「今はこれさえ着ればOK、という強力なトレンドアイテムがない時代。2019-’20年秋冬は、簡単にカテゴライズできないようなスタイルが多く見られます。そこでものをいうのがスタイリング力。何をどう重ねるか、が重要なんです」。そう分析するスタイリストの浜田さん。1点10万円以下のアイテムで、次シーズンのムードを先取りするモードなレイヤード術を完全講義!
FUSAE HAMADA/STYLIST
SPURをはじめ、多くのモード誌で活躍。徹底的なリサーチに基づきアイテムを厳選。実際に手に取り、体にまとってスタイリングを吟味する。その実践から生まれる的確で説得力のある言葉に、ひれ伏すモード信者も多数。
クラシックなチェックと色・柄・ボリュームのぶつかり合い
秋冬の大きな流れのひとつとなっているクラシックなスタイル。その中でチェック柄にも注目が集まっている。浜田さんは異なるチェックを組み合わせたドレスとパンツを重ね、カラフルなタイダイやレオパードを大胆にミックスした。「正統派すぎるよりは、少し毒があるくらいがちょうどいい。頭を柔軟にして、気になったものを自由に取り入れてみるんです」。また、シルエットにもメリハリがマスト。「ボリュームのある袖のブラウスでスタイルにパンチをきかせました」
スクールボーイ風スタイルにシアー素材を合わせて中性的に
今、ミニ丈のボトムが気になるという浜田さん。グレーのショートパンツをピックアップし、ワントーンでまとめた。「ショートパンツにハイソックスを合わせているのでぱっと見ボーイッシュ。けれどデコラティブな袖のシャツをシルバーのシアーなタートルニットとVネックニットで挟めば素材感に裏切りのあるレイヤリングに。センシュアルでありながら、性別を超えたスタイルです」。ルールは度外視。既存の枠にとらわれない想像力が求められる。
ヴィンテージライクなムードにケミカルな要素を加える
手仕事感のあるフリルつきのレース編みニットに、レトロな柄と色みのパフスリーブのロングドレス。ブラウン&カーキ系でまとめた着こなしに、浜田さんは相反するレモンイエローのベアトップをオン。「完成されたスタイルに、あえて何か余計なものを一点プラスしたい。酸味のある果物を思わせるアシッドカラーは今気になる色。温かみのある素材感にケミカルなチュールを差し込んで意外性を楽しむスタイルに」。足もとは抜け感の出るサンダルがイチ押し。
ダークでロマンティックなロンドンのテディ・ガール
「断トツ今の気分」だという「ダークロマンス」のエッセンスを取り入れて。パンキッシュなモヘアカーディガンと前後の裾の長さが違う英国調ツィードのペンシルスカートに、ロマンティックなレースシャツを合わせた。「レースが際立つよう、下に白シャツを重ねました50年代ロンドンの不良少年たちの傍らにいた、"テディ・ガール"もイメージ。秋冬の注目アイテム、ハットと、コンバットブーツも加えて」。網タイツにソックスを重ね、足もとレイヤードにもひと技あり。
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SOURCE:SPUR 2019年8月号「浜田英枝の先取りレイヤリング講座」
styling: Fusae Hamada photography: Bungo Tsuchiya〈TRON〉 hair: Moe Mukai make-up: Masayo Tsuda〈mod’s hair〉 model: Lou edit: Itoi Kuriyama