人生やりたいこと全部!YOLO LIFEを生きる

パンデミックを経て、価値観が変わった今。人生やキャリアを見直し、"理想の生き方"を実現する人々が社会や経済を動かす「YOLOエコノミー」と呼ばれる現象が話題だ。米国のヒップホップカルチャーに由来した言葉「YOLO」とは「You Only Live Once(人生は一度きり)」の略語。不確定要素の多い時代だからこそ、人生を諦めない!という志を持つ10名に今最もやりたいことを取材。そのエピソードをもとにファッションストーリーに仕立て上げた。ポジティブな未来予想図にワクワクしてくる!

自然あふれる場所で、瞑想時間をつくる

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ニットドレス¥255,200・バッグ¥207,900・サンダル¥89,100/クロエ カスタマーリレーションズ(クロエ)

新クリエイティブ・ディレクターにガブリエラ・ハーストを迎え新章が始まったクロエ。メゾンのDNAを体現するボーホーシックなストーリーを展開した。 TAIRAさんが願う、自然に囲まれた暮らしには、リラクシングなニットドレスを。色鮮やかなボーダーに心が躍る。ニットはリサイクルのカシミヤを採用している。エシカルな視点で仕立てた点にも注目して。

TAIRAさん(モデル)

大学在学中に東京でスカウトされ、モデルの道を歩み始めたTAIRAさん。大学院を経て、現在はロンドンを拠点にファッションウィークや広告撮影などで日々忙しく過ごす。思い浮かべる理想のYOLOライフはごくごくシンプル。仕事柄、日頃は都心で生活を送っているので、ファストペースな都市の喧騒から離れたいと思うことがあります。実は自然が豊かで、静かな森の中でひっそりと過ごしたいんです。家族や親友、気の許せる人たちと過ごすのもいいけれど、ひとりの時間も大切にしたい。スマートフォンやラップトップなどのデジタルデバイスから離れて、スローテンポなレコードでも聴きながらひたすらたくさん本を読みたいですね。自然の音、波音だけが聞こえる浜辺もいいな」
理想の暮らしにまといたい服について聞くと、「着心地が最高によくて、肌ざわりの気持ちいいものが好き」とTAIRAさん。ひとり心を落ち着かせ、瞑想にひたる時間に寄り添うドレスで、のびのびと暮らす姿が目に浮かぶ。

タイラ●北海道生まれ。国際基督教大学でカルチュラル・スタディーズを専攻。大学院でロンドンへ留学。2021年春夏にはプラダのエクスクルーシブとして、ワールドワイドなランウェイデビューを果たす。ロンドンでの仕事の日々は新しい出合いの連続だ。

巨大な温室に包まれたログハウスの中で音楽制作をする

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ジャケット¥902,000・ニット¥262,900・フード(参考商品)・スカート¥377,300・ブーツ¥300,300/ルイ・ヴィトン クライアントサービス(ルイ・ヴィトン)

ふんわりと体を包み込むニットとバルーンシルエットのスカートには、太陽をたっぷり浴びて育った、ビビッドなオレンジを彷彿とさせるポップカラーのレザージャケットを。ムードの異なる素材同士を掛け合わせ、大胆かつエネルギッシュな装いに。フォルナセッティの
アートワークをルイ・ヴィトンの世界に落としこんだルックがイノベーティブな感性を刺激し、音楽制作も捗るはず。

Daichi Yamamotoさん(ラッパー)

