2020.12.24

19歳の新星を、私たちはまだ知らない「吉井 添、きみは宇宙」

突如として現れたルーキーモデル・吉井添。美しく、どこか憂いを帯びた姿は「この人は一体何者?」と私たちの胸を高鳴らせる。彼の中に広がる“宇宙”とモードが融合したとき、そこには唯一無二のイメージが誕生する。

胸のハートが溶けるとき

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ハートのキーチャーム¥18,500/Acne Studios Aoyama(Acne Studios) シャツ¥41,000・パンツ¥40,000/エドストローム オフィス(アワー レガシー)

リラクシングなシャツのボタンホールに揺れるのは、黒いハート。まどろみの中にいるような表情とともに、彼の無限の可能性の片鱗に思いを馳せたい。

モードは自由に着てこそ

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シャツ¥149,000・パンツ¥86,000・ベルト¥81,000・ストール¥39,000・ブーツ(参考色)¥144,000/ドリス ヴァン ノッテン ショートパールネックレス¥475,000・ロングパールネックレス¥765,000/TASAKI ソックス/スタイリスト私物

ファッションを純粋に楽しむ折衷主義を提案した、ドリス ヴァン ノッテンの秋冬。ベルベットの柄トップスに、クロップドパンツを合わせた。パールのネックレスで、さりげない上品さもプラス。「普段暖色系のものはあまり着ないんです。でも今回ストールやトップスも黄色やオレンジで、私服にもっと取り入れてもいいのかな、と思いました」と吉井さん。

美しさに境界はない

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ドレス(参考色)¥497,000/ロエベ ジャパン クライアントサービス(ロエベ)

タイトなラインが緊張感を宿すドレスこそ、潔く装いたい。フロントの切り替えがよりストイックなムードを強調する。「ドレスは初挑戦です。不思議だし、貴重な体験でした。もっと少年のときに着ていたら、アンニュイさや中性的な感じが今よりさらにマッチした気もします。(写真を見て)自分の体の細さにも改めて驚きました(笑)」。

漫画の世界から、現実に

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コート¥634,000・ボウスリーブ¥175,000(参考価格)・中に着たドレス¥405,000・ブーツ¥219,000(参考価格)/メゾン マルジェラ トウキョウ(メゾン マルジェラ) イヤリング¥6,000/ジャンティーク

鮮烈な赤のコートに、ボリュームスリーブをオン。「今回まとった中でこのルックが一番好きです!スチームパンク感というか、漫画の『AKIRA』から出てきたようで。少年心がくすぐられます」。挑むような目つきに、デビッド・ボウイをも想起させるカラーメイクアップがフィットする。

着たいものを好きに着る

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コート¥335,000・ドレス¥165,000・デニム¥75,000・ヘアアクセサリー¥118,000/グッチ ジャパン(グッチ)

ラフに着られる花柄のドレスは、グッチの秋冬ランウェイで男性が着用していた一着。「自分自身も着たい服を着たいし、もっと自由な風潮が広がったらいいですよね」。合わせたデニムがよりヴィンテージライクな空気を醸し出す。仕上げにビジューのヘアアクセサリーできらめきをひとさじ。

怪獣になってみたかった

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(以下2点参考色)ジャケット¥395,000・靴¥126,000・(以下2点参考価格)スカーフ¥190,000・ショーツ¥155,000/モンクレール ジャパン(1 モンクレール JW アンダーソン)

空をつかんで、気分はモンスター。「『怪獣になりたい』という夢があったので、ひとつかなったようでうれしかったです。こういう奇抜なデザインも、日常的に着て出かけたら素敵だなと思いました」。ソフトなダウンジャケットにパンキッシュな“棘”のデザインが施された力強い存在感。ユーモラスな遊び心を持って装いたい。

モデルとして仕事をしながら、少しずつ自信もついてきました

 カメラに向かって視線を投げかける吉井添。物憂げだったり鋭かったり、瞳の奥にどこか“宇宙”のような底知れなさがある。そんな彼は半年前、高校を卒業して長野から上京。本格的にモデル活動を始めたばかりだ。しかしあっという間に多方面から声がかかり、日々露出の機会も増えている。順風満帆に見えるが「自己肯定感が低いのがずっとコンプレックスだった」と語る。
「撮影はどれも本当に楽しい。モデルを始めてからたくさんの方から言葉をもらって、少しずつ自分に自信が持てるようになりました。すごくよかったと感じています。まだ経験が浅く未熟なので、具体的な目標は立てていなくて。今あるお仕事をしっかりこなしたい」
 私生活ではゲームのほか、アニメやコスプレも好きなのだそう。
「とあるゲームのキャラクターのコスプレがきっかけで、メイクアップもするように。そのとき目の周りを赤くしたんですが、その名残ですね。中国や韓国のコスメもSNSで見て、ネットで購入することも。香水も好きで、寝る前にバニラ系の香りをつけています」
 音楽については「3人の姉の影響をそれぞれ受けた」という。すでに解散してしまったバンド・イツエや黒木渚などインディーズの邦楽から洋楽まで、多彩なジャンルを聴く。一方、映画はホラージャンルを好む。
「父が好きだったので、小さい頃から家にホラー映画のDVDがたくさんあって片っ端から観ていました。『CURE』(’16 )や『シャイニング』(’80 )など、霊現象をオカルトと心理状態の境目でとらえるような、抽象的な作風が好きです。今もNetflixでホラードラマを観ているところ」
 絵を描くことも趣味のひとつ。主に人物を題材とした高い力量は、Instagramでも一目瞭然だ。
「物心ついたときからずっと好きですね。今はエネルギーがあるときに、何も考えずiPadで手を動かしはじめることが多いかも。進めるうちにだんだん厚塗りになっていくんです」
 ここで語った好きなものに、彼の世界観を構成する一部が感じられた。「エモかった」一年を終え、先日19歳を迎えたばかり。
「今日の撮影は、ファッションの最先端だったように感じて、これまでの仕事とは違う気持ちになりました。僕はまだまだ詳しくないですが、ちゃんとフィットして形になっている感覚もありました。19歳は目標を見つけて、人に頼らずに頑張れるようになりたい」
 彼の奥にある無限の可能性が、どう花開いていくのか。その答えを、私たちはまだ知らない。

TEN YOSHII
よしい てん●2001年11月11日生まれ。イマージュ所属。『Them magazine』にてモデルデビュー。現在ブランドの広告や雑誌を中心に幅広く活躍する。Instagram: @ttt_eee_nnn


SOURCE:SPUR 2021年1月号「吉井 添、きみは宇宙」
model: Ten Yoshii photography: Hiroko Matsubara styling: Fusae Hamada hair: KENSHIN〈EPO LABO〉 make-up: Masayo Tsuda〈mod’s hair〉 cooperation: AWABEES

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