スタンダードアイテムの中から、選りすぐりの逸品を探し出すのが生きがいの良品ハンター。今回は、デニムの元祖であるリーバイス®︎をチェック! 変幻自在な着こなしを得意とするスタイリストKOGISOとSPUR.JPエディターAKIYAMAが、定番中の定番からエッジの効いた新作アイテムまで、気になるアイテムを徹底的に試着。カジュアルになりがちなデニムをモードに取り入れるスタイリング術も、ぜひ参考に!
リーバイス®︎の誇る永遠のスタンダードが、驚異のジャストフィット!
エディターAKIYAMA(以下A) リーバイス®︎のデニムパンツは永遠の定番。とはいえワーク感が強いアイテムなので、スタイリングに悩んでしまうことも。今日はKOGISOさんに、モードなワードローブにもなじむデニムアイテムを探していただきます! まず試着してもらうのは、ブランドの140年の歴史を彩った名品を復刻して、現代にお届けする「リーバイス®︎ ビンテージ クロージング」ラインのものですが……わー! ものすごくきれいなシルエット!
スタイリストKOGISO(以下K) これ、私の体型にぴったりです! ちなみに私は身長172cmほどで、今は28インチを着用していますが、丈感もちょうどいいですね。えっ、ひょっとして、いきなり運命のデニムに出合っちゃった?
A これは1947年の501®︎を復刻したもの。第二次世界大戦が終わり、作業着だったデニムパンツが初めてファッションアイテムとなった時代の1本なんです。まさにザ・定番のデニムパンツ。糊がついたままのリジッドデニムを初めて買う人にもオススメだし、あえてベーシックに戻りたいファッション玄人にも改めてオススメしたい1本です。
K かすかに光沢感のあるインディゴの色みも、ワークウェアの概念を超えてスタイリッシュに見えます。開閉部のボタンフライにも気分が上がりますね! 永遠のクラシックなので、どんなアイテムと合わせてもなじんでくれそう。
A 生地の性質上、洗いをかけると2.5インチほど縮むそうです。洗濯しながらタイトにはいてもいいし、洗わずにはき続けながら育てても素敵です。
K 長く愛し、自分らしく育てる。まさに運命の1本になってくれるパンツですね!
モードラバーにすすめたい、攻めのビッグショルダージャケット
K リーバイス®︎と言えば、デニムジャケットも外せませんよね。見てください、この肩のライン! こんなに攻めたデザインのアイテムもあるんですね〜。
A おお~、可愛い! 着てみると、想像以上に肩がふんわりしますね。立体的なシルエットが素敵です。
K 今はいているパンツは、私物のリーバイス®︎です。ちなみに90年代のシルバータブで、私の生まれ年のものなんです! ジャケットの中には、シャツをレイヤードしてみました。袖を伸ばして着ても素敵ですが、あえてまくり上げて、中に着たチェック柄シャツの袖を見せています。私、このジャケットすごく好きです!
A これは6年ほど前に始まった、未来の定番を生み出すことを目指した「リーバイス®︎ メイド アンド クラフテッド®︎」ラインのアイテム。時代にふさわしいデザイン性の高さだけでなく、地球環境に優しい生地を使っていたり、製造ラインで出る水の量を削減していたりと、サステイナブルな取り組みも特長になっています。
K このジャケットの生地はコットンナイズドヘンプで、麻が28%使われているそう。柔らかく肌なじみがいいだけでなく、地球環境にも優しいというのは素晴らしいですね!
こだわりの詰まった人気の1本は、新たな定番の予感!
A こちらのパンツも先ほどのジャケットと同じく、サステイナブルな未来の定番「リーバイス®︎ メイド アンド クラフテッド®︎」ラインの「コラム」パンツです。同ラインの中でも特に人気の高い1本だそう。
K ハイウエストで、かすかに太めのテーパード。ものすごくきれいなシルエットですね。幅広い層にとってはきやすい、万能パンツなのでは? 私はこの絶妙なブルーに合わせて、ジャケットとシューズも青系統で揃え、デニムを主役にしたグラデーションカラーでまとめてみました。
A Kさん、ちょっと後ろを向いてみて下さい!
A はい、バックポケットに注目! リーバイス®︎を象徴するステッチが、なんとポケットの内部に縫いつけられてますね。長くはき続けることでアタリが出て、表面にステッチの跡が浮き出ていく、通称「隠れアーキュエット・ステッチ」が施されているんですよ!
K なんてデニムマニアの心をくすぐる仕組み……! それを聞いたら、絶対に自分だけのアタリを育てたくなりますよね? 長くはき続け、愛し続けた人だけが味わえる唯一無二のステッチ、ものすごく素敵です!
