見れば見るほどため息が漏れてしまいます。こちら、新調したばかりのジャケットです! 3月末に行われたノワール ケイ ニノミヤの展示会で一目惚れしたもの。2022-‘23年秋冬ファッションウィークを通し、ボレロ丈のショートジャケットに注目していたのですが、各展示会をチェックしていた中で、これほど美しい仕立てとデザインは”やばい”と鼓動が早くなったんです。 余談ですが、いい服には、服力というものが宿っていると信じているんですね。撮影する時に小道具なんてひとつも必要なくて、その服がそこにあるだけで目も心も引き寄せられるもの。それこそがモードな服だと思っています。 ノワールはデビューの時から応援しているブランドの一つで、実験的なクリエーションに毎回感嘆し、服力を猛烈に感じますが、このジャケットからは、飛び抜けて響いてくるものがありました。それから半年。あの高揚感がずっと忘れられず、ドーバーストリートマーケットギンザで見つけた時は、本当に嬉しかったです。展示会で見て、6ヶ月間熟成させた欲望が無事に召された瞬間。袖を通すと、自分がシャープに引き締まって見えました。予想以上に肩まわりの可動域が広く、仕立ての良さを改めて実感します。 特に気に入っているのは、袖の内側に少しだけ施されたスリット。体のパーツで細い部分、そう手首をさりげなく見せる演出が、エレガントな雰囲気に導きます。ノワールらしく、チュールドレスと組み合わせてもいいですし、シャツ&デニムというベーシックなスタイリングも、このジャケットを羽織るだけで今年らしく様変わり。 一方で、ベースはフォーマルなデザインなので、ハレの日にもちょうどいい。褒めるところしか見当たらない最高の一着とともに、秋のファッションを楽しみたいと思います。 季節の変化をスタイリングで乗り切る。ジャケット歳時記 スタイリスト・佐藤里沙が伝授! オフランウェイの着こなし術 季節の変化をスタイリングで乗り切る。ジャケット歳時記 モードなジャケット商品学 エディターKINUGASA 顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。 記事一覧を見る