春のモードが芽吹くとき。眞栄田郷敦、二十歳のめざめ

端正な顔だちと、類いまれな身体性を武器に、眞栄田郷敦がハイモードを軽やかにまとう。準備期間だったという10代を終え、夢へと羽ばたく二十歳の新星は、力強く未来を見つめている。

Louis Vuitton

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ジャケット¥403,000・シャツ¥80,300・パンツ¥133,000・スニーカー¥148,000/ルイ・ヴィトン クライアントサービス(ルイ・ヴィトン)

「色合いが特に好きです。何より、このパンツ、めっちゃ脚が長く見えて驚きました」。ヴァージル・アブローが手がける春のスーツは、やさしいパステルトーン。ジャケット、パンツともにアジャスターがつき、シルエットで遊ぶ楽しさも。

Bottega Veneta

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ジャケット¥135,000・オーバーオール¥130,000・靴¥184,000/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン(ボッテガ・ヴェネタ)

「しっかりしたデニム地ですが、オーバーサイズだからか、動きやすくて最高! これは可愛いです!」と歓喜するオール・イン・デニムスタイル。足もとにはナッパレザーのイントレチャートによる極上のスリッポンを。

Gucci

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コート¥395,000・ニット¥120,000・パンツ¥115,000・ネックレス各¥54,000/グッチ ジャパン(グッチ)

「洋服から感じられるジェンダーレスなムードがいいですね」。究極の折衷主義から次のステージに進んだグッチの新作は、70年代フィーリングを細部に宿す。ジェンダーの垣根を越え、メイクアップにも遊びを加えて。

Dries Van Noten

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ジャケット¥128,000・シャツ¥59,000・パンツ¥66,000/ドリス ヴァン ノッテン

「ワードローブは無地が多いのですが、これは正直、ハマったと思います。とても好きです!」。ジャカードで描いた花柄、シースルーのゼブラ模様、そしてフォトプリントの花。メゾンを象徴するような柄×柄のミックスマッチが、モードの新たな扉を開く。

Maison Margiela

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ニット¥115,000・パーカ¥76,000・パンツ¥69,000・スニーカー¥59,000/メゾン マルジェラ トウキョウ(メゾン マルジェラ)

「派手ではないのに、ユニークで中性的。そんなメゾン マルジェラの個性が好きです。しれっと部屋着にもできそうなラフさがいい」。オールホワイトのスタイリングで、未来へと飛躍して。

眞栄田郷敦に2020

二十歳にちなんで、20のクエスチョン。
一問一問「うーん」と真剣に悩みながら出した答えには、ほんのり少年の残り香が。

Q1. 長所・短所は?
A1. よくも悪くも、不器用。

Q2. 自分を動物に例えるとしたら?
A2. アリ。
せっせと働いて、体の何倍も大きい穴を掘るんですよ。憧れます。動物でもないし、虫全般、大嫌いですけど……(笑)

Q3. 誰にも負けない特技は?
A3. 努力。

Q4. オフの日の過ごし方は?
A4. 10時くらいに起きて、映画を観たり、ジムで体づくりをしたり。今は仕事のことばかり考えています。

Q5. インドア派? アウトドア派?
A5. ん――、インドアかな?

Q6. ストレス発散法は?
A6. あまりストレスを感じないタイプ。でも少しでも感じたら、忘れるための努力をします。切り替えが大事!

Q7. 信じているジンクスは?
A7. いろいろありますが……ひとつ選ぶなら“言霊”。

Q8. 座右の銘は?
A8. 努力は必ず報われる。

Q9. 幸せを感じる瞬間は?
A9. 結果が出たとき。

Q10. 体づくりに欠かせないことは?
A10. 徹底したカロリー計算による食事管理と、筋トレ。

Q11. 自分の体で好きなパーツは?
A11. 鎖骨。

Q12. 男と女、どちらに生まれ変わりたい?
A12. 男。

Q13. ラッキーカラーは?
A13. 赤らしいです。自覚はないのですが、よく人から言われます。

Q14. 気合を入れたい日に身につけるものは?
A14. 香水。ナチュラルな香りが好き。

Q15. パワースポットは?
A15. 実家。

Q16. 一番印象に残っている思い出は?
A16. 高校時代、念願だった吹奏楽の全国大会に出場を果たしたこと。人生で一番笑って、一番泣きました。

Q17. 最上級のご褒美は?
A17. 爆食。何かは選べません。全部食べたい!

