一人でめいっぱいファッションを楽しむのもよいけれど、おしゃれなパートナーとの相乗効果を考えて服を選ぶのもまた一興。NY、パリ、ロンドン、東京から、仲よしカップルの息ぴったりな着こなしを発信する。
街で異彩を放つ恐るべきカップル
Young Emperors in NY
インスタグラムで「ヤング・エンペラーズ」としてNY、そして世界各地の街角でシュールなポーズのペアルックを投稿し、熱い注目を集めるイザベル(左)とネルソン(右)。このカップルは一体何者なのか? 「私たちはデュオのフォトグラファーであり、クリエイティブディレクター。ペアルックを始めたのはつき合い始めた5 年前から。自然とお揃いのテーマの格好で外出するようになったの。撮影現場でなくても、あふれるアイデアを形にしたくて、自分たちを撮影し、編集するアカウントを始めたところ、毎日がパフォーマンスみたいに楽しくなりました」
アートがあふれるバワリー地区では、二人ともにNY発信のお気に入りブランド、LORODのドレス&シャツを主役に。コンテンポラリーなデザインを黒とブラウンでまとめた。ネルソンのパンツは、「今季NYFWでフルディレクションを担当した」というDANZのデビューコレクション。イザベルの靴はBY MINA、イヤリングはSUNNEI。
「ペアルックといっても私たちは完全なツインではないの。カラーやシルエットをリンクさせて、お互いの個性を生かしたスタイリングを心がけています」とイザベル。彼女はボディコンシャスで大胆なグラフィックが話題のLAブランド、MAISIE WILENのブラウスとレギンス。スカートはONARIN。ソックスブーツは韓国ブランドYUUL YIEから。「KIMSHUIなどアジアンデザイナーにも注目しているよ」とネルソン。彼はメゾン キツネのオレンジのルックをチョイス。
テーマはフランス国旗へのオマージュ! 最近二人が夢中だというBARRIEの色違いセットアップは、「シャネル傘下のブランドで、上質なカシミヤを用いた遊び心あるデザイン。着心地も抜群」。ネルソンにとって「帽子はスタイリングに欠かせないアイテムのひとつ」。MUTEMUSE(右)とクリスチャン ルブタン(左)のバッグは赤で合わせ、フランス出身の二人が着こなす究極のパリシックを体現。
「北フランス・トゥルーヴィルの海岸に連なるパラソルを思い出す」というルックはメゾン キツネから。イザベルのバッグはOSOI、サンダルはCHIELEI。フェンディのイヤリングは、片方ずつシェアして身につけ、耳もとに愛のしるしを。学生時代にパリで出会い、NYで恋に落ちた二人。「空を見上げるときも映画を観るときも外出はいつも一緒。NYではトトカエロやマクナリー・ジャクソンなどのお店を巡ってはインスピレーションを得ています」
「パステル・ロマンティック」と題したスタイリングもメゾン キツネから。ネルソンからギフトで贈られたジャックムスのミニバッグをアクセサリー感覚で。「私たちの写真にはジェンダーレスというメッセージを込めているの。男性だってスカートをはいてもいいし、どんな色を身につけてもいい。ノーマルは壊して進化していくもの。想像力豊かに装いを楽しんで」めでたく婚約した二人の旅は続く。
Sophie Houdré& Jérôme Verbrackel in Paris (スタイリスト、VMD&メゾンブランドのビジュアルコミュニケーション)
肩の力が抜けた上品なパリシック
(右)「よくマレを散策します」というファッション業界で働く二人。ハイブランドを取り入れつつ、エフォートレスに装う。ソフィは祖母からもらった緑のシャツに、CARELのメリージェーンの黄色をきかせて。バッグはマルベリー。ジェロームのシャツはA-COLD-WALL、デニムはラフ シモンズ。「サンローランの靴はソフィからのギフト。履きすぎて壊れてきてしまった(笑)」 (中)「ファッション関係のディナーへ」というテーマで。ソフィのシャネルのバッグは母親から譲り受けた。「最近生まれた娘に引き継ぎたい」。ネックレスはSAMUEL FRANÇOIS JEWELRY。ジェロームのスーツはヴィヴィアン・ウエストウッド。靴はルイ・ヴィトン。 (左)二人とも「こだわりはやや短め丈」というリーバイスのジーンズで揃えた。ジェロームのスニーカーはリーボック。ソフィはカチューシャでポイントを。バッグはSTAUD。「REJINA PYOの靴はジェロームから」
Crystal Anderson & Kiesh in NY (「Man Repeller」プロダクションマネジャー&コンセプチュアルアーティスト、デザイナー)
自分らしくあれ! 個性を前面に押し出して
(右)たびたびメディアに登場するNYファッション界注目のカップル。キーシュ(右)のオレンジのパンツはSHEILARASHID。二人の名前が刻まれたネックレスを愛用。RACHEL BURKEのリメイクジャケットに、ヴィンテージのチュールドレスを合わせたクリスタル。「いつだって着たいものを着る。この派手なルックも私には日常着」。MELODY EHSANIコラボのNIKEのスニーカーはキーシュからのプレゼント。 (中)カムフラージュ×赤のペアルックにも彼女たちの個性が光る。クリスタルはバレンシアガのシューズをポイントに、BILLIONAIRE BOYS CLUBのトップスとパンツを。「着心地のよさを貫く」キーシュは、BONNE SUITSのトップスとパンツに、VANSのスニーカー。 (左)キーシュのレザージャケット、 クリスタルのシャツとパンツは、ともにドイツのDOROTHEE SCHUMACHER。「古着、ストリート、ハイブランドを織り交ぜた私たちらしいルック」。キーシュのスニーカーはPYER MOSS X REEBOK。
