカル開催のショーをするブランドも増えてきて、配信映像に映り込む来場者のスタイルを盗み見できるのも楽しみのひとつです。そんなお洒落さんたちのスタイリングで、数年来目につくのがオーバーサイズのジャケット。80年代を彷彿とさせるような、肩パッドの入ったアイテムです。私は元々ジャケット好きな人間なのですが、手持ちの中でも思い入れの強い一点を、今日はご紹介させてください。それが、こちら。

実はこれ、祖父、父、私へと一家代々受け継がれてきたもの。箪笥を転々としてきたヴィンテージなのですが、一見古めかしいナード感が、着こなしによっては逆に新しくうつります。お気に入りの着こなしは、センシュアルなドレスにバサリとこちらを羽織り、思い切り袖口をまくること。これが程よい抜け感を生んでくれます。また、肩パッドが心無しか小顔効果をもたらしてくれる上、逆三角形のシルエットは全身のバランスが取りやすい。そして、もうひとつ推しポイントを挙げるならば、それはズバリ内ポケット部分に施された刺繍。ジャケットの前見頃を開いてみると、内側に苗字が縫い付けられているのです。初めてこれをみた時の気分の高揚たるや。衣服を長く大切に着用する当時の精神を垣間見たような気がして、胸が熱くなりました。y2kファッションなるものが流行したり、「時代は本当に巡るんだな…」と実感している近頃。巡るとは言っても少しずつアップデートされているわけですが、あえて過去のアイテムを再解釈して今の気分に落とし込むのも素敵です。寒暖気温を行ったり来たりする不安定な日が続いていますが、もう少し肌寒くなったら、今年もこのジャケットに活躍してもらう予定です。

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エディターSASAYAMA

周囲の人の着こなしが気になって仕方ない私服ウォッチャー。
街でも目を光らせています。ミニマルで、少しひねりのある服が好きです。

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