「大きくなったら何になりたい?」という質問に、うまく答えられたことがありません。
幼少期に映画『リトルマーメイド』(1989)にハマっていた頃は「人魚になりたい」と書いていたものの、プールに入って水中での肺呼吸の苦しさに驚き、夢破れました。小さい頃に入院した際、「命を救えるお医者さんカッコいい」と思いながらも、算数についていけず早々に断念。森ガール全盛期だった学生時代は「蒼井優さんみたいな透明感のある女の子になりたい」と思っていたものの、大学入学後にお笑いサークルに入り、「蒼井優さんはお笑いをやらないのでは……?」と気づき、諦めるに至りました。
そんな私が今掲げている目標が「みうらじゅんさんのような大人になりたい」です。口を開けば唯一無二のキャッチコピー、独自の道を突き進み、まだ見つかっていないおもしろいものを届けてくれるみうらさん。そんなみうらさんがこのたび新刊を出されたとのことで、早速読んでみました!
大人が行き着く先は「アウト老」だった!
1,540円 文藝春秋刊
その名も『アウト老のすすめ』。「アウト老(ロー)」とは、はみ出し老人のこと。以前、SPURでクレープ企画に登場された際にもお話されていた概念が、今回学問のようにすすめられる形で書籍化。
還暦を迎える前、自分の体に「老いるショック」を感じたというみうらさん。どうしようか……と思っていたが、考えてもしょうがない!と切り替え、「しょうがないことにはしょうもないことをぶつける」という考えのもと、若作りではなく「老け作り」をすべく髭を伸ばしたりと、自らを「DS(どうかしてる)状態」に追い込んでいったそう。
この本は、そんなみうらさんがつづる日常や妄想、過去のユニークなメモリーがてんこ盛りのエッセイ集です。
内容は、全95本に及ぶ充実のボリューム。触れている内容は、エロはもちろん、仏像から怪獣、映画『ミーガン』(2022)まで! みうらさんの広く張ったアンテナと、そこからつづられるユーモラスな日常。2〜3ページの短編エッセイがたくさん入っており、内容も回によって様々なのでちょっとした隙間時間にも読みやすい。気持ちが落ち込んでしまった人や、苦しい局面に立たされている時にこそ、おすすめしたい1冊です。
自称“おじいさん初”のハイタッチ&お渡し会も実施!
そしてこちらの発売記念イベントとして、先日紀伊國屋書店新宿本店で「ハイタッチ&サイン本お渡し会」も実施したみうらさん。なんと書籍は発売前に重版が決定し、ハイタッチ会のチケットは販売開始後、2分で即完売という圧倒的な記録!
囲み取材にて、その凄まじい人気について聞かれると、「ハイタッチしたかったんじゃないですかね。おじいさんのハイタッチ会はないだろう、ということで今回やることになりました。隙間産業で、ない仕事を45年間やっていたので」と話していました。
集まったメディア陣を前に「今回は生前葬ということで」とコメントして笑いを起こしていたみうらさん。これからも長生きして、アウト老のさらに先へ進んでいかれる様子を、陰ながら応援したいと思います!