2021.07.13

ヴィンテージのプロに聞く! 目利きが語る「本当は教えたくない」ブランドPart2

時を経るからこそ価値が出る服がある。ヴィンテージを知り尽くした世界中のプロに今、最も市場で注目されているブランドをリサーチ。珠玉の名品が出揃った。

Part 2 世界の目利き8組の推しブランド

ヴィンテージマニアが今、指名買いするブランド。その理由とは?

no.01 Diane Freis(ダイアン フレイス)

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ドレス¥41,800/リヤド ヴィンテージ

2017年から表参道に店を構えるリヤド ヴィンテージはアメリカ、モロッコやスペイン、ポルトガルなどから集められた色や柄のアイテムが店内にあふれる。ディレクターの竹村さんがショップオープン当時から買いつけているのはダイアン フレイスだ。

「70年代後半〜80年代に活躍したLA出身デザイナーによる香港のブランド。柄×柄の組み合わせが絶妙なバランスなんです。シャーリングを多用したデザインは体を締めつけない。働く女性が日常で着られるドレスというところも今の気分ですね。某ブランドの新ディレクター就任時期、着想源になっていると噂され注目度もアップ」

竹村さおりさん
Riyad vintage shop ディレクター

no.02 Chacok(シャコック)

ヴィンテージのプロに聞く! 目利きが語るの画像_2

昨年夏、パリにオープンしたヴィンテージ・ショップ「プレジール・パラス」のディディエさんが誇るのは、現存のブランド「シャコック」の初期、1970年から80年代初頭に限っての一連だ。

「デザイナーのアーレット・デコック自身が描いたテキスタイルが魅力です。動物や自然をモチーフとし、時にはサーカスなどユーモラスなテーマに基づいています。また、本社が南仏を拠点としているからか、色使いはいずれも明るめ。とにかく楽しい!」。

一方、デザインは甘すぎず、スポーティで時にはオーバーサイズも。80年代に入ると肩を強調した構築的なシルエットも加わり、プリントとは対照的にちょっと風変わりな世界が展開されていたそう。

ディディエ・バロゾさん
Plaisir Palace オーナー

no.03 RODO(ロド)

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「ロドについて知ったのは、2000年代初頭にフィービー・ファイロ率いるクロエのデザインチームでバッグを担当していた友人が、参考にしたいと探していたから。プロにとってはアイコニックなブランドだそうです」と、乗松さん。

1956 年にスタートし、かつては“イタリアの眠れる森の美女”と呼ばれたロドは、現在でもコレクションを発表しているが、かっちりとしたバスケット・バッグなら、1960年代のデザインが原点。

「レザーのライニング、洗練されたメタルパーツとクォリティも言うことなし。ロベルタ ディ カメリーノとも共通する、当時のイタリアのブルジョア的な雰囲気ながら、今見ても古びた感じはしませんね」

乗松美奈子さん
ファッションジャーナリスト

no.04 Saks Fifth Avenue(サックス・フィフス・アベニュー)

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セットアップ¥27,280/DESPERATE LIVING

ファッションのみならず、カルチャーへの造詣も深いDESPERATE LIVINGの山田さんが挙げたのは、1924年にNYの5番街で創業した高級百貨店サックス・フィフス・アベニューのブランド。

「60年代以前から作られているのですが、このセットアップは70年代のもの。当時のデパートブランドというのは、その時代の一番いいものがセレクトされており、その中にあっても遜色のないデザインでした。フレデリック・ワイズマン監督の映画『THE STORE』を観ていても感じますが、当時の百貨店はみんなの憧れでした。時代によってデザインも変化していきます。イチゴのアプリケという愛らしさが今の気分」。

山田裕子さん
DESPERATE LIVING ディレクター

no.05 Jean Muir(ジーン・ミュア)

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EVA fashion artの宮崎さんがジーン・ミュアを買ったのは2011年。ヴィンテージアイテムをリメイクする英国ブランドReemの期間限定店で出合った。

「Reemはヴィンテージリメイクで評判だったのですが、このジャケットには一切手が加えられていなくて衝撃的でした。デザイナーに聞くと、このままで完璧だという答え。それからジーン・ミュアに魅入られて、私のショップでも彼女の70年代の服を扱っています。女性の体を知り尽くしたミニマルで機能的なデザインが特徴。男性デザイナーが多い中、1967年から自身のブランドを立ち上げ、ロンドンで活躍した女性という点でも憧れの存在」。

写真は私物。スエードジャケットにパイソンのトリムが輝く。

宮崎聖子さん
EVA fashion art ディレクター

no.06 Maud Frizon(モード・フリゾン)

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「女性による、女性のための靴。モード・フリゾンのパンプスなら一日中履いても疲れないし、ヌーヴェルヴァーグ映画のヒロインを気取れます。彼女の定番である6㎝ヒールは脚がきれいに見える高さですし」と語るのは、オークションの鑑定やオーガナイズをするペネロープさん。

「元モデルのモード・フリゾンは、靴の製造に携わっていた夫の支援で1960年代末に靴作りをスタート。最初のロシアンブーツが大ヒットしたんです」。

ポピュラーだったのでヴィンテージ・ショップに限らずEtsyやeBayでも見つかること、ずっと同じ木型を使っていたのか、サイズが安定していることも、ペネロープさんがモード・フリゾンをコレクションしている理由だ。

ペネロープ・ブランカーさん
ヴィンテージ・オークション・エキスパート

no.07 Frank Usher(フランク・アッシャー)

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ロンドンのヴィンテージ・ショールーム、18.01ロンドンのふたりによれば、最近のデザイナーたちのムードは、1990年代ミニマルだとか。

「コロナ禍が収束に向かいパーティの機会も戻りつつある今、ドレスの需要が高まっています。でも装飾華美ではなく、シンプルで気軽なデザイン。たとえばプラダのスリップドレス」と語るのはディーンさん。そんな’90sの原点が、実は第二次世界大戦後に始まって1980年代まで続いたフランク・アッシャーにあるのでは、と考察する。

またクリスティーナさんいわく「アッシャーはドレスアップアイテムを手の届く価格で提供したから、どの家庭でもクローゼットに一点はあったという親しみやすさも人気の一因」

ディーン・トーマスさん/クリスティーナ・レイさん
18.01 London ファウンダー

no.08 Koos Van Den Akker(クース・ヴァン・デン・アッカー)

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バイヤー私物

「プリントとパッチワークの名手であるクース・ヴァン・デン・アッカーは僕自身最も好きなデザイナーのひとりですし、入荷するとすぐに売れてしまうブランドです」と語るのはKALMA.の溝口さん。

ヴィンテージからメリル ロッゲやフォトコピューなどの新進気鋭ブランドまでを扱う店舗ではアートピースのような服と出合うことができる。

「クースは年代によって作風が異なるのですが、僕は70年代のボーホー的な雰囲気が好きで、見つけたら買いつけるようにしています。ボリュームスリーブやバイアステープのブロッキングも美しい。写真のトップスはLAのFIDM Museum and Libraryに収蔵されているものと同型で1976年のデザインです」。

溝口 翼さん
Riyad vintage shop KALMA.バイヤー

SOURCE:SPUR 2021年8月号「『本当は教えたくない』ブランド」photography: Chiara Santarelli(2, 3, 6, 7) text: Minako Norimatsu( 2, 3, 6, 7), Michino Ogura( 1, 4, 5, 8) 

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