アンデルセンアンデルセンのニット ― 赤い服の話 ―

 今年のお正月、大好きだった彼と別れた。帰省した実家で、LINEで別れ話をした。彼は私よりもかなり年上。色々な経験をしてきたのだろう。とても上手く振られてしまった。

 クリスマス前、別れの予感を感じるなかで、いつか雑誌で見たアンデルセンアンデルセンの赤いニットを買った。白いスニーカー、インディゴのスキニーデニム、赤いニットを着たモデルさんに憧れて、自分へのクリスマスプレゼントに。着るとびっくりするくらい暖かくて、真冬でもこのニット一枚で過ごせてしまうほど。彼に、「どう?」と見せた時、「いいね、かわいい。優しい赤色だね」、なんて言われたことを、着るたびに思い出す。まだ寒いこの季節、忘れられない思い出と一緒に、今日もまた赤いニットに袖を通す。

(京都府 23歳 K.I.

※この企画は毎週日曜日20時に公開していきます。次回は3月12日(日)20時公開予定です

日本発のモード誌『SPUR』は参加型の新企画「SPUR ナショナル・ファッションストーリー・プロジェクト」を2016年4月より始動しました。このプロジェクトは、皆様のファッションにまつわるエピソードを、SPURが物語としてまとめていくものです。お寄せいただいたエピソードのうち、こちらのコーナーでご紹介させていただいた方には、同時に掲載する描き下ろしイラストをポストカードにしたものと、iTunesギフト1,500円分を差し上げます。性別や年齢は問いません。‪あなたのファッションとのエピソードを応募してみませんか?  詳しくは特設ページにて。


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