【アフォーダブル・アクセサリー】ケネス ジェイ レーンの装飾主義

ケネス ジェイ レーンは“フェイク”なジュエリーでじゃらじゃらと自由に着飾ることの愉しみと喜びを教えてくれた。

樹脂の花弁にラインストーンが光り輝く。「ケネスは樹脂をジュエリーに用いた最初のひとり。イチゴのモチーフは、彼の友人でもあるアナ・スイが愛用したことで人気になりました」(シェパード談・以下同)。リング“ビー”¥21,000・“フラワー”各¥19,000・“ストロベリー”¥13,000

シンプルなフープも、ケネスの手にかかれば大胆な趣に。
ピアス¥8,000

きらめくパンサーを装いのワンポイントに。「着脱が簡単にできるようヒンジの改良を重ねオリジナルで考案したんです」。ブローチ¥20,000

「金色と銀色とクリアのネックレスはジャクリーン・ケネディ・オナシスの愛用品から着想を得たもの」。ネックレス(大玉・白)¥26,000・(小玉・金色と銀色とクリア)¥49,000・バングル¥26,000/Once upon a time... 青山店(ケネス ジェイ レーン) ニットドレス¥40,000/ビームス ハウス 丸の内(ロベルト コリーナ) ブラウス¥31,000/4K(ザ ダラス)

キリンや格子のブレスレットも象徴的。(上から)バングル(格子)¥26,000・(キリン)¥22,000・(ドットスタッズ)各¥10,000/Once upon a time... 青山店(ケネス ジェイ レーン)

“FAQUE(フェイク)”ジュエリーは、シンデレラのガラスの靴

ー Interview with Chris Sheppard クリス・シェパード(President) ー

 ケネス・ジェイ・レーンは、模造品として蔑まれていたコスチューム・ジュエリーをおしゃれでクールなファッションアイテムとしてその価値を高め、多くの女性たちの心を虜にしたジュエリー・デザイナーだ。博識家で、まれにみるほどのウィットに富んだケネスは生前、自身を「フェイク・ジュエリーの王様」と呼んでいた(ただしフェイクという綴りはFAQUEとフレンチ風にして)。1994年からケネス・ジェイ・レーンのもとで彼のブランドをビジネス面で担ってきた社長のクリス・シェパードはケネスのレガシーについてこう語る。

「ケネスは女性の本音を知り尽くしていた。彼がよく言っていたのは、“女性たちは誰でもシンデレラ願望がある。模造のジュエリーはまさにシンデレラのガラスの靴。そのジュエリーをつけた途端に、誰もがプリンスと出会える舞踏会に行くことができる”とね。そして彼が常に大切にしていたのは、デモクラティックなブランドであること。地域や職業、人種を超えて、誰もがジャクリーン・ケネディ・オナシスやエリザベス・テイラー、レディー・ガガらとまったく同じものを買うことができて楽しめる、本当の意味で誰もが手の届くジュエリー・ブランドを築いたんです」

 7月末に急逝する直前まで毎日早朝からオフィスに入り、作品作りに没頭していたというケネス。「彼のデザインは、旅行で目にした風景や物、美術館巡りで目についた古代からの遺品、そして大好きだった貝殻や草花、動物たちをモチーフにコピー・マシンとハサミとセロハンテープを駆使して行なっていた。いわゆる切り貼りの天才だった(笑)」とシェパード。

「それがコピーであっても、本物よりも本物らしく彼の視点で、まるでマジシャンのように新しいジュエリーに生まれ変わらせてしまったのがケネス。だから彼は、人からコピーと言われても、私のジュエリーは“オリジナル”と胸を張るのです」

Profile
ケネス ジェイ レーン
1932年生まれ。60年代より貴金属を使わない“コスチューム・ジュエリー”を手がけ長く愛される。その独創性や自由なスピリットは唯一無二。惜しくも2017年7月に85歳でその生涯に幕を下ろした。
©The New York Times / aflo

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※この特集中、以下の表記は略号になります。YG(イエローゴールド)、SV(シルバー)
SOURCE:SPUR 2017年12月号「冬の主役は“アフォーダブル・アクセサリー”」

photography:Yuka Uesawa styling:Saeko Sugai hair & make-up:Yuka Toyama model:Moe Shiina interview & text:Teruyo Mori

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