Brit Bones & Galih Richardson in London (イラストレーター&帽子デザイナー、モデル)
クロゼットは共有。自然に色みが統一される
(右)アートな感性で惹かれ合うブリット(右)とガリ。「私たちは100%ワードローブをシェアしているの。もともと私はオーバーサイズで着るのが好きだしね。今回はベージュとオフホワイトを基調にマスタードは差し色に」。ブリットのトップスはリーバイス、パンツはケンゾー。靴はGRENSON。ガリの白いジャケットは古着、靴はRED WING。 (中)「50年代のカレッジから着想を得たの。Teddy Boyスタイルが永遠に好き。よくハイドパークを散歩して、近くの古着店をチェックしてる」。指輪もすべてヴィンテージで、それぞれ贈り合ったものも。ブリットのジャケットはベネトン。ガリのカーディガンは古着。 (左)ロンドンの若者に人気のダブルデニムスタイルで統一。「インディゴのワイドデニムを選ぶのが肝」。ブリットのジャケットはラルフ ローレン、ボトムはLANE FORTY FIVE。ガリのデニムシャツはHACKETT LONDON、ボトムはユニクロ。帽子デザイナーのガリは今、パイナップルレザーに注目している。
レストランへ向かう「おしゃれとウワサ」の二人をキャッチ in Tokyo
Lee Izumida(絵描き)& 世良田奏大(美容師)
晴れて、昨年ゴールイン。特別な日には東長崎の“鰻家”で特上の鰻をオーダーするそう。「バイクを二人乗りして、食べに行きます。今日着ているRELDIのドレスは、ポケットがついていて仕事のときも作業しやすくて便利。カジュアルな素材感なので、ディナーには、JOSEPHのレザースリッポンを」と語るIzumidaさん(左)をエスコートするのは世良田さん。「異素材のワントーンできちんと感を意識しました。SSZのシャツ、REDKAPのパンツ、スニーカーは古着屋でゲットしたNIKE。スエードのハットは、HENDER SCHEMEです」
岡部駿佑(エディター、スタイリスト) & リアム・ゴードン-スナイダー(モデル、俳優)
ファッション賢者として知られるエディターの岡部さん。「デートでは、小石川後楽園やみなとみらいへ足を運びます。ディナーには、リラックス感もあり上品なDRIES VAN NOTENのシャツを。ジャンプスーツはHAIDER ACKERMANNです。母から借りたパールのブローチを胸元に飾りました」じゃれ合う二人に共通するのは、DR.MARTENSのシューズ。友人を通して知り合った彼はカナダ出身のリアムさん。「食事をしやすい着心地のいいものを選びました。MUGLERのニットに、EMPORIO ARMANIのリュクスな素材のパンツを合わせて、ドレッシーに仕上げました」
MAYU KAKIHATA(DJ、セレクター)& TEE(プレス)
二人をつないだのは趣味のレコード収集。休日はレコード店を巡り、焼き鳥店へ行くのがお気に入りのデートコースだというMAYUさん。「普段はパンツが多いのですが、今日はグッドガール風にまとめました。カシミヤのシャツドレスはTHE ELDER STATESMAN。シューズはADIEU、バッグはL/UNIFORMです」。お相手のTEEさんは“キャラ立ち”した着こなし。「僕はNIKEのスニーカーから色をひろって、THE ELDER STATESMANのニットとACNE STUDIOSのボトムを。ゴツすぎず、上品さのあるALL BLUESのネックレスもポイントです」とTEEさん。
キエン・リュウ(フリーランス) & スイ・ワン(会社員)
日本語学校で出会い、知り合って5年目に交際がスタート。スイさん(右)は、春ムード満点な淡いトーンで統一。「TOMORROWLANDのブラウスに、VIOLETTE ROOMのドレスを重ねました。ボトムとシューズはヴィンテージ。お出かけ感が出る、ワンハンドルのバッグはBIGOTREのものです」。彼女をやさしくリードする、スタイリッシュなモノトーンできめた、キエンさん。「sodukのジャケットと、コム デ ギャルソンのシューズは、ここぞというときに便利です。セーラーカラーのシャツは古着。ボトムとベレー帽はオンラインサイトで購入しました」
河北桃子(モデル) & 八巻伊織(スタイリスト)
二人とも好きな海鮮料理や、おいしいお酒を求め、ふらりとお店に入るデートを好むという河北さん(左)。この日、八巻さんのお下がりのジャケットをさらりと羽織って登場。「すべてヴィンテージで、ジャケットとデニムはJEAN PAUL GAULTIER。インのシャツはイッセイ ミヤケです。バッグは祖母のフェラガモ」彼女の装いと共鳴する濃いブルーを取り入れた八巻さん。「トップスとブローチはヴィンテージ。ほかはMARTIN ROSEです。ボトムは、ベーシックだけれど、裾から裏地がのぞくデザインで、ツイストがきいているんです」
SOURCE:SPUR 2020年5月号「アモーレ・スナップ」 photography: Naoko Maeda(Young Emperors, NY), Ayumi Shino(Paris), Aimi Kishimoto(London), Anna Miyoshi(Tokyo) hair: Kazu Katahira(Young Emperors) make-up: Hinako(Young Emperors) location: Sister City, Last Light(Young Emperors) coordination & text: Mari Fukuda(Young Emperors, NY) coordination: Hiroyuki Morita(Paris), Saori Yoshida(London) edit: Ayana Takeuchi(Tokyo)