日本のみならず、世界で大反響を巻き起こしているパペットアニメーション「PUI PUI モルカー」。愛おしいキャラクターやハンドメイドな世界観がもしもモードと融合したら……? 仕事に邁進中の新人エディターを主人公に、ファッションショーにたどり着くまでのドタバタストーリーを追跡してみよう!
時代にフィットしたクラフト感とかすかな毒
とはいえヒットの最大の理由は、やはり羊毛フェルトでできたモルカーたちの愛らしさだろう。ポカンと口を開けた顔や驚いたときの表情は、フェルトだからこそ表現できたものだと林さんは言う。作品全体に漂うやさしくも精緻なクラフト感は、まさに今のファッション界のトレンドともリンクする。
「モルカーはすごく純粋な生き物で、そこに癒やされる。スキマ時間に『モルカー』を見ることで鬱々とした気分を癒やしているという声もいただきました」
ひたすら純粋なモルカーに対して、ストーリーには意外にもアイロニーが。第2話には銀行強盗が登場するし、第4話では、人間のポイ捨てしたゴミを食べてモルカーがおなかを壊してしまう。「モルカーは可愛い、人間は愚か」。こんな感想がSNSでも飛び交ったが、このキュートな見た目と毒のバランスは、見里監督の持ち味でもある。
「監督が学生時代に制作し、国内外で数々の賞を受賞した作品『マイリトルゴート』を初めて見たときは鳥肌が立ちました。短い尺で、鑑賞後に深い満足感を得られる作品を作れるのが、監督の凄さ。『モルカー』にも、深く考えたくなるエッセンスが実はたくさんあるんです。監督自身は純粋にただ作りたいと思ったものを作っている。素晴らしい才能だなと思います」
明確に自分の意思を持っているが、どうしても乗る人間に振り回されてしまうモルカー。その姿はひょっとして、現代社会の歯車として働くわれわれ人間のメタファーなのか!?……などと深く考察したくもなるが、やはりモルカーの最大の魅力は、単純明快な愛らしさ。プイプイと鳴き、怯えるとプルプル震えるモルカーたちには、理屈抜きでメロメロになってしまう。
その愛らしさは、すでに国境を越え始めている。日本から1週遅れで放送されていた台湾では、1週間で32回も再放送されていたというから驚きだ。Netflixでの配信も始まり、New York Times紙にレビューが載るなど、評判は上々だ。世界規模でヒットする「モルカー」、まだ見ていないなら今すぐチェックしてほしい。キュートなモルカーたちの虜になること間違いなしだ。
interview
林 郁美さん(シンエイ動画 プロデューサー)
Blu-ray & DVDも発売!
夢の無限モルカー仕様(エンドレスリピート再生機能搭載)で、7月28日に発売予定。受注限定生産のBlu-rayには、リモコンやスマートフォンのスタンドになる〈ポテトのぬいぐるみマルチスタンド〉や、デジタルギャラリー、16ページのブックレットなどが付属
発売元:バンダイナムコアーツ
https://v-storage.bnarts.jp/sp-site/molcar-anime/
「PUI PUI モルカー」
パペットキャラ・アニメの新鋭、見里朝希監督によるストップモーション・アニメ。モルモットが車になってトコトコと街を走り回る。7月6日より、朝7:30からテレビ東京系「きんだーてれび」内にて再放送を予定。さらに7月22日より全12話一挙上映『とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー』がMX4D・3Dにて2週間限定劇場公開も決定!(一部劇場では2D上映)

https://twitter.com/molcar_anime
SPUR × PUI PUI モルカー企画第2弾 ! SPUR9月号にてコラボレーション付録が決定!
7月20日発売のSPUR9月号の付録にモルカーミニポーチが登場予定! ちょっとしたコスメやカードを持ち歩くのにちょうどいいサイズで、日々の生活で活躍すること必至。お楽しみに!
SOURCE:SPUR 2021年7月号「SPUR × PUI PUI モルカー企画第1弾!」
photography: Hiroki Watanabe 〈TRON〉, Yuki Okishima styling: Yuuka Maruyama 〈makiura office〉 hair: HORI 〈bNm〉 make-up: Machiko Yano model: Suzi set design: Morii Bijutsu illustration: Aya Matsui retouch: Yuriko Takizawa interview & text: Chiharu Itagaki
©Tomoki Misato JGH, Shin-ei Animation / MOLCARS






