出会いはアプリ、装いはレトロ。はじめましての待ち合わせ

今やマッチングアプリで始まる恋は、珍しくない。どんな人が来るかぎりぎりまでわからないからこそ、待ち合わせでのときめきもひとしお。クラシカルなプレフォールに身を包む女性の、「はじめまして」を追いかけた。

マッチングの瞬間、高揚感が生まれる

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マーゴットは恋人を探そうとアプリを眺めているとふと服のセンスがいい人、マエルが目に留まる。プロフィールにはゾンビ映画が趣味と書いてあって、気が合いそう。文章に嫌みがなく、写真も自撮りではなく、完璧。右スワイプして数分後、見事にマッチング。部屋でまどろむこんな日には、ローゲージのミックスニットのカーディガンを羽織り、シェトランドウールのパンツでリラックス。Tシャツにはカラフルな糸で「THE SUBVERSIVE STITCH」というメッセージが刺しゅうされている。これはフェミニストの美術史家ローズシカ・パーカーの著作からの引用。

カーディガン¥360,000・Tシャツ¥140,000・中に着たニット¥140,000・パンツ¥190,000・ソックス¥44,000/クリスチャン ディオール(ディオール)

初デートはいちばん素敵に見える服を

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1週間にわたり毎日メッセージを交換。同時にウェブやSNSで信頼できる人かをチェックする。やりとりで人柄のよさが伝わってきたので、会うことに。初デートはやはり緊張する。面白くないと思われたらどうしよう、写真と違うと思われたら……不安で胸はいっぱい。だから自分がいちばん素敵に見える、ラグランスリーブの白いブラウスを選んだ。ビブにプリーツ飾りが斜めに配され、幾何学的な印象。ウールクレープのボックススカートを合わせたルックは、60年代のソルボンヌ大学の学生から着想を得て。クロコダイルの型押しブーツで、パンチを加えるのも忘れずに。

ブラウス¥173,000・スカート¥142,000・ピアス¥52,000(参考価格)・ネックレス¥47,000・バッグ¥184,000・ブーツ¥159,000/クロエ カスタマーリレーションズ(クロエ)

想像以上に素敵な人が現れた

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夕方6時。街が夕焼けに染まる中、なかなか彼が見つからないから電話してみる。「チェックのシャツを着ています」という。待ち合わせ場所に現れた彼の姿が、写真より素敵で、思わず笑みがこぼれる。「マーゴットさん? はじめましてマエルです」と彼もはにかんだ。

(右)ポリウレタン素材のトレンチコートに、TBモノグラムのシャツを合わせて伝統とモダニティを融合。ボウリングバッグから着想を得たバッグ「CUBE」も含めてベージュトーンで統一し、レディライクに。
コート¥330,000・シャツ¥130,000・スカート¥190,000・バッグ¥270,000・ベルト¥56,000・ブーツ¥165,000(すべて予定価格)
(左)2019年春夏に使用されたアートワークを、メゾンのコードであるチェック柄にモザイク画のようにはめ込んだ。
シャツ¥68,000・パンツ¥90,000(ともに予定価格)/バーバリー・ジャパン(バーバリー)

初めての食事は、お互いの人となりを知る大切な時間

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予約してあるダイナーへ。住んでいる場所、趣味、仕事の話などで、互いのパーソナリティを掘り下げていく。定番の質問である「なぜアプリを始めたの?」を投げてみると、「趣味が合う人と効率的に出会いたいから」というシンプルな答え。すごく聞き上手なマエルに、つい夢中になって話してしまう。ゾンビ映画の話に花が咲く。

(右)異なる2 種類の花柄がのったシルクシフォンをアシンメトリーに重ねたドレス。パッチワークブーツを合わせて、グランジィに仕上げて。
ドレス¥82,000・リング¥21,000・ブーツ¥78,000・椅子に掛けたコート¥290,000
(左)フード部分にRexyの顔を配した、チャーミングなシアリングコート。
コート¥290,000・パンツ・スニーカー(ともに参考商品)/コーチ・カスタマーサービス・ジャパン(コーチ)

話が盛り上がった二人はそのまま近くのミニシアターへ

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初めて一緒に映画を観るときは、どこで笑い、どこで泣くかが気になるところ。彼女はキャラクターのユーモアに思わず笑ってしまうけれど、隣からの視線が気になってなかなか集中できない。

(右)グラフチェックをのせたニットブルゾンとパンツのセットアップ。レースタイツとハイネックニットで赤をリフレイン。バッグ「グッチ ズゥミ」でクラシックにまとめた。
ブルゾン¥320,000・パンツ¥175,000・ハイネックニット¥98,000・バッグ¥350,000・ネックレス¥259,000・[左手]人さし指リング¥72,000・薬指リング¥52,000・[右手]リング¥80,000・タイツ¥20,000・靴¥118,000
(左)ツィードのノーカラージャケットにいちごのブローチをあしらい、ジェンダーレスな着こなしに。
ジャケット¥400,000・セーター¥130,000・シャツ¥73,000・スカーフ¥56,000・パンツ¥140,000・ブローチ¥110,000・靴¥98,000/グッチ ジャパン(グッチ)

夜道に浮かぶ無数の光を見て彼女は何を思う

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たくさん笑った一日を反芻しながら、一人夜風に当たる。さっきまでのひとときが急に夢の中の出来事に思えてきて、冷静になる。全体的には楽しかったけど、でも……また会うかどうかはわからないな、と思う。ボクシーな「レクタングルジャケット」に、スキニーよりゆとりのあるシェイプのデニムを合わせたマニッシュなスタイル。「ブルジョアジー」「スクールガール」がキーワードのトラッドなスタイルに、ボアでトリムされたニーハイブーツが遊び心を添える。

ジャケット¥360,000・シャツ¥76,000・パンツ¥97,000・バッグ¥210,000・ピアス¥145,000・リング¥57,000・ベルト¥57,000・ブーツ¥235,000(リング、ピアス以外すべて予定価格) セリーヌ ジャパン(セリーヌ バイ エディ・スリマン)

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SOURCE:SPUR 2019年7月号「はじめましての待ち合わせ」
photography: Kiyotaka Hamamura styling: Mayu Yauchi hair: HORI〈bNm〉 make-up: Rie Shiraishi model: Margott, Mael cooperation: PROPS NOW, LINEN & DECOR

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