2021.09.18

サステイナブルな「意思」を着る。私たちは、毎日Marine Serreと過ごす

マリーン・セルは今季「エコフューチャリズムをストリートに」というステートメントを掲げた。「エコフューチャリズム」とは、循環するものづくりや温室効果ガスの排出量の低減を目指し、さらに環境に対応する能力を育み、生態学的な変化を生み出すという力強いコンセプト。ブランドの本質に立ち返り、変化の中にあるファッション業界をリードするアクションを起こしたのだ。激動の今だからこそ、スタイリッシュなデザインだけではなく、地球を思いながら、自分らしく生き抜くための機能を備えた服を日常にまといたい。東京に住む個性豊かな5人とともに、7つのキーワードから背景にある哲学を解き明かしていく

Brooke Gabel & Keigo Wezel

サステイナブルな「意思」を着る。私たちはの画像_1

ファッション誌を中心に活動するモデルである二人。仕事を通じ出会い、恋人に。長期滞在となった東京での日々を支え合う

 

Tartan Scarves

右:スコットランドをルーツに持ち、パンク・ファッションを象徴するタータンチェック柄。ピクニックの敷物でも用いられる日常的なモチーフだ。2019-’20年秋冬では、同柄の使われなくなったマフラーやスカーフ、ブランケットを見事にアップサイクルした。今季は、ジャージトップスにチェックの色柄のバランスを計算しながらスカーフを融合。首まわりに縫いつけられたスカーフは頭からかぶったり首に巻いたり自由なスタイリングがかなう。元々のフリンジもデザインとして生かした。
トップス¥96,580・パンツ¥74,250(ともに参考価格)/MATT.(マリーン・セル)

 

Leather

左:タフなイメージと着る人の体に徐々になじむ柔軟さがあるレザー。経年変化を楽しみながら長く愛用できる特性は、サステイナブルな思想に共鳴する。黒のレザーパンツに、UV光を照射し、瞬時にインクを硬化させる「UVプリント」の手法を用い、アイコンのムーンモチーフをエンボス加工した。愛すべきパートナーのように長く人生をともにしたい一本。
パンツ¥222,750・トップス¥46,090(ともに参考価格)・イヤリング(参考商品)/MATT.(マリーン・セル)

Aya Courvoisier

サステイナブルな「意思」を着る。私たちはの画像_2

ハンドメイドの陶器ブランド「DONI」を手がける。フランスで買いつけたヴィンテージのオブジェも販売

 

T-Shirt Patchwork

2019年春夏からヴィンテージのTシャツに新たな生命を吹き込むことに取り組んでいる。このアップサイクルは、アトリエに、色もグラフィックもさまざまなTシャツを集め、仕分けすることから始まる。そして、観光地、スローガン、ミュージシャン、サッカーチームなど、デザインをジャンルレスにつなぎ合わせていく。それは、多様な文化が混ざり合う現代の日常のごとく、縦横無尽なコラージュだ。ムーンモチーフの生地も組み合わせて一着のドレスに。
ドレス¥131,450・レギンス¥46,090(ともに参考価格)/MATT.(マリーン・セル)

サステイナブルな「意思」を着る。私たちはの画像_3

Work Wear

ツイル生地のジャケットはフィッシングウェアがインスピレーション源。ペンや交通系ICカード、ウォーターボトル、リップのほか、コロナ禍で欠かせなくなったハンドサニタイザー用など複数のポケットがあり、キーチェーンも付属。タフな世界をサバイブするための必需品を携帯できる仕様だ。さらに、襟元の後ろには切り込みがあり、快適に動くために長い髪を束ねて通すことも可能。
カーゴコート¥159,720・中に着たトップス¥40,150・レギンス¥56,430・マフラーつきニットハット¥63,910・ポケットのボトル¥26,730(すべて参考価格)/MATT.(マリーン・セル)

サステイナブルな「意思」を着る。私たちはの画像_4

Silk Scarves

生地集めが好きなデザイナーのマリーンは、特にスカーフをコレクションしてきたという。2018-’19年秋冬の初のランウェイショーで登場以来、ブランドのアイコンとなっているスカーフを多用したアイテムは、毎シーズン進化し続けている。色合わせを吟味してヴィンテージのスカーフを縫い合わせ、ジャージ素材のボディにあしらったドレスは、美しいドレープがエレガントなムードを漂わせる。
ドレス¥178,200・ベルト¥66,880・リング¥51,260・バッグ¥69,850・ソックブーツ¥132,220(すべて参考価格)/MATT.(マリーン・セル)

Daisuke Saito & Nico Saito

サステイナブルな「意思」を着る。私たちはの画像_5

「MANGOSTEEN/万珍酒店」を経営する齋藤大典さん。父を慕う娘の日虹さんは食物学に関心を持つ高校3年生

 

Moire

右:ローラーで強い圧力をかけて作る木材の板目のような模様「モアレ」はマリーン・セルがデビュー当初から使い続けているモチーフ。サイケデリックなムード、独特の肌ざわり、華やかさ、光沢がデザイナーを魅了し続けている。今季は新色のライラックを発表し、スポーツウェアの要素を加えた。ミニスカートには収納力のあるポケットもついている。機能美を備えたアームにつけるバッグや、ウォーターボトルのケースも展開。
トップス¥40,150・スカート¥77,990・レギンス¥46,090・腕につけたバッグ¥86,130・ボトルバッグ¥69,850・ボトル¥26,730(すべて参考価格)/MATT.(マリーン・セル) 靴/スタイリスト私物

 

Fleece Blanket

左:2019年春夏ではレッドカーペットにも通用する豪華なドレスをブランケットで仕立て上げたことも話題に。マリーン・セルが取り組んでいる、捨て置かれたモノを用いて、価値を高める試みの真骨頂だ。同シリーズのなかでもデイリーに寄り添うのは、モアレ柄の生地を組み合わせたフードつきコート。特有の華やかで大胆なパターンが生かされた一着は、もちろん柔らかくて暖かい。厳しい寒さが訪れても、やさしくプロテクトしてくれる懐の深さに頼ってみて。
コート¥141,900・パンツ¥92,840(ともに参考価格)/MATT.(マリーン・セル) 靴/スタイリスト私物

SOURCE:SPUR 2021年10月号「私たちは、毎日Marine Serreと過ごす」
photography: Yusuke Yamatani styling: Sumire Hayakawa 〈KiKi inc.〉 hair & make-up: NORI 〈Jari, inc.〉 model: Brooke Gabel, Keigo Wezel, Aya Courvoisier, Daisuke Saito, Nico Saito text: Itoi Kuriyama edit: Ayana Takeuchi

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