今、エディターやスタイリスト、バイヤーなどファッションに敏感な女性たちをとりこにしているのが、ニューヨーク生まれのブランド「マーレット(Merlette)」。“旅に欠かせないワードローブ”をテーマにコレクションが展開され、上質なコットンを使用したドレスが大人気。そんなファッション玄人に愛される秘密に迫るべく、デザイナーのマリーナ・コートバゥイ(Marina Cortbawi)氏にインタビュー。
マーレットの“トラベルスピリット”はどこから?
――まずはじめに、ブランド名「マーレット」に込めた思いを聞かせてください。
グローバルに活躍する女性を想像したときに、この名前が思い浮かびました。ヨーロッパでは紋章として使われ、ブラックバードとも呼ばれる鳥の名前なんですが、翼と足のある鳥は“旅”をテーマにするにあたって、ぴったりだと思ってつけました。
――なぜ、“旅に欠かせないワードローブ”をテーマにされたのですか?
現代は旅をするのが簡単になって、インターナショナルな女性はフットワークも軽く世界中を飛び回るでしょう? 私もこのブランドを始める前はコマーシャルディレクターをしていて、あちこちに行っていたのですが、そのときに「こういう服があればいいな」と思ったことがきっかけになっています。軽くて、小さくまとめられて、洗濯ができる。そんな旅に適したウェアを作りたくて。
ファッショニスタから支持される秘密に迫る
――マーレットの服には女性の美しさを引き出す仕掛けがあるように感じます。特にこだわっているポイントを教えてください。
コレクションはすべてルーズなシルエットを意識したカットになっていて、あらゆる年代に似合うように考えて作っています。ベルトなどの小物を使うことでその人の体型にあわせてスタイリングしてもらえるように、手持ちのワードローブとレイヤリングできるように、制作しています。着ていて心地よい、ストレスがないという状態は、自信ももたらしてくれますよね。
――あと、ブランドを通して、白を大事にされていると感じるのですが?
ええ、理由はないけれど白が大好きなんです! そもそも、目に留まったヴィクトリア朝の白いドレスにインスピレーションを受けてブランドがスタートしています。女性たちもライフスタイルが変わって忙しくなり、疲れることが多くなった。そんなときでも白を着ると気分が引き締まって気持ちがいいですよね。アメリカでは夏以降、白を着ないという暗黙の了解があるんですけど、私は一年中着られる色だと信じているし、特に冬に白を着るのは冷たい空気に合っていて素敵だと思っています。
――トレンドに敏感なファッショニスタたちの支持を集めている理由は何だと思いますか?
アメリカでエディターたちが着てくれているのが一番大きいと思います。世界中を飛び回り、忙しいスケジュールをこなす仕事だから、イージーだけどかわいく見えるマーレットの服がぴったり。どんなシチュエーションにもマッチする上、簡単なケアで着られますからね。そうやってエディターのお気に入りになって、エディトリアルページに載せてもらって、と浸透していきました。今ではバイヤーやブロガー、スタイリスト、モデルたちが着てくれています。ニューヨークのダウンタウンのオシャレガールに着てもらいたいと思って作ったので、その夢が叶って嬉しいです。
マリーナの目に映る、日本での人気
――今回は初来日ですよね。東京はいかがですか?
エネルギッシュでスピード感があるところが、ニューヨークに似ていると感じます。
――日本のファッションにはどんなイメージを持っていますか?
日本のファッション市場はぜんぜん分からなかったんですが、展開を始めたらとても人気がでたのでびっくりしました。マーレットの服は日本女性に似合うし、スタイリングがユニークで楽しませてもらっています。アクセサリーなど小物の使い方が上手だし、自分が想像もしなかったレイヤリングが新鮮です。
――具体的にどんなスタイリングをユニークに思いましたか?
ハイブランドのバッグとシューズでモードに着こなすこともあれば、トートバッグとスニーカーで子育てママにぴったりなスタイリングもできる。日本人はイマジネーションがとても豊かだと思います。いくつになってもおしゃれをして、自分なりのテイストを持っている人たちのために服を作っているので、実際にそういう人たちが着てくれているのが嬉しいです。
今季と来季のコレクションについて
――発売中のコレクション No.4は鮮やかなカラーやロングパンツが印象的でした。
秋冬でもコットンは着られるということを打ち出したくて色は強めにしました。秋冬シーズンはレイヤリングが楽しめる時期だと思うので、そこを意識してロングパンツなどのアイテム展開になっています。
――来春のコレクション No.5では、今までに無い葉っぱのプリントなどが新鮮でした。こちらは何がテーマになっていますか?
いつもコラージュボードを作ってイメージを膨らませているのですが、今回は画家ジョージア・オキーフがたくさん描いた花「カラー・リリー」がメインソースになっています。マーレットは花が似合う甘いブランドではないですが、この「カラー・リリー」はとても力強い。袖やネックライン、ドレープは花びらをモチーフにしています。
――アートからインスピレーションを受けることが多いのですか?
ええ、そうなんです。特に画家エルズワース・ケリーの作品からよく影響を受けます。ラインで描かれる植物が好みで。あとは映画や自然もインスピレーション源です。
――今後はどんなブランドにしていきたいですか?
これからも素材にこだわって、旅に持っていくとリラックスできるような、タイムレスなコレクションにしていきたいです。そして、ニットやアクセサリーなど、ライフスタイルに寄り添いながらアイテムの幅を広げられたらと思っています。
マリーナ・コートバゥイ(Marina Cortbawi)
オーストラリア生まれ。ハイブランドのコマーシャルディレクターを経て、セントラル・セント・マーチンズで服作りを学んだ後、2016年にデザイナーとして「マーレット」をスタート。上質なコットンにこだわり、オン・オフどちらのシーンでも活躍するアイテムを展開。
ショールーム アイコン
https://merlettenyc.com/
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