シャルロット・ゲンズブールとZARAのエクスクルーシヴ・コレクションが発売される。
女優として、ミュージシャンとして、そして今夏には母、ジェーン・バーキンを追ったドキュメンタリー『Jane par Charlotte』も発表し、映画監督としても活動の幅を広げるシャルロット。
レッドカーペットやショー会場で撮られる華やかな彼女のスタイルとは打って変わって、本コレクションにはアイコニックなデニムを中心に、より自身の自然体のスタイルを反映したアイテムが揃っている。発売直前、シャルロットにコレクションのイメージについて、自身のスタイルについて、話を聞くことができた。
――昨年はモデルとして、ZARA HOMEのムービーに出演されていましたね。その際もあなたの衣装に目がいってしまいました。
友人のファビアン・バロンから連絡があり、コマーシャルっぽくならないアーティスティックなフィルムを作るので、出てくれないかと誘われました。そのアイデアがとても面白くて、参加することにしたのです。衣装は、ただ着たいものを着ていましたね。その後、ZARAファッションチームのマルタに会った際に、何かコレクションを作らないかという話になったのですが、私はコレクションというよりも、シルエットをデザインしたいと伝えました。スタイリングしやすいもの、できるだけシンプルなもの、そしてできるだけ自分の普段着に近いものを作りたくて。デニムに対しては特に思い入れがあるので、たくさん使おうと思いました。またコーデュロイも好きなので必ず使いたかったし、父(セルジュ・ゲンズブール)が持っていたコートからもインスピレーションが湧いたので、それを取り入れようと思ったのです。ラインナップとして、デニムシャツ、デニムオーバージャケット、ジーンズ、そしてブーツなどが浮かんできました。それに、私にとっては靴もとても大切です。シルエットを完成させるアイテムですから。普段はテニスシューズかブーツを履くことが多いのですが、私にとっては探すのに一番苦労するアイテムです。
――それで今回、靴まで作ったのですね。
ベーシックなものが欲しかったのです。普段は丈の長いジーンズを穿くことが多いのですが、今回は靴を見せたかったので、ロングカットのジーンズも普段より短めにしました。ブーツにタックインもできるし、タックアウトもできる長さが気に入っています。
――デニムはあなたにとってどんな存在でしょう?
子供の頃の写真を見てみると、私はダンガリーシャツを着て、ジーンズやオシュコシュ( ビゴッシュ)のペインターパンツを穿いていることが多かったですね。’70年代だったので、母はフレアのジーンズ、父はいつも同じデニムシャツとジーンズを身につけていました。ふたりの影響は大きく、私はそこから自分のスタイルを見つけたのだと思います。昔から形のいいジーンズを探すことにはこだわりがありました。私は男の子っぽい体型でヒップがあまりなかったので、自分に合うものを探すのが難しかったのです。今回のコレクションも、毎日着るものをイメージしたので、自分に合うジーンズを作りたかった。服を自分で買い始めた頃は、よくフリーマーケットに行っていました。着古された服を通して、時間の経過を考えるのが好きでしたね。デニムの場合は特に時間を感じられますよね。ある時期にはノンウォッシュのジーンズを買って、穿きながら古くなる過程を楽しんでいたのですが、今の私には昔みたいに最初から「育てる」忍耐力がなくなってしまったのだと思います。それに、ZARAのユーズド加工はとてもいい出来だと思います。
それから、私はあまり色のある服を着ません。白と黒が多いですね。あとは緑をたまに着るくらいで。デニムにはたくさんの色の階調があるので、色をまとっている気分になります。さまざまなトーンの青が入っていて、それがとても美しく思えます。
――小さい頃からお父さんとお揃いでデニムシャツとジーンズを着ていたのが印象的です。
ええ。父は自らデニムへのパッションを公言することはなかったのですが、とても似合っていたのでしょう。父とお揃いで着ることも自然で、何も疑問に思ったことはなかったんです。
父はジーンズ2本とシャツ4枚しか持っていなかったような人ですが、それもとてもいいな、と思っていました。私はファッションは大好きですが、引き込まれすぎたりしたくはなくて。とてもシンプルで、あまり変化しないスタイルが好きですね。洋服のことを考えすぎて時間を無駄にはしたくありません。だから毎日同じスタイルでいるのがとても心地よいのです。
――俗に知られているパリジェンヌのスタイルかもしれません。パリジェンヌはたくさんの服がなくても、常に自分のスタイルを持っているイメージです。
それは嘘ですね(笑)。私のクローゼットにあるジーンズの数を見られたら、恥ずかしいくらいです。
――朝起きてから何を着るか決めるのにどのくらい時間がかかりますか?
毎日違うものを着る必要はないので、5分くらいで決まります。椅子に置いてある前の日に脱いだジーンズを穿いて、Tシャツだけ新しいものを着て、というように。時には、寝ていた時に着ていた服そのままという日もありますよ(笑)。
朝、着替えて鏡を見たらもうその日に見直すことはないので、最初からしっくりくる必要がありますね。
――そのシンプルなスタイルとは対照的に、レッドカーペットやショー会場では華やかなスタイルを楽しまれているようですね。
そうなのです。小さい頃、レッドカーペットを歩くのは悪夢のようでしたが、今はもっと楽しめるようになりました。最近はドーヴィルとヴェニス、2つの映画祭に参加しました。
サンローランのアンソニー(・ヴァカレロ)には、映画祭やイベントごとに衣装を選ぶのを手伝ってもらっています。遡れば、バレンシアガにいた頃のニコラ(・ジェスキエール)との仕事も印象的です。私にとっては彼がモードへの道を開いてくれたように感じています。
――そのドーヴィルでは、コーデュロイのスーツが印象的でしたが、今回のZARAのコレクションでもコーデュロイを使われていますね。
ええ、父が亡くなった後に、彼の着ていたコーデュロイのコートをワードローブから奪って私が着ています。コーデュロイ生地はおしゃれにも着こなせるし、作業着にもなる。デニムと同じですね。
――今回のコレクションにもありますが、あなたのスタイルにはトレンチコートも必須ですよね? お母さんにとってもでした。
そうです! 母だけではなく、父もよく着ていました。トレンチコートには守ってくれるイメージがあります。下に何を着ているのか分からない感じのコートが好きなんです。
――最後に、あなたのようなスタイリングを取り入れるためのアドバイスなどあれば教えてください。
ないです(笑)。いえ、アドバイスにはならないかもしれませんが、衣服は心地よいものであるべきだと思っています。洋服がもう一枚のスキンのような感覚であれば素敵ですよね。
コレクションは2021年10月7日(木)、ザラ渋谷宇田川町店、銀座店、池袋店、新宿店、大阪梅田店、名古屋店および公式オンラインストアにて世界同時発売となる。
限定コレクション発表を祝したローンチディナーがパリで開催!
10月3日、ファッションウィーク真っ只中のパリで、シャルロット・ゲンズブールとザラの創業者の娘であるマルタ・オルテガの共同主催による本コレクションのローンチディナーが開催された。ピエールパオロ・ピッチョーリ、ナオミ・キャンベル、ファビアン・バロン、イネス・ヴァン・ラムズウィールド&ヴィノード・マタディンなど豪華ゲストが来場し、クララ3000によるDJプレイが場を盛り上げた。
interview & text: Shoichi Kajino
ザラ カスタマーサービス
http://www.zara.com/
contact.jp@zara.com
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