時代に合わなくなった昔ながらの価値観に縛られることなく、いまを生きる私たちにとって心地いい選択肢はなんだろう? 一度きりの人生を、より大切にするためにモードは寄り添ってくれるはず。まずは、心を癒やし、時に気持ちを高め、そして自然の美しさを教えてくれる花々と日々を送りたい
淡いグラデーションを描くリモニュームの花束を担ぎ、目指すは自由で多様な未来。
花と遊ぶ
クリスマスローズを模したジュエリーで、福笑いのように遊んでみる。
花と眠る
花に包まれて眠るなら、どんな夢を見る? そんな妄想をファンタジックに膨らませるカイダン エディションズの服。手描きの花柄トップスとワイドパンツ。それらを同柄のブランケットで包み込む。リラクシングなムードながらも、電話ボックスの中の男を題材にした70年代ドイツのTV番組のシーンを貼り、ミステリアスなムードもプラス。それは吉夢かそれとも……試してみてはいかが?
花と踊る
今季のトレンドカラーでもあるグリーン。その火つけ役であるボッテガ・ヴェネタのドレスは、チューブ状の素材に円形のクリアパネルを飾りつけ、アートピースのよう。動くたびにシャラシャラと音が鳴り、光を反射して輝きを増す。トロピカルムード満載のヘリコニアを相手に踊り出せば、そこがあなたのステージになるほど。
花を食べる
眼福と口福を一度に味わえる生菓子は、日本が誇る伝統文化でもある。特に、季節の移り変わりや花鳥風月を映した「とらや」の意匠は、繊細で可愛らしい。気高くおめでたい花として、古くから日本人の心を捉えてきた菊の花。別名「クサノアルジ」から命名された逸品は、1907年の記録にも残され、長年愛されてきた。今年は9月1日から15日の期間限定で登場する。
花を飾る
ディオールのニットデザイナーを経て、セラミックアーティストに転身したクウィーニー・チャンが手がける「エフェリス」。有機的な湾曲が特徴的なフラワーベースは、頰のえくぼから着想したもの。ガーベラ、シルバーブルニア、ビバーナムティナスを飾り、部屋の一角を華やかに彩る。それだけで、日々はみずみずしいものになる。
花で誘う
ラメが煌めくニットに、カラフルなストーンを連ねたチョーカーをレイヤード。「清明」「高貴」という花言葉を持つデルフィニウムを味方に、抗えない魅力が咲き誇る。
花を履く
ミウッチャ・プラダのアーカイブスを彷彿とさせる抽象的な花柄をジャカードニットのニーハイブーツに落とし込んだ。ヒールまでその人の体の一部のように見えるデザインは、モダンアートに精通するラフ・シモンズのエッセンスが感じられる。モード界の二人の天才が生み出すイットシューズを履けば、不思議と力が湧いてくる。
花をまとう
花を愛するデザイナーといえば、ドリス・ヴァン・ノッテン。最新コレクションでは心の情熱の象徴として、深紅のバラがモチーフになっている。内なる感情を洋服に託すなら、ドラマティックなバラプリントを施したトップスに、マニッシュなパンツを合わせたい。ピンクのグローブを重ねれば、モードなハズシに。
花と泳ぐ
「都会から抜け出した暮らし」をテーマに、実用的で機能的なウェアを提案するジル サンダー+。シンプルでスポーティなスイムウェアに、「可憐」「協調」という花言葉を持つオンシジュームがよく映える。水面で光を浴びて輝くそのサマは、デジタルオフして自然を愛する時間の大切さを思い出させてくれる。
花を奏でる
シックなカラーを音符に見立て音を奏でてみる。そんな発想で描くのは、星モチーフのパーツを連ねたリズミカルなドレスに、フリルスリーブの躍動感が加わったレトロモダンなスタイル。花との向き合い方は無限の可能性を秘めている。
SOURCE:SPUR 2021年10月号「いま、私たちが大切にしたい時間。花と暮らす」
photography: Masami Naruo 〈SEPT〉 styling: Kayo Yoshida hair: hirokazu endo 〈ota office〉 make-up: Tamayo Yamamoto model: Emily Iredia flower arrangement: meme 〈LOVELETTER〉 cooperation: Kana Garden, UTUWA