「果物をもぎって、そのまま出かけられたりしたらいいですよね」と語る、ラッパーのDaichi Yamamotoさん。彼が理想とする暮らしとして挙げたのは、現在Apple TV+で配信中の住居紹介ドキュメンタリー「HOME」に登場する"ネイチャー・ハウス"。ログハウスをすっぽりとビニールで覆い、北国にいながら、地中海の気候を再現した家だ。
「ビニールハウスの中は花やハーブが生い茂っているんです。しかも、生活排水は地下で浄化処理し、植物を育てるための水に使ったり、暖炉の熱がビニールハウス全体を暖めたり。この家だけで生活がほぼ完結していて、理にかなっているんですよ。そういう無駄のない、合理的な生活に憧れます」
そんな環境と家を手に入れたら、音楽やアートの制作活動に没頭したい。
「鍵盤が好きだから、シンセサイザーをたくさん置くつもり。大学で勉強したメディアアートとか、他の分野の創作活動にも挑戦したいですね。楽曲制作は基本的に部屋にこもってすることが多いので、ほどよく外界と隔絶されて、自宅で集中して行えるのは理想的な環境。でも居心地がよすぎて制作する気が起きないとかあり得そう(笑)」

ダイチ ヤマモト●1993年京都府生まれ。老舗クラブ「京都METRO」を経営する日本人の父とジャマイカ人の母を持つ。小さい頃から音楽に触れて育ち18歳からラップとビートメイキングをスタート。2021年6月16日には2ndアルバム『WHITECUBE』を配信リリースした。

世界中を旅しながらトランクショーで自分の"好き"を届ける

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トレンチコートドレス¥353,100・ピアス(参考色)¥62,700・ブーツ(参考色)¥223,300/バレンシアガ クライアントサービス(バレンシアガ)

ロマンティックな装いをこよなく愛すSACHIKOさんには、トレンチコートドレスを。ボリュームのあるパフスリーブとギャザーたっぷりの仕立てがときめきを演出する。足もとには、鮮やかなグリーンが目を引くブーツをプラス。ガーリーな着こなしにもささやかな毒をきかせたい。

SACHIKOさん(meet me atオーナー)

大阪にあるセレクトショップとヴィンテージショップのオーナーを務めるSACHIKOさん。まるで我が子のように洋服を愛する姿からは、ファッションへの底知れない熱量を感じる。そんな彼女が思うYOLOライフは、トランクショーをしながら、旅をすること。
「もともと、移動することが大好き。アメリカやヨーロッパに買い付けに行ったときもかなりの距離を走ります。普段せわしなく動いているので、ゆったりした時間が貴重なのかもしれません。実は、店舗も2年に一度くらいのペースで移転しています。"店をもっとこう見せたい"という気持ちが出てくると、すぐ行動に移していますね」。
1カ所に留まることなく、自分の気持ちに正直に好きな場所へと赴くSACHIKOさん。そんな生活は、いつも"人との交流"ありき。「移動しながら、世界中の人たちにお気に入りの洋服や小物を届けられたら最高。買い物だけではなく、そこで出会った人と話して元気をもらったり、楽しく過ごせるような"憩いの場"をつくるのが理想のかたち。そういう場所が存在するからこその出会いがあると思うんです。おばあちゃんになっても、人と人とのつながりを実感できる場を提供できたら素敵ですね」

サチコ●大阪にあるセレクトショップmeet me at、ヴィンテージショップRAVIRLEVANTのオーナー兼バイヤー。独自の審美眼でアップカミングなブランドをいち早く取り入れ、全国にファン多数。一児の母でもある。

"アジアン カオス"な空間で、サブカルチャーの未来を創る

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ドレス¥408,100・ボディスーツ¥317,900・タートルニット¥145,200・グローブ¥116,600・靴¥162,800(参考価格)/プラダ クライアントサービス(プラダ)

"変化や変換によって可能性を切り開く"というメッセージがこめられたプラダの秋冬コレクション。着る人のボディラインに美しく沿うドレスやニットのレイヤードが描くのは、タフでしなやかな女性像。アジアのサブカルチャーの知られざる魅力を開拓するHIRACさんが理想とする世界観を思わせる。緻密に編み込まれたジャカードも絵画のよう。

YUKA HIRACさん(メイクアップアーティスト)

