ここのところずっと、ニュースを見るのがしんどいな〜と感じています。そんな私の心を軽くしてくれたのが、随筆家・白洲正子とその夫、白洲次郎が暮らした鶴川の家「旧白洲邸 武相荘」です。
学生時代、自分的に第一次白洲正子ブームが訪れました。三宅一生の作品集『ISSEY MIYAKE East Meets West 三宅一生の発想と展開』の中に、白洲正子がモデルとして登場している写真が載っているのですが、それが強烈に格好よく、衝撃が走ったのです。それから、伯爵家に生まれたお嬢様で、小林秀雄に師事した随筆家であることを知りました。若くしてアメリカに留学し、18歳で白洲次郎(超ダンディ!!)と出会い、翌年結婚。幼少期から能を習い、日本文化に興味津々で、骨董にも詳しい。でも、選ぶ基準は「好きか、嫌いか」だけ! 私服はサンローランで仕立て、シャネルのウールジャージーのワンピースも愛用。ニットはミッソーニだし、イッセイ ミヤケも応援していた。そして、随筆家として脂が載ってくるのは50歳を過ぎてから。調べれば調べるほど、面白い人! しかしその後、世のセレブブームに夢中になり、数回の引越しで著作を全て手放しておりました(汗)。
実は、7月20日発売の9月号にて、特別にロケーションとして撮影させていただいたご縁もあって、約20年ぶりに「武相荘」を訪れました。茅葺き屋根の母屋はそのままに、カフェスペースやレストランもできていて、楽しみが増えています。ミュージアムでは愛用していた器や着物を堪能することができ、うっとりしっぱなし。
夕涼みができる竹林の庭、深呼吸したくなる散策路。このエリア全体が静謐な空気に包まれて、日頃の「し・ん・ど・い」という文字がふわ〜っと消えていくようです。
ああ、今の私に足りなかったのは、白洲正子の精神だったんだ!と気づきました(大げさ)。
一番好きな場所は、正子の書斎。膨大な蔵書に囲まれた机は、今にも彼女が戻ってきそうなほど面影を残しています。堀り炬燵式で座れるようになっていて、正面の窓から注ぐ柔らかな光がとてもきれい。残念ながら写真撮影はN Gですので、ぜひ足を運んでみてください。書斎の最高峰が拝めます!
そして、軽く読めるエッセイから再び手に取っております。移動の時や寝る前に1章読むだけでも先行き不透明な不安が薄れ、日々を生きることを大切にしようと、ゆる〜くポジティブな気持ちになっています。
顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。