バッドボーイなしぐさに代わって「オタク」なジェスチャーがクールとされる現象が全世界的に発生中。このカルチュラル・リセットに着目すべくギークな「シン・人類」たちのサマーハウス生活に密着。ファッションもヒップホップも好きなオタクたちが、今いちばんかっこいい!
ゆるいヒップホップを流してChill
自慢のコレクションを持ち寄りサマーハウスに集う3人。好きな映画や音楽を掘りながら、おのおのの趣味に没頭する。
(右から・アミサ)’70sスタイルにトラックジャケットを差し込んでギークにアレンジ。
ベスト¥132,000・トラックジャケット¥192,500、スカート¥176,000、靴¥104,500/グッチ ジャパン(グッチ) ソックス¥1,430/ぽこ・あ・ぽこ
(フィンリー)開襟してTシャツを見せ、抜け感を。
ジャケット¥176,000、パンツ¥115,500、靴¥112,200、ソックス¥18,700/グッチ ジャパン(グッチ) メガネ¥64,900/マイキータ ジャパン(マイキータ) Tシャツ/スタイリスト私物 ベルト/モデル私物
(ケイスケ)畝の太いコーデュロイに白シャツ、オーバーサイズのニットを重ねた昔ながらのダッドスタイル。ピンクを選ぶのが彼のこだわり。
ニット¥99,000、シャツ¥66,000、パンツ¥143,000/グッチ ジャパン(グッチ)
僕たちの逆襲
クラスでの“立場”が低かった時代はとうの昔。ナードなeBoyのフィンリーは、尊敬のまなざしを向けられる存在。昔ながらのカレッジジャケットとネルシャツを装い、カラフルでレトロなおもちゃとマッチする着こなしを披露。
コレクションを披露
(上から・アミサ)カーディガンにタンクトップ。斬新なレイヤーに、ビーズチョーカーで今らしい遊び心を。
タンクトップ¥102,300(参考価格)/トム ブラウン 青山(トム ブラウン) カーディガン¥80,300、スニーカー¥71,500/マルニ 表参道(マルニ) パンツ¥38,500/トミー ヒルフィガー カスタマーサービス(トミーヒルフィガー コレクション) ベルト¥4,400/ジャンティーク チョーカー¥14,300/HOOKED
(ケイスケ)お気に入りのフィギュアをピンクに塗ってカスタマイズ。縦横のラインをきかせたスタイルを、ポンポン飾りでキッチュに味つけ。
ニットベスト¥71,500、中に着たイエローニット¥66,000/三喜商事(JW アンダーソン) 中に着たトラックジャケット¥8,800/ジャンティーク パンツ¥94,600/マルニ 表参道(マルニ)
ユニフォームを自分らしく
ブレない軸を持つ一本気なアミサは幼い頃からミニカー・フリーク。スポーティなラインがアクセントのトップスとミニスカートは、あえて渋色のロンTやポロシャツをインに着ることで自身になじむスタイルに。
スニーカー対決
(右から・ケイスケ)トラックジャケットにフーディに、ニット。襟元の多重奏がこだわり。
ニット¥49,500/Acne Studios Aoyama(Acne Studios) フーディ¥20,900/ラルフ ローレン(ポロ ラルフ ローレン) 中に着たトラックジャケット¥8,800/ジャンティーク メガネ¥64,900/マイキータ ジャパン(マイキータ)
(アミサ)ビビッドなジオメトリック柄ベストはストライプシャツとのパターンミックスを楽しむ。
シャツ¥28,600/トミー ヒルフィガー カスタマーサービス(トミー ヒルフィガー コレクション) ニットベスト¥8,800/ジャンティーク メガネ¥57,200/マイキータ ジャパン(マイキータ) 中に着たトラックジャケット/スタイリスト私物
(スニーカー・右上から)ベージュトーンの異素材ミックス。
スニーカー¥49,500/Acne Studios Aoyama(Acne Studios)
オレンジとピンクのバイカラー。
スニーカー¥71,500/マルニ 表参道(マルニ)
白ベースにマルチカラーのラインがポップな印象。
スニーカー¥46,200(参考価格)/アオイ(エムエスジーエム)
まるでおもちゃのよう! フォトジェニックなスケルトン。
スニーカー¥49,500/トミー ヒルフィガー カスタマーサービス(トミー ヒルフィガー コレクション)
干渉し合わない、心地よい距離感
最近もっぱらレトロ回帰している3人。80年代のVHSを観たりPCで90年代の音を再現したり。おのおのの楽しみを尊重しながら時間は穏やかに過ぎていく。
(手前から・アミサ)ゆるいタッチのドローイングが施されたブルゾンに、チェック柄のニットトップスを重ねてパターンミックス。大きめのデニムをハイウエストではき、ギュッとベルトで締めて’80sのムードで着こなす。
ニットトップス¥10,450/STUSSY JAPAN(ステューシー) 中に着たブルゾン¥139,700/スクワット/ルメール(ルメール) パンツ¥28,600/トミー ヒルフィガー カスタマーサービス(トミー ヒルフィガー コレクション) ベルト¥4,400/ジャンティーク 靴¥86,900/チャーチ クライアントサービス(チャーチ) ソックス/スタイリスト私物 (フィンリー)
