俳優・板垣李光人が愛するモード&エッセンシャルな名品アイテム【あの人のお気に入りvol.7】

SPUR.JPの連載「あの人のお気に入り」第7弾となる今回は、モードラバーとしても名高い俳優の板垣李光人さんが登場。映画、ドラマ、CMなどでの活躍のみならず、アーティストとしても才能を開花させる板垣さんの心を刺激するファッションアイテムとは?

SPUR.JPの連載「あの人のお気に入り」第7弾となる今回は、モードラバーとしても名高い俳優の板垣李光人さんが登場。映画、ドラマ、CMなどでの活躍のみならず、アーティストとしても才能を開花させる板垣さんの心を刺激するファッションアイテムとは?

ファッションへの愛とクリエイターへのリスペクトが詰まった“基本装備品”

「今回紹介するバッグや時計、ボトムスなどは、いわば自分の“基本装備品”」と語る俳優の板垣李光人さん。どれも試着を重ねて厳選し、リアルに着こなしに取り入れているものばかり。今年は2024-'25年秋冬パリファッションウィークにも足を運び、直にメゾンのクリエイションを体感。「コレクションで発表されたアイテムには、デザイナーの意志と気持ちが詰まっていると思います。見ただけで『いいな』と感じるのはもちろんなのですが、実際に身につけて初めて、自分に馴染むものかどうかを大切に見極めたいですね」



出演作が続々公開され、俳優として充実の活動を続けるなか、板垣さんは新たにアートの分野でも挑戦を始める。「9月27日から初めての個展『愛と渇きと。』を開催します。以前からデジタルイラストやNFT作品は手がけていたのですが、今回はデジタルの絵をリアルなキャンバスにプリントして、油彩を施した作品などを製作しています。実際に自分で、もの作りをしてみると、ファッションデザイナーが毎シーズンコレクションを発表しているのは本当にすごいですね。よりいっそう尊敬の念が深まりました」と、表現者としての表情をのぞかせた。

「生きていく中で、インプットされていくさまざまなことをアウトプットする行為が、僕にとっては演技であり、アートという形なのだと思います」。そんな板垣さんの私服コレクションには、ファッションへの深い愛と、クリエイターへのリスペクトが詰まっていた。

【ロエベのスクイーズバッグ】クラフト感あるデニムは万能選手

ロエベのスクイーズバッグ
バッグ、パンツ/本人私物、シャツ¥129,000/エドストローム オフィス(ルメール)03-6427-5901

ロエベでクリエイティブ ディレクターを務めるジョナサン・アンダーソンは、いつも自分に新たな視野を与えてくれます。デニム素材のスクイーズバッグは、アートとクラフトに造詣の深いジョナサンらしい新解釈で、一目見て気に入りました。以前からラムレザーのミニサイズも愛用中で、雨の日は使うのを躊躇していましたが、デニムならそこもクリア。色が褪せてきても可愛いだろうな、と天気を気にせず持ち歩いています。ショルダーがチェーンではなくロープなのもクラフト感があって素敵で、斜めがけにした時のバランスも好み。外にポケットがついているのも特徴で、空港でパスポートを出し入れするのに使ったり、何も入れず、ただジーンズのポケットみたいに手だけ突っ込んでも、なんだかサマになるんです。

【ロエベのラムレザーフーディ】作り手のセンスとメゾンの職人技の見事な融合

ロエベのラムレザーフーディ1
フーディ/本人私物、ブーツ¥163,900/ロエベ ジャパン クライアントサービス(ロエベ)03-6215-6116、キャップ、ベルト、ウォレットチェーン、ソックス/スタイリスト私物

裾を絞ることによって生まれる、丸みのあるフォルムが秀逸なフーディ。それをロエベ伝統のラムレザーで作るという、最高のフュージョンを遂げた逸品。このフォルムだからこそ極薄になめされたレザーの質感が映えるし、この質感だからこそ、ジョナサンによるフォルムのよさが際立つ。そんな素晴らしい相互作用が生まれています。

ロエベのラムレザーフーディ2
フーディ/本人私物、ブーツ¥163,900、キーリング¥46,200/ロエベ ジャパン クライアントサービス(ロエベ)03-6215-6116、キャップ、ベルト、ウォレットチェーン、ソックス/スタイリスト私物

レザーなのに布のような軽やかな質感で、もちろん肌触りも最高。今回みたいに、クロップドボトムスとの相性もいいですね。この先着続けていくうちに、体のラインによりフィットしていくのかなと思うと楽しみです。

