新垣結衣
モードな官能を手に入れる
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キム・ジョーンズのFENDIとともに
新垣結衣
モードな官能を手に入れる
「シックな中に潜む可愛らしさを感じます。色っぽいというより、ヘルシーな魅力」と、新生フェンディを表現する新垣結衣さん。アーティスティック ディレクター、キム・ジョーンズが描く人物像を堪能する。
〈TOP〉フェンディ家の女性たちにオマージュを捧げたコレクション。前任のカール・ラガーフェルド考案の"カーリグラフィ"と水玉をミックスした柄のドレスは、過剰に長いボウタイでエッジをきかせて。ジュエリーは、フェンディ家の4代目であるデルフィナ・デレトレズ・フェンディが手がける。
STYLE 02
クロップド丈のシャツとハイウエストパンツというセットアップ。光沢の美しいサテン地からちらりとのぞく素肌のバランスがモダン。新時代のグラマラスを表現するルック。
STYLE 03
90年代を彷彿させるスリップドレスには"カーリグラフィ"の刺しゅうを大胆に施している。今季デビューのクラッチ「フェンディファースト」を抱え、ちゃめっ気を添えて。
STYLE 04
マチュアな女性にも、可愛らしい一面があるように、ボディコンシャスなドレスを少女のように着こなして。足もとは、F形のスカルプチャーヒールで、アーティなアプローチも。
STYLE 05
フェンディ家の女性たちは、世代を超えて皆、ワーキングウーマンだ。ブラウンベージュで統一したクールなコートルックには、"カーリグラフィ"が目を引く「フェンディ ファースト」を合わせて、颯爽と歩きたい。
Profile
あらがき ゆい●1988年生まれ、沖縄県出身。女優。近年はTBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」が人気に。2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に主人公・北条義時の初恋の人「八重」の役で出演予定。
Story
フェンディ家の物語
2021-’22年秋冬コレクションでキムがオマージュを捧げたのは、フェンディ家の強き女性たちの姿だった。
フェンディ家の女性たちの日常着が発想源に
キム・ジョーンズがフェンディのアーティスティック ディレクターに就任するというビッグニュースが飛び込んできたのは、昨年の9月。ストリートカルチャーや現代アートへの造詣の深さで知られ、革新的なメンズウェアを生み出してきたキムが、この伝統あるメゾンのウィメンズウェアを手がけると、いったいどんな化学変化が起こるのか。誰もが期待を膨らませてデビューを待ち望んでいた。キムがデザイナー職に就任して最初に行なったのは、ローマにあるフェンディ本社のアーカイブギャラリーを訪れることだった。
「アーカイブスを見直し、進化させるのはいつだって好きな作業です。眺めているのは過去の一部ですが、同時に新しい時代でもあるのです。だからノスタルジックになりすぎてはいけません。しかし当然、クラフツマンシップは極めて重要です。フェンディの膨大なアーカイブスを目のあたりにした私は、職人技の質の高さに圧倒されました。そのすばらしさは信じがたいほどでしたね」
こうして、メゾンの誇るクラフツマンシップの極致ともいえるフラッフィーミンクのファーコートが、キムにとって最初のレディ・トゥ・ウェアコレクションの幕開けを飾るルックに選ばれた(1)。
フェンディのデザイナーに就任するというのは、2019年まで50年以上にわたりブランドを率いてきた故カール・ラガーフェルドの後を引き継ぐことでもある。キムは、カールの自筆をもとにしたロゴ“カーリグラフィ”を、コレクションにちりばめた(7〜9)。
「私はカールを心から尊敬しているので、彼の後任の役割を果たすことは名誉です。デザイナーとして、私が得られる最高の賛辞でしょうね」とキム。
「このコレクションのために、私はフェンディ家のメンバーについて考え、すべての世代を取り込んでミックスしました。参考にしたのは、彼女たちの写真。(ウィメンズ・アクセサリー&メンズ部門アーティスティック・ディレクターの)シルヴィアが、お母さんのアンナやその姉妹たちと一緒にいる写真、彼女がとてもシックで実用的なムードの服を着ている写真、彼女の娘デルフィナとレオネッタの写真もありました。このコレクションが描くのは大きな家系図であり、それぞれのルックは一族の誰かを彷彿させるものです」
こうして、彼女たちのスタイルがキムの手によってモダンに進化した(2・3)。周知のように、フェンディの歴史は一族の女性たちの活躍抜きには語れない。ファミリービジネスの中心になって働いてきた彼女たちは、皆パワフルでありながら、自然体でチャーミング(4)。そんな彼女たちがミューズだからこそ、今回はグラマラスでありながら知的なコレクションとなった。なかでもクロップド丈のシャツ(5・6)は、彼女たちのワードローブを彷彿させる一方で、メンズウェアからの引用も感じられる。
「メンズウェアには制約が多いですが、ウィメンズにはあらゆる選択肢がある。ときにはメンズのアイデアを持ち込むことが有効になります」
フェンディ家にオマージュを捧げてはいるが、もちろん彼の生み出す服は、今の時代を生きるあらゆる女性に向けたもの。彼は今、時代をリードする強い女性像を描こうとしている。
「完璧なミューズは想定していません。私の周りには、いつも強くすばらしい女性たちがたくさんいて、常にインスパイアされてきました。私は現代の女性にこの服をまとってもらいたいのです――私の考えるフェンディのDNAを通してね」