アンデルセンアンデルセンのニット ― 赤い服の話 ―

 今年のお正月、大好きだった彼と別れた。帰省した実家で、LINEで別れ話をした。彼は私よりもかなり年上。色々な経験をしてきたのだろう。とても上手く振られてしまった。

 クリスマス前、別れの予感を感じるなかで、いつか雑誌で見たアンデルセンアンデルセンの赤いニットを買った。白いスニーカー、インディゴのスキニーデニム、赤いニットを着たモデルさんに憧れて、自分へのクリスマスプレゼントに。着るとびっくりするくらい暖かくて、真冬でもこのニット一枚で過ごせてしまうほど。彼に、「どう?」と見せた時、「いいね、かわいい。優しい赤色だね」、なんて言われたことを、着るたびに思い出す。まだ寒いこの季節、忘れられない思い出と一緒に、今日もまた赤いニットに袖を通す。

(京都府 23歳 K.I.

※この企画は毎週日曜日20時に公開していきます。次回は3月12日(日)20時公開予定です

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