ファンタジーがファッションに戻ってきた。この春SHEROが注目するのは、「異世界」を感じるムード。ピカソの絵に登場するアルルカンのような奇妙な要素を加えた道化師スタイルだ。不思議な曲線やシルエットをまとえば日常に潜む異世界への扉が、ゆっくりと開き始める――?
舞台の裏では
音の波紋を可視化したようなブラウスは、レン・ライの作品に着想を得ている。白いネックをのぞかせ、ピエロの襞襟をイメージ。ベロアのハーフレギンスと白タイツがファンタジーのムードを加速する。
異空間のスイッチを抱えて
大胆なデイジープリントが描かれたコットンポプリンのスカートは、赤いチュールドレスでボリュームアップ。異世界トレンドの火つけ役であるPaula Canovas Del Vasのバッグは奇妙なフォルムが唯一無二の存在感。フロントカットがハートシェイプのジャケットで、凛としたSHERO像に。
ビルの谷間を泳ぐ
オーガンジーの下に、色づけた羽根を忍ばせたトップス。ラッフルが軽やかに波打つ。3Dコンピューター・ニッティングにより編み上げられた無縫製のドレスは、タイトフィットからフレアのラインが美しい。SHEROは時に深海の冒険者にもなれる。
仮面グラスで一時停止
アルルカンのユニフォームのように体にフィットするロンパースはTOGAとSPEEDOのコラボレーション。同柄のジャンプスーツを重ねて、さらにパンツのパターンを再構築したベアドレスをオン。パンプスはロブスターのハサミをモチーフにしたつま先のデザインがユーモラス。SHEROに人気のスワイプバッグを携えて。
多次元を渡り歩く
ボンディング加工を施した白のフーディとトップスは、パーツをファスナーでつなぎ合わせるデザイン。中に着たボーダートップスは、凹凸ある質感が新しく、スポンジのように伸び縮みする。裾にボールを抱え込んだグリーンのパンツを合わせバーチャルな違和感を堪能したい。
怪訝な視線の先に
アーガイル柄ドレスは、ネック部分、袖、ボディにスリットが入っている。どの穴に体のどの部分を入れるかによって異なる着こなしを楽しめる。ドローストリングを絞ってドレスの丈を変化させることも可能。今回は下からシルバーのパンツのストラップを出して未来的な質感を添えた。ドレスと同系色のスカーフを頭に巻けば、SHEROは異世界の住人に。
SOURCE:SPUR 2021年6月号「この『異世界感』が今、新しい アルルカンの日常」
photography:Kiyotaka Hamamura styling:Kanako Sugiura hair:HORI〈bNm〉 make-up: Kanako Yoshida〈mod's hair〉 model:Dinara