自然史、アート、科学など19の博物館群などからなるアメリカの「スミソニアン博物館」。アメリカの知の宝庫であるこの博物館が今年、300万点近くのデジタル画像や資料にフリーでアクセスできるデジタルプラットフォーム「スミソニアン・オープン・アクセス」を開設。新作のプレフォールコレクションとともに、時間も場所も飛び越えて自由な想像の旅に出てみよう。
title:Beatrice D’Este
真珠を身につけ、凛と前を向くベアトリーチェ・デステの肖像画。イタリアのルネサンス時代に芸術や文学を愛したミラノ公妃の耳もとに輝くのは、パールと星モチーフ、ブランドのロゴが輝くコスチュームジュエリー。遊び心あるアクセサリーを包み込むように、端正なプリーツカラーのシルクブラウスをまとって。ブラックリボンが引き立てるシルクの乳白色がやわらかなエレガンスを完成させる。
title:Darwin Martin House
モダンな幾何学模様のステンドグラスは、フランク・ロイド・ライトによって設計された20世紀初頭のダーウィン・マーティン・ハウスのトップライトから。ブラウス、ジャケット、パンツと同色のスカイブルーで揃えたスリーピースはレトロムード。光のグラフィックをタイムレスに駆け抜けて。
title:In the Sunlight
アメリカを代表する印象派の画家チャイルド・ハッサムが、光の中で寛ぐ女性たちを描いた「In the Sunlight」。絵画の中に迷いこんだのは、シアーなチュールのイブニングドレスをまとったセンシュアルなレディ。「ベル ドゥ ジュール（昼の美女）」をテーマにしたフェンディの華やかなドレスは、明るい日差しによく似合う。現代のディスタンスでドレスアップを楽しんで。
title:Blue Butterfly
植物、昆虫、鉱石などを集め、スミソニアン博物館群の中でも人気の高い国立自然史博物館。そこで羽を休める蝶たちからキスを受けるのは、メゾンの飽くなき冒険心をトワル ドゥ ジュイに描いたディオールのコットンドレス。ベルトマークしたウエストから広がるプリーツスカートの端正なシルエットとワイルドな景色のミックスマッチで魅せる。
title:Flower Bough
18世紀に描かれた繊細な花々に包まれて、心まで明るくなるような濁りないオレンジカラーをまとったら深呼吸を。小さなレースに縁取られたビブフロントシャツは、ナローショルダーやコンパクトな袖回りで、ボディラインにフィットするデザイン。カラーとシルエットの絶妙なバランスが、プラダらしいモダニティを浮かび上がらせる。
title:MA-6
民間セクターが有人宇宙飛行の成功を世界中にリアルタイムで配信する約60年も前。地球を周回した最初のアメリカ人が乗船した「MA-6」は今、国立航空宇宙博物館に展示されている。空想の宇宙旅行は、星の瞬きのように輝くシークインで覆われたチュールドレスとともに。映画『エクソシスト』（’73）プリントのＴシャツとの対比で、夢とリアルの間を楽しんで。
title:Angel
天使画を得意とした19世紀の画家アボット・ハンダーソン・セイヤー。やさしい天使への祝福を込めて着るのは、アシンメトリーに波打つ裾が自由なフォルムを描くホワイトドレス。ブランドロゴが交錯するグラフィカルなプリントと、襟元を飾るスカーフのクラシカルなコントラストが美しい一枚。
title:Hadrosaurus Skeleton
映画『ナイト ミュージアム2』（’09）の舞台としても登場したスミソニアン博物館。深夜にこっそりと忍び込めば、恐竜の化石と対話する“バルーンガール”に遭遇することも!? ミニ丈のラップドレスはバルーンスリーブがアクセント。張りのある素材感は、可憐なシルエットにモードなエッジをプラスする。
SOURCE：SPUR 2020年9月号「スミソニアンで会いましょう」
photography: Masanori Akao 〈whiteSTOUT〉 styling: Tomoko Iijima hair & make-up: Hiroko Ishikawa model: Stella
