ネイビーのジャージ ― 大好きな人が着ていた服 ―

 大好きな人が着ていた服、それはアディダスのジャージです。高校3年生の時に、部活動を行うために着ていたものでした。彼も、私も、同じ部活動で隣同士のコート。ある夏の暑い日に、彼が上下ともネイビーのジャージを組み合わせて着てきたのです。皆が白いTシャツやカラフルな色を着ている中で……。練習も真面目にコツコツこなし、落ち着きのあった彼。「彼の誠実な性格や、芯の強い性格を表しているな~」と、感心しながら見ていました。

 さっそく次の日、私も彼の真似をして上下ネイビー色のジャージを組み合わせてコートに立ちました。ちょうどその頃、彼と話すことがほとんどなくなってしまった時期でしたが、同じ組み合わせの服を着ることで“勇気”や“安心”を感じました。「ファッションは、お守りみたいにもなるんだな」と、その時に初めて思いました。今でも、街中で上下ネイビーのコーディネートを見るたびに、この時の気持ちを思い出します。少しくすぐったい気持ちにもなり、自然と笑顔にもなり、元気になります。これからも、永遠にネイビー色のコーディネートは、私の気持ちに寄り添うアイテムです。

(H.N. 27歳 広島県)

※この企画は毎週日曜日20時に公開していきます。次回は11月27日(日)20時公開予定です

日本発のモード誌『SPUR』は参加型の新企画「SPUR ナショナル・ファッションストーリー・プロジェクト」を2016年4月より始動しました。このプロジェクトは、皆様のファッションにまつわるエピソードを、SPURが物語としてまとめていくものです。お寄せいただいたエピソードのうち、こちらのコーナーでご紹介させていただいた方には、同時に掲載する描き下ろしイラストをポストカードにしたものと、iTunesギフト1,500円分を差し上げます。性別や年齢は問いません。‪あなたのファッションとのエピソードを応募してみませんか?  詳しくは特設ページにて。