2017年10月20日の夜、「Amazon Fasion “AT TOKYO”」内の特別企画としてsacai(サカイ)とUNDERCOVERの(アンダーカバー)の合同ショー「10.20 sacai / UNDERCOVER」が開催された。舞台となったのは聖徳記念絵画館前に用意された、特設テント。
当日は悪天候にも関わらず、多くのファッション関係者や報道陣、学生が集結(写真すべて©sacai / UNDERCOVER)
“ハイブリッド”を体現したsacai。東京モデルも登場!
会場にはシートが設けられ、その前には長い直線のランウェイが伸びている。その両端にはそれぞれベルベットのカーテンと、白く巨大なスクリーンが。照明が落ちると、まずはスクリーンが力強く発光。そのサイドからモデルが姿を現しsacaiのショーがスタートした。
ファーストルックを飾ったのは、インフルエンサーでモデルのサラ・シュナイダー。sacaiらしくアシンメトリーに“つぎはぎ”されたラッフルが際立つミニドレスを纏って。
その後も、色と色、柄と柄やデザインが複雑に掛け合わされたハイブリッドなスタイルが軽やかに披露される。チェックやストライプ、花柄など日常的なテキスタイルもぐっと新鮮でモダンに昇華。袖をフロントで結んだワンピースやトップス、両襟で形が異なるジャケットなど細やかな趣向も目を引く。幅広いテイストや要素のミックスアップは圧巻!
東京らしく、SPURではおなじみ萬波ユカをはじめ、福士リナ、江原美希、今シーズン各国のランウェイで活躍したニューカマー新井貴子など、日本人モデルも多数ウォーキング。
アッパーなテンポに乗せたラスト
“表裏一体”スタイルで魅せた、UNDERCOVER
sacaiのラストルックが視界から見えなくなると、天井からシャンデリアが降ろされUNDERCOVERのショーがスタート。軽快なムードから一転、会場はぐっと暗くなりどこか不穏な空気が漂うゴシックな世界観に。ベルベットのカーテンが開き、手を繋いだ双子のような二人が登場。ゆっくりと歩みを揃えてランウェイを進んでいく。これらのルックは、なんとすべてリバーシブル!
今回のテーマはふたつの顔をもったローマ神話に登場する神「JANUS」。人間が抱える二面性を、表裏が一体となったアイテムで表現した。少女性を宿したワンピースから、ボリューム感のあるドレス、ジャケットのセットアップスタイルなどを展開。おなじみの転写プリントアイテムも。
セルフ・ポートレイト作品で著名なアメリカのアーティスト、シンディ・シャーマンのフェイスプリントも印象的。
ショーのラストには、ランウェイモデルではなく少女たちが現れるという東京のみの仕掛けも! おそろいのワンピースを着ていながらも、片方の服だけには赤い糸の装飾が……。この双子をはじめ、1stルックに登場したスカートの柄、オープニング曲など、スタンリー・キューブリック監督のホラー映画『SHINING』(1980)からの着想や引用が見られる。
一夜の邂逅を締めくくった、メッセージコート
そしてふたつのブランドのショー後には、すべてのモデルが「what comes around goes around」とメッセージが謳われたコートを着用しランウェイを闊歩! 迫力満点のパレードで、記録的な合同ショーは幕を下ろした。
世界を舞台にそれぞれのフィールドで時代を牽引する、sacaiとUNDERCOVER。ブランドのますますの躍進を確信するとともに、このショーの熱量を契機に東京のファッションシーンがより盛り上がることにも期待したい。記憶に残る一夜となった。