【カルティエのベニュワールウォッチ】試着を重ねて出合ったファーストウォッチ

カルティエのベニュワール ウォッチ
時計、リング/本人私物、ニットベスト¥50,600/エドストローム オフィス(アワー レガシー)03-6427-5901

これが僕のファーストウォッチ。ベニュワールのミニサイズ、リジッドのブレスレットタイプです。柔らかなフォルムはサルバドール・ダリの絵画『記憶の固執』に描かれた、溶けゆく時計を連想させます。個人的にダリが大好きで「これだ!」と思い、清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入しました。

もともと、カルティエのイエローゴールドが一番自分にしっくり合う気がして、昨年からトリニティなどのリングをコレクションしてきました。指にある程度お気に入りが集まったところで、手首にも何か欲しい、ブレスレットよりも時計がいいな……と、今年に入って本格的に探し始めたんです。ウォッチメーカーを巡ってさまざまな時計をつけたのですが、いかにも“時計然”としているものはあまり自分らしくないと思い、試着に試着を重ねてやっと出合いました。時間を確かめる道具というよりも、手もとのアクセントとして存在感を放つジュエリーライクな1本です。

【バレンシアガのワークパンツ】シルエットとフレキシビリティに惚れ込んで

バレンシアガのワークパンツ1
パンツ/本人私物、シャツ¥129,000/エドストローム オフィス(ルメール)03-6427-5901、Tシャツ¥37,400/ストーンアイランドジャパン(ストーンアイランド) 03-3409-1588、シューズ/スタイリスト私物

バレンシアガのアーティスティックディレクター、デムナの作るものはそのバックストーリーも含めて好きで、やはり毎シーズンチェックしています。試着をして改めてよさがわかる逸品も多く、ショップの前は素通りできません(笑)。バレンシアガはカーゴパンツをたくさん出していますが、なかでも気に入った2024年春夏コレクションのアイテムがこちら。

バレンシアガのワークパンツ2
パンツ/本人私物、シャツ¥129,000/エドストローム オフィス(ルメール)03-6427-5901、Tシャツ¥37,400/ストーンアイランドジャパン(ストーンアイランド) 03-3409-1588、シューズ/スタイリスト私物

注目はボリュームのあるシルエット。ヒップから足もとにかけての曲線がとてもきれいなんです。シュッと絞られていくラインを強調してもいいし、今みたいにフラットシューズで裾にボリュームをもたせてはくこともできる。ウェストのドローコードも可愛い!

ちなみに、このパンツは膝下部分にジップがついていて、ショーツにトランスフォームするんです。1着で2倍楽しめるので、思わず「半額だな」と(笑)。シャツなどでタイトめに合わせるスタイリングの時はフルレングスで、ボリュームのあるトップスを着る時はショーツにしています。バランスが変幻自在で、着こなしの幅が本当に広いですね。

【メゾン マルジェラ×ジェントルモンスターのサングラス】エッジィなマスターピースは、装い方を実験中

メゾン マルジェラとジェントルモンスターのサングラス
サングラス/本人私物、ダウンベスト¥132,000/ゴールドウィン カスタマーサービスセンター(ゴールドウィン ゼロ)0120-307-560、ニットベスト¥50,600/エドストローム オフィス(アワー レガシー)03-6427-5901、グローブ/スタイリスト私物

テンプルのない仮面のようなサングラスは、僕のワードローブの中でも問題児ですね(笑)。いまだに正解がわからなくて、自分らしくかけるにはどうすればいいか、あれこれ実験中。エッジィでユニークなアイテムですが、むしろこれくらい違和感があるものが好き。小さい頃、ハロウィンのショーで観たミステリアスなマスカレードに強烈に惹かれました。そんな記憶にも通じているかもしれません。

メゾン マルジェラのランウェイでは、パステルカラーを用いたルックにスパイス的に使われていて、そのアンバランスさもすごく印象的でした。こういう“らしさ”あふれるものは、つけられる、つけられないに関係なく、マスターピースとしてまずコレクションしてしまいます。そのあとで試行錯誤しながら僕なりのスタイリングを考える、その甲斐のあるアイテムだと思います。 

板垣李光人プロフィール画像
板垣李光人

2002年生まれ。10歳で俳優デビュー後、幅広いフィールドで活躍。主な出演作に、ドラマ『silent』『青天を衝け』『どうする家康』、映画『約束のネバーランド』『陰陽師0』『ブルーピリオド』など。俳優業のほか、アーティストとしての初個展『愛と渇きと。』が2024年9月27日(金)から10月7日(月)まで東京・渋谷PARCO「GALLERY X BY PARCO」にて開催。その後名古屋、大阪を巡回する。最新映画『八犬伝』が10月に、『はたらく細胞』が12月に公開予定。