2025.06.17

俳優【萩原利久】、二枚目と三枚目の狭間でたゆたう光【SPUR BOYS】

今注目のパーソナリティにフォーカスする月刊連載「SPUR BOYS」に、俳優の萩原利久が登場。デビューから16年、俳優としての現在地、そして2026年に公開が控える次回作に込めた想いをインタビュー。

今注目のパーソナリティにフォーカスする月刊連載「SPUR BOYS」に、俳優の萩原利久が登場。デビューから16年、俳優としての現在地、そして2026年に公開が控える次回作に込めた想いをインタビュー。

興味本位で入った芸能界、俳優として今想うこと

萩原利久 ドリス ヴァン ノッテン インタビュー
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芸能界を志したきっかけを聞くと「ファンだった小島よしおさんに会いたかったから」とさっぱりとした様子で笑う萩原利久。整った顔立ちだけ見れば二枚目と呼んでも違和感はないが、そのユーモラスでどこか掴みどころのないたたずまいは、どこか三枚目、いや2.5枚目といった印象だ。

2008年にデビュー。映画、ドラマ、そしてバラエティで幅広く経験を積んだのち、2019年放送の『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)や映画『帝一の國』(2017年)をはじめ話題作の出演を経て、2021年には『美しい彼』(毎日放送系)でブレイク。切なく、瑞々しい演技でファンを魅了した。

「子役の頃は習い事の延長という感覚でした。演技を続けていくうちに、その奥深さや面白さにのめりこんでいったのですが、20歳を超えたあたりでさらに意識が変わって、演技だけでなく、あらゆる形でエンターテインメントを届けるのが役者の仕事だと考えるようになりました。小島よしおさんとバラエティで共演できたことも大きく影響したかな、と思います」。

『花緑青が明ける日に』では声優として初主演。立ちはだかった壁

萩原利久 ドリス ヴァン ノッテン インタビュー

子役からの経験を通して、自分にしかできない役者のあり方を見せたいという萩原。その挑戦のひとつが、2026年に公開を控える長編アニメーション映画『花緑青が明ける日に』だ。日仏共同製作、気鋭の日本画家・アニメーション作家である四宮義俊の初長編作品である本作で、萩原は古川琴音と声優として初のダブル主演を務める。

「俳優の経験を活かして声優もうまくできるだろうと期待して臨んだのですが、すぐに鼻をへし折られました。実写での演技と比べ、表現の仕方が全く違う。特に苦労したのは、アニメ独特の間の使い方。自分がうまくできているのかどうか、手応えもない中で必死に作品の世界に没入しました」。

役を通して感じた、若いという危うさと底知れぬエネルギー

萩原利久 ドリス ヴァン ノッテン インタビュー

打ち上げ花火の余韻のような、儚い煌めきを刺しゅうで表現したブラウスをまとい、カメラの前でポーズをとる様子はモデルさながらだが、私服では「(ゴールデンステイト)ウォリアーズのユニフォームをよく着ています」と笑う。

本作において萩原が演じた帯刀敬太郎は、老舗の花火工場「帯刀煙火店」の次男であり、失踪した父親に代わり幻の花火「シュハリ」を完成させようと奮闘する姿を軸にストーリーが描かれている。その痛々しいまでの熱量に、萩原は共感できるところ、理解できないとこがあると語る。

「10代の未熟な時期は、抵抗することが自己表現なんだと思います。恐らく自分もそうだったように。だからといって、自分がもし敬太郎の立場にいたと想像して、あそこまでひとつのことに没頭できるかというと、きっともっと効率の良いやり方を探してしまう。だからこそ、その無垢さ、ヒリヒリするような不器用さ含めて魅力的なキャラクターだと思いますね」。

萩原利久|はぎわらりくプロフィール画像
俳優萩原利久|はぎわらりく

1999年生まれ、埼玉県出身。2008年から芸能活動をスタート。2021年『美しい彼』(毎日放送系)で高い評価を獲得。『ミステリと言う勿れ』(2023年)、『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2025年)をはじめ数々の話題作に出演。7月には『初恋DOGs』(TBS系)、『殺した夫が帰ってきました』(WOWOW)への出演が決まっている。また、声優として初主演を飾るアニメーション映画『花緑青が明ける日に』が2026年に公開予定。

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