A ポケットのサイドについたインディゴタブや黒いレザーパッチも、このラインならではの魅力になっています。これは新たな定番の1本になる予感がしますね!
気取りのなさが魅力の、ボーイッシュな「バーキン・デニム」
A 続いて「リーバイス®︎ ビンテージ クロージング」ラインから、あのジェーン・バーキンが愛用していたと言われている503B、通称「バーキン・デニム」を。501®︎で股上がやや浅めのストレートシルエット。聞くところによると、バーキンは股上浅めがお気に入りだったそうなんです。
K これぞデニムパンツ!といった感じの気取りのなさがとてもいい。あくまで少年のように、ざっくりとはきこなしたい1本ですね。
A ロールアップして、セルビッジを見せてはく定番のスタイリングが抜群に似合うデニムですね。ボーイッシュなデニムと、エレガントなトップスやハイヒールシューズのミックス感も素敵です!
K ジェーン・バーキンのノンシャランとしたアティテュードを真似て、野原にはいていきたくなりますね~。汚れを気にせず芝生の上に座って、周りにリスや野ウサギを集めて、木陰でギターを弾いて聴かせたい。ああ~、ストローハットを持って来ればよかった!
A 思わずKさんの妄想も膨らみまくっていますが……(笑)。そんなストーリー性の高さもリーバイス®︎の魅力ですね!
マリリン・モンローが愛したというパンツで魅惑のヒップラインを
A 「バーキン・デニム」の次は、マリリン・モンローがはいていたと言われている701を。新たな定番に加わった太めのストレートで、「モンローデニム」と呼ばれているそう。
K それではマリリン・モンローのイメージで、パールのベストとリングを合わせてはいてみます! バックスタイル、どうですか?
A お尻のラインがカーヴィーでとてもきれいに見えます~! ウエストもなんだか細く見えますね。憧れのメリハリのあるボディラインに近づける、魔法のパンツかも?
K 柔らかい生地感ではきやすいのも嬉しいです。このブラックカラーは今シーズンの新色です。すでに販売されているリジッドバージョンはとても人気があったそうなので、この黒も間違いなく人気が出そう。私が実際に買うなら、もう少し小さいサイズを選んでタイトにはきたいですね。
A 丁寧にサイズを選べば、ますます魅惑のモンローボディに近づけそうですね!
こだわりの立体裁断がクールなジャンプスーツ&コート
K 次は変化球でジャンプスーツです! 見てください、この2トーンの切り替えを!
A これ欲しい! 私、切り替えデニムが大好きなんです。これは、2000年前後に一世を風靡し、先シーズンに復活を果たした「リーバイス®︎ レッド」ラインのアイテムです。立体裁断を取り入れたデザイン性の高さで、当時は「ひょっとして超有名デザイナーが手がけているのでは!?」という憶測まで呼んだ伝説のラインです。
K よく見ると、細部までものすごくこだわりを感じます。まずフロントポケットの大きさが左右で違うし、ステッチがわざとランダムになっていて、計算しつくされた抜け感があるんです。他にも、ヒップポケットのアーキュエット・ステッチの幅がさりげなく太めだったりと、ものすごく考えられていることが伝わってきます。
A 同じラインから、トレンチ風デザインのデニムコートも出ています。これも気になるから、Kさん、着てみてください!
K これもおしゃれ~! この2アイテムは、イタリアのキャンディアーニ社の最高品質のデニム地を使用しているそうです。だから生地に表情があって、上品にまとまるんですね。
A ジャンプスーツとコートをセットアップ風に合わせたら、ますますスタイリッシュになった気がします! こんな個性的なオールデニムスタイルも素敵ですね。
脚長効果抜群のフレアパンツに、華やかなブラウスを合わせて
A 今季のリーバイス®︎のテーマは70年代のアメリカンスタイル。それを象徴するこちらのフレアシルエットのパンツは、すでにものすごく売れているそうです。ハイウエストなのも今っぽいですね。
K 身長172cmの私には、ぴったりの丈感です。ブーツを合わせても絶対に合いますが、ここはあえてスライダーサンダルで外してみました。
A ピンクのトップスとブルーデニムの相性も最高です!
K 私は普段から、シンプルなデニムにはクセの強いごきげんなトップスを合わせがちなんです。特にこのパンツは、フレアが美しくかつ広がりすぎていないので、どんな主張の強いトップスにも馴染んでくれそうです。
A 脚がとてもきれいに見えます! 美脚効果も高く、幅広いスタイリングに合わせやすいこのパンツは、人気だというのも納得ですね。
リーバイス®︎社が自ら買い取ってリメイクした、古着の501®︎
K このケミカルウォッシュパンツも可愛い~! やんちゃすぎないケミカルなので、意外と大人の女性でも取り入れやすいのでは。私はロールアップして裏地を見せ、色の違いを楽しんでみました。
A 実はこのパンツ、ヴィンテージ風なのではなく、もともと本物の古着なのだそうです。
K えっ、リーバイス®︎のショップで古着も販売しているんですか?