Q18. 会ってみたい人は?
A18. マイケル・ジャクソンに会ってみたかった。

Q19. 個人プレー派? チームプレー派?
A19. チームプレーかな。自分ひとりの力では生きていけないので。

Q20. 魔法をひとつだけ使えるようになるとしたら?
A20. 時間を自由に操作できる魔法。将来や未来に行くのではなくて……一日の時間を、もっと長くしたいです。

Interview

いつか、誰も見たことのない世界を見てみたい!

 音楽に合わせて指でスナップをきかせながらリズムを取り、そこからポーズが生まれる。その軽快な動きに見とれていた次の瞬間、カメラマンが手を止めた隙を狙って、横目でスクリーンをチェックする鋭い視線にハッとする。一枚たりともはずれがないカットが次々と映し出される様に、生まれながらのスター性とはこういうものだ、と確信させられる。

「撮影中はずっと、“どうしたら服の個性を生かせるだろう”と悩んでいました。ハイブランドは着こなすのが難しい分、得るものも大きいから楽しいです。どのスタイリングも個性があって甲乙つけがたい。あっ、グッチのネックレスは特に気分が上がりました。僕のイニシャルだ!って(笑)」

 そう言って無邪気に笑った瞬間、まるで仮面がはずれたように、少年らしさをのぞかせた眞栄田郷敦。全身から放つ圧倒的なオーラとは裏腹に、二十歳の誕生日を迎えたばかりの新成人だ。

「お正月を実家で過ごしていたときに、母から、僕が10歳のときに二十歳の自分へ宛てた手紙を渡されて。そこに、“僕は今、あなたのために頑張っています”と書かれていたんです。われながら、いいこと書いてるなー! と感動しましたね(笑)。まさに10代は、僕にとって“準備期間”だったので。やりたいことに精いっぱい打ち込んで、失敗もして……。やり残したことはありません。まだ二十歳になって間もないので、あまり実感はないのですが……以前に比べて少し、大人の方々との距離が近くなったような気がします。なんていうか、腹を割って話してくれているような。僕の思い過ごしかもしれませんが(笑)」

 ミレニアル世代を代表する俳優のひとりとして唯一無二の存在感を放つも、キャリアはわずか1年弱。高校時代に打ち込んだ音楽の道から、俳優に転身した際は、葛藤もあったそう。

「最初は悩みましたが……ありがたいことにトントン拍子でデビュー作が決まったので、気づいたら後に引けない状況に(笑)。やるとなったら中途半端にはしたくない! と励むうち、演技の魅力にハマっていました。むしろクラシックサックスという狭いジャンルよりも表現の幅が広がり、今ではとてもやりがいを感じています」

「ひとつのことに熱中する」性質から、寝ても覚めても、頭の中は演技のことばかり。オフの日も体づくりのための筋トレや、演技を学ぶための映画鑑賞に費やすなど、そのストイックさは目を見張るものが。

「もちろん才能は大事ですけど、音楽の世界で活躍する人の多くは、努力の天才でもある。僕は不器用なので、人一倍、努力しないと挑めないんです。結果がすべてだと思うから、役者として生きるなら、やっぱり賞がとれる役者になりたい。そしていつか、誰も見たことのない世界を見てみたい。誰も達成できなかったことを、成し遂げたい。口先だけにならないよう、頑張ります(笑)」

 新しい自由を手に入れる成人。その定義が多様化している今、郷敦さんにとっての自由とは?

「やりたいこと、好きなことをでき、その延長線上にある目標を達成するために生きられること。それを周りの方々にもサポートしていただいている僕は、改めて、本当に幸せ者だな、と。そのために制限がかかることはあるけれど、不自由だと感じたことはありません」

 最後に、目標を込めて、これからの20代にタイトルをつけてもらった。
「“最終ステージへの10年間”かな。30歳で僕、役者としての最終ステージにいたいんです。それは、世界的に活躍する方々と勝負するためのスタートラインに立つこと。そして30代で……トップまで昇りたい!」

Profile
まえだ ごうどん●2000年1月9日、LA生まれ。2019年5月、映画『小さな恋のうた』で俳優デビュー。ドラマ「ノーサイド・ゲーム」を経て、映画『午前0時、キスしに来てよ』(’ 19)では主演・片寄涼太の恋敵を熱演。公開待機作に『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』。

SOURCE:SPUR 2020年4月号「眞栄田郷敦、二十歳のめざめ」
model: Gordon Maeda photography: Kodai Ikemitsu〈TRON〉 styling: MASAYA〈ADDICT_CASE〉 hair & make-up:Misu〈ADDICT_CASE〉 interview & text: Ayano Nakanishi

FEATURE