ポップな色合いのボーダーニットは、トラックジャケットのネックをのぞかせて奥行きを出す。
ニット¥40,700/Acne Studios Aoyama(Acne Studios) 中に着たトラックジャケット¥18,700/ラルフ ローレン(ポロ ラルフローレン) パンツ¥60,500/アオイ(エムエスジーエム) メガネ¥64,900/マイキータ ジャパン(マイキータ) ベルト/モデル私物
(ケイスケ)’90sのストリートを想起させるラガーシャツは、カラフルな配色をチョイス。
ラガーシャツ¥23,100/ラルフ ローレン(ポロ ラルフ ローレン) 中に着たシャツ/スタイリスト私物 パンツ¥39,600/トミー ヒルフィガー カスタマーサービス(トミー ヒルフィガー コレクション) 靴¥60,500/Acne Studios Aoyama(Acne Studios)
「ストリートはインターネットになった」 オカモトレイジ(OKAMOTO’S)
現在ファッションのみならず音楽業界で広く起きている、ギークとヒップホップの蜜月関係。OKAMOTO’Sのオカモトレイジさんに、このテーマに沿ったプレイリストの作成を依頼した。
「厳密にいうと“ギーク”と言った時点でヒップホップとは遠くなってしまうのですが。でも同時にヒップホップは複雑ながら自由な概念でもあるので、一滴も汗をかいていないような清潔感がある“ゆるさ”をテーマに選曲してみました」
カルチャーにおいてアンチ・マッチョイズムでオタクな「シン・人類」が台頭してきた背景には、どういう流れがあったのだろうか?
「従来のヒップホップやストリートカルチャーは現場主義であり、文字どおりストリートで巻き起こっていて、そこでの不良たちの腕力や立場がものを言いました。でも2020年以降、ストリートはインターネット(SNS)になった。そうなれば筋肉っていらないんですよね。またどんなミュージシャンにもライブという現場があり、楽器のテクニックなどフィジカルな部分での勝負がありました。それもデスクトップミュージックの技術的な発展につれて揺らいでいく。レコーディングスタジオはコロナ禍に関係なく潰れてしまっています。昔はスタジオ押さえてエンジニア押さえて、丸一日かけて一曲しか録音できなかったけど、今は家の中で何曲もできる。そうなると、ネットに一日中張りついて最新の知識を蓄えたり古いものをディグったり、家にいる時間が長い者が勝つんです」
今回のプレイリストではブロックハンプトンやAG CLUBなど、「いわゆるこのムード」な人たちは入れず、まだそこまで認知されていないアーティストの楽曲を選んだというレイジさん。
「1曲目のIcey Blouieは韓国の友人。顔面にまでタトゥーが入りまくってますがギークっぽさもあり、まさにだなと。6曲目は、タイトルからしてオタクっぽいのに、ちゃんとヒップホップというのが象徴的です。AG CLUBとリンクするのは2曲目に入れたフィリピン系アメリカ人のYeek。ストリートでありながら、清潔感もある。“アーケード・スタイル”とも言えるかもしれない。ストリートだけど屋根があるから、服は汚れないしケガもしないという感じです」
プレイリスト by オカモトレイジ
1. Make you smile (feat.Futuristic Swaver)(Prod.Dayrick)/Icey Blouie, Futuristic Swaver
2. I'm Not Ready/Yeek
3. nightmares/Easy Life
4. CINCO Minutos Con Vos/Elvis Costello And The Roots
5. Mayday(Feat.Joy)/Crush, Joy
6. NISEKOI/Futuristic Swaver, ASH ISLAND
7. Blind/Cherry Coke
8. nothin/dodo
9. bloom/gummyboy, stei & Le Makeup
10. Cha Cha/Freddie Dredd
11. Qamisama/Qiezi Mabo
12. グレープフルーツ/the hatch
13. Velvet/GLAM GOULD
14. JUST FUN!/Balming Tiger
このプレイリストをSpotifyでチェック↓
SOURCE:SPUR 2021年5月号「オタクがクールな時代、到来 GEEKY HIPHOP」
photography: Fish Zhang styling: Shotaro Yamaguchi〈eight peace〉 prop: Mamoru Hinata〈UMLAND〉 hair: Yusuke Morioka〈eight peace〉 make-up: NOBUKO MAEKAWA〈Perle〉 model: Amisa Nix, Finley, Keisuke cooperation: AWABEES, PROPS NOW