ロンドンでのキャリアを経て、日本のファッション界で多忙な日々を過ごしているメイクアップアーティストのYUKA HIRACさん。人生は一度きり、好きなことをやらないと!と思った瞬間は突然だった。
「4、5年前にメイクアップの専門学校に特別講師として招かれたときです。学生がトライ&エラーを重ねながらも、ひたすら表現したいという熱気を放っていて。自分が渡英した際に現地で見たクリエーションや、周囲の人々、試行錯誤をした日々を思い出しました。すぐにロンドン時代の友達に連絡をとりNYへ。一年に1カ月程度はいろいろな国に行き、作品撮影などをして帰国するというルーティンをつくりました」
国内ではファッション業界以外のアーティストの友人にも恵まれ、それをきっかけに創作意欲に火がついたHIRACさん。コロナ禍で仕事がストップした際に"52日間メイクアップ日記"をSNSに投稿する。最終的には作品集を作り、展覧会を開催した。
「未来のYOLOな生活は、どこにいても、カオスな作品作りに取り組むことができる環境! "サブカル"とファッションを融合させたい。特にまだアジアの魅力は十分に世に伝わっていない気がするので、"アジアンカオス"な世界観を部屋で、ひとり黙々と創っていたいです」

ユカ ハイラック●福岡県生まれ。メイクアップアーティスト。渡英後、London college of fashionを卒業しフリーランスとして活動。現在はエディトリアルや広告で活躍する一方、自身のプロジェクトも進行中。

"人生のパートナー"と、故郷の海沿いで交流の場をつくる

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プルオーバー¥151,800・中に着たカーディガン¥97,900・スカート¥140,800・帽子¥151,800・パンプス¥107,800 イザ(ニナ リッチ)

都会の喧騒から離れ、心地よい海辺でふたりで過ごすときも、装いを楽しむ心は忘れずに。
やわらかな太陽の光を受け、桃色に透けるナイロン素材のプルオーバーは水辺でも安心。ウィットのあるスタイルを好むファンさんの心と共鳴するアイコニックなハットと合わせて。

Hwang Sunwooさん(作家)

「YOLOライフを実現するには、未来への心配事が少ない環境に身を置きたいですよね」と語るのは、ソウルをベースに活動する作家・インタビュアーのファン・ソヌさん。女性ふたりの同居生活を描いたエッセイ『女ふたり、暮らしています。』の著者のひとりだ。そんな彼女が思い描くYOLOライフは、同居人キム・ハナさんと一緒に韓国屈指の港町・釜山の海沿いで暮らすこと。
「ソウルでの生活はどうにも忙しくて、毎日解決しなければならない問題が山積み。そんな心配の必要がない、時間的にも、経済的にも余裕のある暮らしが理想ですね。キム・ハナさんと私は海の街である釜山出身。海水浴場近くで幼少期を過ごしたので、思い入れも強い。YOLOな生活に思いを馳せると、ふたり一緒の、この街での楽天的な暮らしが思い浮かびました」と語る。
バイタリティあふれるファンさんが考えるライフプランにも、エネルギッシュさが垣間見える。「気軽に集まれるカフェや書店を運営しながら暮らしたいですね。運動も好きなので、海の街ならではのスポーツ、ビーチランニングやサーフィンを楽しみたい」

ファン・ソヌ●作家。韓国・釜山市生まれ。ファッション雑誌『W Korea』のエディターを務めた後、そこで培ったノウハウを活かし、現在はインタビュアーとして活動しながら、コンテンツ制作に取り組む。YouTubeチャンネル「ペンユニオンTV」を運営。著書にインタビュー集『かっこよければすべてお姉さん』(未邦訳)。

「hawaii delivery」の音楽と、海辺でスローな暮らしを送る

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ドレス¥239,800・ブーツ¥90,200/ステラ マッカートニー カスタマーサービス(ステラ マッカートニー) その他/スタイリスト私物

「hawaii delivery」のプレイリストのお気に入りの音楽と、海風を楽しむときはサイケデリックなプリントのドレスを。ロンドンのクラブカルチャーに着想を得たパターンに心躍る。

Kim Hanaさん(作家)

