「都市を歩くようにーフラン・レボウィッツの視点ー」
随筆家、批評家、ときには俳優を務めるフラン・レボウィッツ。映画監督マーティン・スコセッシがホストとなり、彼女とさまざまなトピックについて鋭く語り合う。NYについて、文化について、お金についてなど忖度なしの語り口に魅了される。全7話から構成されるドキュメンタリーシリーズ。
Profile
作家、コラムニスト、俳優、講演家。1950年生まれ。ニュージャージー出身。20歳でニューヨークのウエスト・ビレッジに移り住み、タクシー運転手や清掃員として生計を立てながら、小さな雑誌社で書評などを担当。’78年に初のエッセイ集『嫌いなものは嫌い―メトロポリタン・ライフ入門』を発売。ほか著書多数。セレブリティとの交友も増え、テレビや映画などに出演。
話す前に考え
考える前に読む
そうすれば
自分を偽らなくていい
(第7話 図書について)
仕立てのよい服を好むフラン。若い頃からテーラードジャケットが彼女のユニフォーム。エルボーパッチつきのクラシカルな趣ながら、ノッチドラペルがシャープな印象を描く。自分に似合うジャケットさえあれば、スタイルは決まる。
ジャケット¥357,500・ニット¥159,500・デニム¥107,800(すべてセリーヌ バイ エディ・スリマン)・シャツ(メンズ)¥68,200(セリーヌ オム バイ エディ・スリマン)/セリーヌ ジャパン メガネ¥34,100/モスコット トウキョウ(モスコット) グローブ(メンズ)¥40,700/コンドッティ(メローラ)
人生は1度限りでも
本の中には無数の人生がある
本を読めば最高に豊かになれるわ
お金は気にしない
本を開けば豊かになれる
常に読書で満たされているから
(第7話 図書について)
アンディ・ウォーホルが1969年に創刊した『Interview』誌で’72年からコラムを担当していた。NYの自宅には1万冊を超える蔵書があるという。ウィットに富む語り口は読書の賜物。メゾン マルジェラのジャケットはさまざまな制服のディテールを取り入れている。オーバーサイズでジェンダーレスな表情が彼女の世界観に通じる。
ジャケット¥342,100・シャツ¥81,400・デニム¥78,100・ストール¥136,400/マルジェラ ジャパン クライアントサービス(メゾン マルジェラ) メガネ¥42,900/アイヴァン 東京 ギャラリー(アイヴァン) ブーツ¥99,000/ベーリーストックマン(OLATHE Boot Co.)
自分で稼いだお金で
自分の家に住んでいる
外で働くから家にいられる
旅行したいと言う人が
理解できない
空港で旅行に向かう人を
見ると思う
"ひどい毎日なのね"
普段の生活が退屈だから
旅行するんでしょ?
(第3話 都市交通について)
実は大のパーティ好きというフランは黒のスリーピースで艶やかに装う日もある。ボクシーなシルエットのスーツジャケットにドレスシャツをチョイス。洗練された会話術を携えていれば、パーティの華になる。
ジャケット¥73,700・パンツ¥44,000・(左手中指)リング¥47,300・(右手薬指) リング¥63,800/トムウッド プロジェクト(トムウッド) ベスト¥35,200/ダイリク シャツ¥53,900/エスケーパーズオンライン(ブーリエンヌ) メガネ¥33,000/アイヴァン 東京ギャラリー(アイヴァン) ブーツ¥81,400/マスターピースショールーム(サイ)
好きだけど下手なんて
よくあること
大事なのは
下手でもやめる必要は
ないってこと
たとえどんなに悲惨で
情けない出来でも構わない
公にせず楽しめばいいの
出来が悪くたって
世間に発表すべきものもある
自分にしか出来ないこと
(第2話 文化について)
ジャケット、デニム、ウェスタンブーツがお決まりのスタイリング。いつもクラシックな装いの彼女が色をまとうなら、知的なグリーンを選ぶはず。もちろんカシミヤの素材感も重要なポイント。上質なものを長く着るという哲学を私たちも学びたい。
コート¥1,335,400・シャツ¥209,000・ニット¥130,900・ストール¥60,500/ロロ・ピアーナ ジャパン(ロロ・ピアーナ) ジャケット¥77,000/アングローバル(イレーヴ) デニム¥82,500/ジルサンダージャパン(ジル サンダー+ バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー) サングラス¥42,900/マスターピース ショールーム(サイ スペックス) ブーツ¥99,000/ベーリーストックマン(OLATHE Boot Co.)
席に座って電車が出発するのを待つ
皆携帯を見るか本を読む
私はそうしない
座ってただ周囲の人を観察する
それは何よりも有意義で面白すぎる
(第1話 ニューヨークについて)
携帯電話は持たず、SNSは批評眼を損なうと断言するフラン。彼女が大切にしているのは、街を歩き、行き交う人々を観察すること。刺激的な都会に住むからこそスタイルの軸は崩さない。いつもの装いの上にカシミヤのコートを粋に羽織ればタイムレスな魅力がいっそう深まる。
コート¥430,100(マックスマーラ)・ブラウス¥40,700(エス マックスマーラ)/マックスマーラ ジャパン ジャケット(メンズ)¥74,800/グラフペーパー ストール¥27,500/グリニッジ ショールーム(ジョシュア・エリス) デニム¥13,200/リーバイ・ストラウス ジャパン(リーバイス®) サングラス¥42,900(サイ スペックス)・ブーツ¥81,400(サイ)/マスターピース ショールーム グローブ(メンズ)¥40,700/コンドッティ(メローラ)
ユーモアのセンスは生まれつき?
そうだと思う
習うようなものじゃない
実はユーモアは禁止だった
あなたと違って女の子だったから
確か12歳ぐらいのときに
母に言われたの
面白いことは言わないで
"モテないわよ"って
実際は違った
(第2話 文化について)
ジャケットからのぞくシャツの分量やデニムの折り返し幅まで、考え抜かれた彼女のベストバランスな着こなし。自分のことをよく知ることがおしゃれへの近道だということを教えてくれる。大きなラペルのカシミヤ混のツィードジャケットは薄手でスタイリッシュ。デニムと最高のパートナーに。
ジャケット¥203,500/マックスマーラ ジャパン(マックスマーラ) ニット¥71,500・シャツ¥19,800・デニム¥23,100/サンスペル 表参道店(サンスペル) メガネ¥28,600/alpha PR(サイド エフェクツ アイ プロダクト) ブーツ¥91,520/ベーリーストックマン(OLATHE Boot Co.)
SOURCE:SPUR 2021年9月号「フラン・レボウィッツに憧れて」
photography: Masato Kawamura styling: Tomoko Iijima hair: Kazuhiro Naka 〈KiKi inc.〉 make-up: Masayo Tsuda 〈mod’s hair〉 model: Kovich edit: Michino Ogura