5年前の夏、バーでアルバイトをしていた私は、あるお客さんに1人の女性を紹介された。名前はかなちゃん。古着っぽいアロハシャツを着た、笑顔がかわいい人だった。紹介されたその日、彼女はこう言った。「バイク乗りますよね? 数日前に見かけたんです」と。私はクラシックなバイクに憧れて、緑色のバイクを所有していた。彼女も私のバイクと色違いを所有しているらしかった。私を見かけて嬉しくなった彼女が、同じバイクに乗る女の子を見た!と話した人が、たまたまお互いの知人だったというわけだ。
意気投合した私達は、すぐに次会う約束をしてケーキを食べに行った。その日着ていた私の服は、ネイティブアメリカンが描かれたT シャツ。彼女は私のT シャツを見るなりこう言った。「私も同じの持ってた~(笑) でも売っちゃった~」と。彼女は1年前に古着屋に売ったと話してくれた。私はというと、私もほぼ同じ時期に彼女が売った古着屋でそのT シャツを購入していた。つまり、彼女に出会う1年前に、彼女が売ったT シャツを私が購入していたのだ。あまりの偶然に驚くふたり。そのあとも、靴、服、化粧品、たまたまお揃いになったものを見るたびに笑った。不思議なT シャツが引き寄せてくれた彼女とは、お互い結婚、出産をしても大の仲良しだ。
(M.K. 33歳 福島県)
※この企画は毎週日曜日20時に公開していきます。次回は7月24日(日)20時公開予定です。
日本発のモード誌『SPUR』は参加型の新企画「SPUR ナショナル・ファッションストーリー・プロジェクト」を2016年4月より始動しました。このプロジェクトは、皆様のファッションにまつわるエピソードを、SPURが物語としてまとめていくものです。お寄せいただいたエピソードのうち、こちらのコーナーでご紹介させていただいた方には、同時に掲載する描き下ろしイラストをポストカードにしたものと、iTunesギフト1,500円分を差し上げます。性別や年齢は問いません。あなたのファッションとのエピソードを応募してみませんか? 詳しくは特設ページにて。