エッセイ『女ふたり、暮らしています。』をファン・ソヌさんと一緒に手がけたキム・ハナさん。コピーライターとして活躍した後、執筆活動や、ポッドキャストで配信中の番組「チェキラウト-キム・ハナの側面突破-」のパーソナリティを務めるなど、多忙な日々を送っている。ミニマリストでもある彼女はYOLOライフについてこう語る。「すさまじい速度で時間が過ぎていく街ではなく、のんびりとした時が流れる海辺で暮らしたい。波の音を聞きながら、静かに海辺を歩いたり、日光をたっぷりと浴びたり。そこには同居人で、共同作家でもあるファンさんも一緒にいると思います」
現在、キムさんはファンさんと一緒に運営する音楽プレイリスト「hawaii delivery」をYouTubeで配信中。"海辺のバーで聴きたい音楽"をテーマにセレクトしている。「釜山では、『hawaii delivery』が流れるバーの経営をしているかもしれません。キャッチボールをしたり、ウクレレを弾いたり、カクテルやビールを飲んだりするのも素敵。近所の友人たちと一緒にブッククラブを開いたりするのもいいですよね」

キム・ハナ●作家、ラジオパーソナリティ。韓国・釜山市生まれ。広告代理店のコピーライターとして活躍後、現在はエッセイの執筆や、YouTubeチャンネルの運営や、ポッドキャストの配信を行う。著書『話すことを話す』(邦訳予定)、『力を抜く技術』(未邦訳)ほか多数発表。

水に囲まれた場所で、アートな和菓子を創造する

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トップス¥324,500・スカート¥389,500・ヘッドピース¥60,500・グローブ¥75,900(すべて予定価格)/ミュウミュウ クライアントサービス(ミュウミュウ)

スパングルを敷き詰めた夢のようなセットアップ。モヘアのヘッドピースと、ムートンのグローブを組み合わせて。寿里さんのインスピレーションをかき立てる"水"のように曖昧に揺れ、光を受けてきらめくような佇まいの一着だ。コットンキャンディのようにやわらかく甘やかなスタイリングは彼女が生み出すロマンティックな和菓子にも通ずる。ひとたびまとえば、どんな環境に身を置いても美しい光を放つ存在になるに違いない。

かんたんなゆめ Juriさん(和菓子アーティスト)

〈和菓子かんたんなゆめ〉を営む、寿里さん。クリームチーズやレモンを使用し、伝統的な練り切りをモダンにアップデートした「嬉々〜KIKI〜」で話題を呼んでいる。
「敷居が高いと感じる上生菓子(和菓子)ですが、見た目の美しさや、繊細な表現は、今しか出合えない四季のデザインであり、食べたらなくなる儚い存在。そこで、和菓子を気軽に楽しめるように日本茶以外にコーヒーや紅茶、日本酒などとも相性のいい"チーズケーキのような味わい"を考案しました」
高校時代に製菓衛生師の国家資格を取得し、飲食企業に就職。そして入社6年目にある転機が訪れた。「"時間とお金は対等な価値がある"と知人に言われて、納得したんです。一旦全部をなげうって自分の時間を得たいと思いました。ほんの一瞬でも息抜きになる和菓子を、身近に口にするきっかけをつくれたらと思い、〈かんたんなゆめ〉を始めたんです」
現在は日本橋で和菓子屋barとして営業中。再開発エリアで2年後に店舗は取り壊しが決まっている。
「製造から接客までひとりで行なっていますが、将来的にはチームメイトを募ったり、郊外に移住して"和菓子アーティスト"としての活動も始めたいと思案中。いつも散歩中に季節を感じながらアイデアを練るので、鎌倉の川や海のような"水の流れ"を感じられる場所が好きですね。今回作成した作品 (写真上)は光を受けて揺らめく、水流を表現した錦玉(吉野羮)。水と光が生み出す淡い関係性を感じてほしいです」

寿里●宮崎県生まれ。和菓子アーティスト。「かんたんなゆめ」という店名は中国の故事「邯鄲の夢」から。人の一生は儚いものという意味を込めた。店舗「かんたんなゆめ 日本橋別邸」は不定期営業中。Instagram(@kantan.na.yume)をチェックして。