A そうなんです。「リーバイス®︎ オーソライズド ビンテージ」ラインといって、リーバイス®︎社がアメリカで501®︎の古着を自ら探して買い集め、洗濯やリメイクを施してはきやすい状態にした上で販売しているそう。
K すごい! 掘り出し物の古着は、ヴィンテージショップをひたすら回って探すしかないですよね。それが楽しいところではありますが、こうやってリーバイス®︎のショップで気軽に古着の501®︎が買えるなら、ハードルが下がってとても嬉しい。サイズが明記されているのも、選びやすくていいですね。
A ちなみに今、Kさんがはいているものは、もともとストレートシルエットである501®︎をテーパードにカスタマイズしたものだそう。そうやって今の時代にもはきやすいようにリメイクしているんですって。こういう古着との出合い方は新鮮だし、古くなったデニムを廃棄してほしくないという、リーバイス®︎からの熱いメッセージを感じます!
ビッグシルエットがキュートな、ツイード切り替えジャケット
A 続いて着ていただくのは、袖とバックがツイード切り替えになったデニムジャケットです。これも「リーバイス®︎ メイド アンド クラフテッド®︎ 」ラインのもの。この切り替え部分は、ハイブランドのツイードアイテムも手がけている工場で製作したものだそう。
K ビッグサイズを生かして、私の得意とするレイヤード技を効かせてみました! リーバイス®︎の新作アイテムの中から緑色のジャケットと白いワンピースをお借りして、3種の柄アイテムを重ねました。ベルトで絞ってウエストマークして、シルエットに変化をつけています。
A 袖の膨らみが可愛いですね! ボーイフレンドから借りたような大きいジャケットと、布地をたっぷり使った愛らしいフレアワンピースのミスマッチ感が絶妙です。
K 何と言っても大きなシルエットと膨らんだ袖がキュートだし、大きめの襟もアクセントになっています。男の子と共用で着てもよさそうですね!
セカンドスキンウェアを、ダメージホールから覗かせて
A こちらも70年代のムードたっぷりな、ハイウエストで太めストレートのデザイン。最大のポイントは、両膝が大きくクラッシュしたダメージ加工です。
K 待ってました! ダメージデニムに合わせようと、花柄のタイトなロングジョンを持ってきたんです。こうやってパンツの下に仕込めば……。
A 膝のダメージ部分から柄が見える~! とても新鮮です。ダメージデニムが一気に今っぽくなりましたね。
K ロングジョンのハードルがちょっと高いなら、柄タイツを使ってもいいですね。そういえば昔はよく、ダメージデニムの下に網タイツをはいて、破れた部分からネットをのぞかせていました。網タイツ、はやりましたよね~! Aさんもはいてましたよね!?
A ……(無言)。
K あれ? 私だけ(笑)?
リーバイス®︎の歴史はデニムの歴史。ストーリーのあるデニムを、生涯かけて愛したい!
K 今日、改めて思いました。リーバイス®︎の歴史は、そのままデニムの歴史でもあるんですよね。背後にあるストーリーを知って、ますますリーバイス®︎への愛が深まりました。
A 今までカジュアルな印象が強かったデニムですが、Kさんの今日の着こなしを見ていて、モードなウェアとの相性のよさに衝撃を受けました。まさに目からウロコでしたね。そして今回はチェックできませんでしたが、私はリーバイス®︎の誇るカスタマイズサービスも気になっています。ウエストや丈の長さだけでなく、腰回りのシルエットなども細かく調整してもらえるとのこと。一度手に入れたデニムは末長く着てほしいという、ブランドの思いを強く感じます。
K デニムにもそれぞれの個性があり、性格がある。自分にあった1本に出合えたら、その子を愛してはき続け、ともに人生を重ねていく。リーバイス®︎のデニムは、そんなつき合い方ができるだけの魅力がありますね!
スタイリストKOGISO(コギソ マナ)
アシスタントを経て、2008年にスタイリストとして独立。意外性に満ちた攻めの私服スタイルが、インスタグラムで評判を呼ぶ。自分のイメージにかなうリーバイス®︎501をずっと探し続け、いったん諦めた末に、10年ほど前に古着店で運命の出合いを果たした経験が。
エディターAKIYAMA
SPUR.JPではファッション&カルチャーを担当。中学・高校時代には、空前の古着ブームに乗って下北沢の古着店で初めてのリーバイス®︎を購入。さりげないフレアシルエットを気に入って、長く愛用していた。
text:Chiharu Itagaki edit:Taori Akiyama