彼女は世界の秘境、あるいは地球外のどこかから音楽と映像を生配信するDJ。シンガーソングライター、マイカ・ルブテによる選曲とYOSHIROTTENのアートワークにのせて、カルチャーの薫り漂うTシャツの着こなしを届けたい。
「スケールの大きい遺跡の風景には80年代のAORを引き継ぐこの曲が浮かびました」とマイカ・ルブテ。高橋恭司の写真を転写したTシャツにクリノリンのような骨組みスカートを合わせ、ピラミッドにも負けない構築的なスタイルに。
「バオバブの木にUFO。ここにはまさにオーガニックな電子音楽といった趣の、ミュンヘンのエレクトロニカ・サウンドを」。Tシャツの重ね着は、ロゴとカラーをリンクさせる。さらにグローブ&パンツと、タイダイTシャツで緑の濃淡を演出。
「美しい色の雲海を見下ろしながら、みんなで天使の格好をして、パーティをしたいという気持ちを込めてハウスを選びました」。ヴィム・ヴェンダースによる映画『ベルリン・天使の詩』(’87)から名シーンを引用したTシャツ。モノクロプリントに合わせて黒のジャンパースカートを。チュールのフリルが羽のようにスクリーンを彩る。
“場違いな工芸品”が浮遊する海辺にて。胸元にSNSのロゴが配されたTシャツはベニスビーチに着想。パープルのビニールスカートを合わせてソルベトーンでまとめ上げる。「不思議な色のビーチで能天気なこの曲を流してぼーっと寝そべりたい。宇宙人がモヒートを持ってきてくれたりして」
「『星の王子さま』に出てくる王子が大切にしていたバラを思い出しました。もし観客全員が、あのちょっと面倒くさくて可愛い性格のバラだったなら、こんな曲でDJして、様子を見ます」赤い花が咲き乱れるどこかの惑星で、地球に向けて配信。まとうのはバラとダンスする貴婦人、地球がバックで主張する黒T! 花畑柄のロングスカートで重めのバランスに。
実際にパーティに参加できなくても、それぞれの部屋でマイカ・ルブテのプレイに耳を傾ける。お気に入りのTシャツ姿で楽しみたい。
「少しストイックな気持ちで、雪山の絶景、あるいは氷の洞窟で響かせたいトラックです。これはJamieのリミックスだけど、原曲も好き」。ひんやりとしたアイスケーブで衣装に選びたいのは、異なる白のグラデーション。フリンジチョーカーや、フェザーをあしらったハーフパンツで着心地のよいシンプルな白Tシャツを“リミックス”。
「空のオーロラはきれいなのに、地上は不毛な荒野。強い気持ちでいないと生きていけないこの惑星で聴きたい楽曲は、今の時代とリンクするマコ・マレッツさんのラップの歌詞がメッセージを強化してくれました」。オーロラとマッチするマーブル柄ドレスはグローブ一体型。上からカットアウトTシャツを重ねて肌を見せ、抜け感を演出。
SOURCE:SPUR 2020年9月号「世界の果てからDJ配信」
photography: Toshio Ohno 〈L MANAGEMENT〉 styling: Sumire Hayakawa 〈KiKi inc.〉 hair & make-up: TORI, artwork: YOSHIROTTEN, Natsumi Sunohara 〈YAR〉 model: Maika Loubté, Muhanad, AN, Suzanne cooperation: Getty Images