小型蒸留器を持って、世界中を旅する

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ブラウス¥148,500・スカート¥107,800・スカーフ¥74,800・グローブ¥74,800・ブーツ¥154,000/ジルサンダージャパン(ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー) タイツ/スタイリスト私物

バウハウスのクリエーションから着想を得て、幾何学模様のパターンを用いたセットアップはジル サンダーより。個性豊かな植物の蒸留をする際には、デザイナーのメイヤー夫妻が考える「服を組み替えることや、服で遊ぶことの楽しさ」を反映した探究心あふれるルックを合わせて。素材の無限の可能性に魅せられた堀江さんのように、先鋭的な感覚を持つ女性にこそまとってほしい。

Rei Horieさん(蒸留プロデューサー)

「いつか食に関する仕事で独立したいと思っていたのですが、自分の得意分野もわからず、躊躇していたんです。そんなときに、クラフトジンと出合いました。お酒は苦手でしたが、口の中に広がる香りが素晴らしく、まるで瞑想をしているかのような感覚に導かれるんです。その体験から、蒸留で世界中にある素材の可能性を花開かせることができると気がつきました」
一流企業の広告コンサルティングに携わっていた堀江さん。蒸留酒に関わる仕事がしたいと転職を決意し、YOLOライフへと一歩踏み出した。安定志向だったと語る彼女は、周囲に起業家やフリーランスの友人を増やし、積極的にコミュニケーションすることで、自分を鼓舞したと言う。
「会社を辞めてから、まずはこれまでに培った広告のスキルを活かして、クラフトジン『HOLON』のプロデュースに携わったり、蔵前にオープンした『東京リバーサイド蒸溜所』の企画、PRから始めました。その合間に蒸留について独学で勉強していたので、最近ではやっと製造にも携われるようになったのです! 将来的には小型の蒸留器とともに、その土地ならではの植物を蒸留しながら旅をしたい。国や気候が変わるとそこに生息する花やハーブもまったく異なります。それらを蒸留するワクワク感はひとしお。お酒だけでなく、香水などに用いるエッセンシャルオイルはブレンドもできるので、可能性はいろいろ。友人たちと一緒に素材を集めて、蒸留作業をするのも楽しそうです」。
まさに"YOLOエコノミー"を体現する彼女の蒸留への"冒険心"は尽きない。

堀江 麗●東京都出身。企画PR、飲料プロデュース。Google Japanに数年間勤務の後、クラフトジン「HOLON」を監修。現在は「東京リバーサイド蒸溜所」の運営や、クラフトジンの開発に携わっている。

すべてをキャンバスにできる古民家で自由に絵を描きながら暮らす

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ドレス¥163,900・中に着たブラウス¥82,500・カチューシャ¥53,900/イザ(パトゥ)

フラワープリント、鮮やかな色彩、ボリュームのあるシルエット、フリルのカラー、リボンディテール。ガーリーなモチーフを盛り込んだルックは、まるで大切なものを詰め込んだ宝箱をひっくり返したかのよう。豊かなカラーパレットとポエティックなフォルムが、自身の
ファッションや、描画をするときのイマジネーションをかき立てる。自分の周りを"好き"で埋め尽くしたいと願うHIBARIさんの気持ちを表現したような一着は、ポジティブなエネルギーにあふれるすべての人の背中を押してくれる。

HIBARIさん(モデル・アーティスト)

