世界に誇るメイド・イン・ジャパン【グランドセイコー】のスタジオ 雫石を見学

大人の社会科見学「グランドセイコースタジオ 雫石」

そんな中この度、ご縁をいただき、グランドセイコーさんの機械式腕時計部門を担う「グランドセイコースタジオ 雫石」へ大人の社会科見学に行ってきました（一般予約も可能です）。

グランドセイコーといえば、日本のブランドとして唯一、世界の時計見本市「Watches & Wonders」に参加しており、精緻な構造と洗練された美しさが海外のセレブリティや時計愛好家からも高く評価されています。その哲学や美学を世界に発信する場所として、ブランド誕生から60周年を迎えた2020年にオープンしたのが「グランドセイコースタジオ 雫石」なんです。

盛岡駅から車で20分ほど。岩手山を望む絶景ロケーションのスタジオは隈研吾さんの建築。
木材とガラスと石を基調としており、大きなガラスに木々が反射し、自然のダイナミズムを感じられます。うさぎやきつね、ニホンカモシカがやってくることもあるそう。
冬目前のひんやりとした空気に感性が研ぎ澄まされていくようでした。

THE NATURE OF TIMEを体感できる

「ここは“THE NATURE OF TIME”というブランド哲学を体現するスタジオです」と教えてくださったのは、盛岡セイコー工業の広報課長、山城陽さん。「時の本質を追求する匠の技、そして自然の中に時の流れを感じる日本人の感性」を大事にしているとのこと。

2007年からここで研鑽を積む山田円香さんは「入社して初めて顕微鏡で機械式ムーブメントを見たとき、すごくキラキラしていて魅せられました」と語ります。
「小さい中にたくさんの部品が入っていてすごいと感動したんです。（機械式腕時計の心臓部である）てんぷをのせる瞬間が一番好き。それまで組み立てていたパーツが動き出すんです。命が入った瞬間なので、とてもいいですね。より良いものを作りたいという思いで試行錯誤する先輩たちの姿勢はいつも見習いたいと思っています」

より良いもの作りとは何ですか、と尋ねると「より良いもの作りは一人ではできません。グランドセイコーの機械式腕時計はたくさんのいろんなパーツを使っています。その設計者や部品製造者など多くの方が関わり、ひとつひとつに素晴らしい技術とそれぞれの思いが詰まっています。それらが自分の手元に届き組み立てますが、手に取ってもらった人を笑顔にしたいという思いを込めながら作業することで、さらに良いものになると信じています」

詩的なドレスウォッチにため息

東京に戻ると、グランドセイコーの展示会で拝見した新作への解像度が上がっていることに気づきました。次世代デザインシリーズ「エボリューション9 コレクション」の最新作の中でも、初の手巻き機械式モデルが「白樺」ダイヤルシリーズに仲間入り。岩手県の白樺林に着想した文字盤は樹皮の美しさを想起させる詩的なアプローチ。自然豊かな雫石の静謐なエレガンスが見事に表現されています。

搭載するのは2024年に生まれた超最新の「キャリバー9SA4」。りゅうずの巻き上げ時に動力ぜんまいの逆回転を防ぐ部品である「こはぜ」の形状をよーくみると、小鳥のセキレイがいるのですよ（写真下部分に注目を）！　スタジオでもよく見かける鳥だそうで、思わず笑みがこぼれます。

メイド・イン・ジャパンの美学が詰まった小さな宇宙。スタジオ見学でより一層堪能できると思います。2025年は大人の学びの旅をお勧めします！

余談ですが、帰りに寄った小岩井農場のソフトクリームが超絶美味でした‼　口福度も最高潮。