誰しもが一度は目にしたことがあるだろうKAWSの作品。現在開催中の展覧会『KAWS TOKYO FIRST』では初期から現在まで、KAWSを語る上で欠かせない作品が集まり、観る者に新しい視点と"楽しみ"を与えてくれる。ポップアートの代名詞ともいえるKAWSの表現とは? 日本での展覧会の監修を務めた山峰潤也氏が解説する。
Profile 1974年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。90年代初めに、グラフィティアーティストとして頭角を現す。2001年には『KAWS TOKYO FIRST』をパルコギャラリーで開催。近年では『KAWS:HOLIDAY JAPAN』(2019年)も話題に。
KAWSを代表するキャラクター、COMPANION(b)やCHUM(c)、KIMPSONS(d)が生まれた背景には日本のカルチャーとの密接な関わりが挙げられる。当時の東京はDCブランドブームが去り、裏原宿を中心に、スケートボードやグラフィティなど、ストリートカルチャーが隆盛を誇った時代。1999年には「バウンティハンター」の依頼により、"仲間"という意味を持つCOMPANIONが誕生し、2001年には飯田昭雄キュレーションによる『KAWS TOKYO FIRST』がパルコギャラリーで開催された。また、2006年にはメディコム・トイとともにブランド「Original Fake」を展開するなど、KAWSと東京にまつわるエピソードは数知れない。美術館からではなく、ストリートから生まれたアーティスト。親しみやすいキャラクターを相棒に、ミュージアムより先に大衆からの圧倒的人気を得たKAWSは、ポップカルチャーとハイアートが入り混じる時代の象徴ともいえる存在なのだろう。
世界各地のアーティストと交流し、購入した作品が投稿されるKAWSのインスタグラムは、彼の日常が垣間見られる貴重な場所。開催中の『KAWS TOKYO FIRST』では、アート作品に囲まれたKAWSのスタジオを再現した空間(a)も展示されている。そのコレクションはヘンリー・ダーガーやマイク・ケリー、横尾忠則や五木田智央まで。アーティストを知り、インスピレーションを受けながら制作を続けるKAWSのヒューマニティに触れられるだろう。
KAWS TOKYO FIRST 国内初の大型展覧会となる本展では、絵画、彫像、プロダクツのほか、KAWSのプライベートコレクションも展示される。 会期:10月11日(月)まで 会場:森アーツセンターギャラリー https://www.kaws-tokyo-first.jp/