服から家電まで心赴くままに絵を描いてゆくHIBARIさん。理想は古民家での生活だ。
「すべてを自分の好きなようにできる空間が欲しいんです! 賃貸だと壁や床にはペイントできないじゃないですか。だからそういうことを気にせず、360度キャンバスにできる古民家を手に入れられたら素敵。モデルの仕事や今の生活がめっちゃ楽しいので、東京にいながら、それがかなったら最高です」
そう願う理由は、目に入るものすべてを自分の気持ちが上がるように、という思いからだ。「とにかくハッピーなものが好き。理想のデザインを見つけるのは意外と難しいから、だったら自分で描いちゃえ! って何にでもペイントしちゃいます。着なくなった服も、絵を描くことでまた可愛いと思えたりするんですよ。100円の靴だって特別なものになります。シンプルに描くこと自体が楽しいというのもありますね!」
周囲の人間を笑顔にしてしまうポジティブさが魅力のHIBARIさん。彼女が心に常にとどめている座右の銘は「楽しく生きる」だ。「先のことを想像するのも大切だけど、今やりたいこと、こうしたいってことを実現するのも大事ですよね。人生は一度きりだってことを忘れずに生きていきたいです」

ヒバリ●島根県生まれ。20歳のときに上京し、お笑い芸人として活動。現在の所属事務所PUMP managementに声をかけられ、これまでの基準を超越した美しさを見いだすという理念に共感しモデルに。現在はさまざまなファッション誌やランウェイショーで活躍中。

農業からスケートボードまで。衣食住を体験できる民宿プラットフォームを開く

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ジャンプスーツ¥143,000・ニット¥79,200・ブーツ¥102,300/PARAGRAPH CO.LTD.(プラン シー) 帽子¥74,800/モンクレール ジャパン(2 モンクレール 1952 ウーマン)

ボリュームのあるスリーブと、ブラックとベージュのバイカラーで、ジャンプスーツをモダンな印象に。フロントにフェザーをあしらった意外性のあるパフィハットがツイストをプラス。固定観念にとらわれない、現代的なワークスタイルが完成した。

Yuichiro Wakamatsuさん(みかん農家・「Tangerine」オーナー)

東京やカナダ、長野、オーストラリアなどさまざまな場所に移り住んできた若松優一朗さん。「これまでもYOLO ライフだった」と語る彼の現在の居住地は地元の愛媛県宇和島市だ。「農業は食に直結する絶対に残さなきゃいけない産業なのに、高齢化が本当に進んでいるんです。体が動く若い人が担っていないなんて問題ですよね。僕には実家のみかん農家を途絶えさせてまで、外で仕事をする選択肢はなかったので、2019年に完全帰省しました」
さらに、農業に興味を持ってもらうきっかけに、と立ち上げたのが、オリジナルブランドの「Tangerine」だ。農園で育てたみかんを搾ったジュースをメインに、Tシャツをはじめとするアパレル製品なども販売している。「カナダで出合ったスケートボードカルチャーや、グラフィックデザイナーの友人など、これまでの人生で得た経験や人脈を活かして運営しています。コロナ禍以前は、ジューサーで作る生搾りジュースをイベントなどで振る舞ったりもしていました。このブランドが都会と地方をつなぐ存在になってくれればと思っています」
そんな若松さんが今後目指すのは民宿の経営だ。「スケートパークやギャラリーも併設して、都会から遊びに来てもらったり、地元の人が集まったりできるコミュニティスペースにしたいんです。もちろん農業も体験してほしい! 民宿を通して地方での生活に興味を持ってもらい、将来若い農家が増えたらうれしいですね!」

若松優一朗●1993年愛媛県生まれ。東京や海外で生活したのち、2019年に実家のみかん農家を継承。スケートボードやアート、音楽のカルチャーをミックスしたオリジナルブランド「Tangerine」も運営。みかんと農業の魅力を発信し続けている。

SOURCE:SPUR 2021年10月号「人生やりたいこと全部!YOLO LIFEを生きる」
photography: Teruo Horikoshi〈 TRON〉 styling: Yuuka Maruyama〈 makiura office〉 hair: Kazuhiro Naka〈 KiKi inc.〉 make-up: Asami Taguchi〈 Home Agency〉 prop styling: Haruka Kogure model: YO, NAMA.S, Olga.K interview & text: Michino Ogura(TAIRA,YUKA HIRAC,Juri,Rei Horie), Mai Ueno(Daichi Yamamoto,HIBARI,Yuichiro Wakamatsu) cooperation: PROPS NOW, RIKASHITSU, HIBARI

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