閉塞した空気を打破すべく、お気に入りを着て「フッ軽」に動き出そう。まずは本来自宅での時間を心地よく過ごすために生まれた、ホームドレス。このとっておきを家にとどめておくのはもったいないから、着たまま外へ飛び出して、かなえたかった夢を満喫しよう。
吹き飛ばせ!
家でやるべきあれこれを投げ出して、街へと繰り出す。選んだのはトレンチコートをベースとしたドレス。パフスリーブや、ショルダーとウエストにたっぷりと寄せられたギャザーに、ホームドレスを思わせるカントリーな味わいが漂う。ピンクのコットンギャバジンにのせた黒ポルカドットが甘辛なムードを放つ。エメラルドグリーンのビッグハットをかぶりファンタジックに着こなして。嫌なことはシャボン玉と一緒に飛ばしてしまおう。
一人でロマンス
ドルマンスリーブのドレスは腕を広げると丸いシェイプを描き、開いた花のような印象に。ヘムはフリルで縁取られ、胸元にはリボンが躍り、ロマンティック気分をとことん満喫できる一着だ。フェザーのカチューシャやミュールが、"ロイヤル・バイブス"を盛り上げる。
未知へ飛び込む勇気
「バレエのエレガンスと、パンクの生命力」。チカ キサダが発信するブランドのコンセプトが落とし込まれたスペシャルな一着。ベーシックなパフスリーブのドレスに共布のコルセットが融合したようなデザイン。ジャンプをすれば、裾がふわりと空気を含んで膨らみ、ナイロン生地ならではのシャリッとした質感が動きに応じて音を鳴らす。蓋をしていた未知への好奇心を開放するなら、こんなドレスがふさわしい。
敵も味方も関係なく
偶然立ち寄った喫茶店で一局。透明な駒を使って敵も味方も交ざり合う、ピースフルなゲームに。チェス盤に揃えて変化球チェッカー柄のドレスで参戦する。ホワイトフェザーのつけ襟で20年代風に首元を飾って。
自分にとことん甘く
リバティの花柄をのせたハイネックのロングシャツドレスは、ピンクと若草色のミクスチャーが新鮮。上から異なる小花柄のトップスを重ねて。細かく入ったプリーツ加工が、シャツ地に新しい風合いをもたらす。ジューシーなアイスクリームにも負けない、キャンディのようなイヤーアクセサリーが、顔まわりを華やかに彩る。
ドレスでスケボー!
念願のスケートボードにも挑戦。グラニー風味のクロシェとスリップが融合したコージーなドレスには、チュールドレスを仕込んでボリュームを出す。ジオメトリック柄タイツを透かせてサイケな隠し味を。モヘアのヘッドピースやエコファーブーツがユーモアを添える。
秋の風に吹かれて
徐々に太陽が陰るたそがれどきにぴったりな、ジャカードのホームドレス。シルクにルレックスを織り込んだ生地が繊細にきらめく。プリントの着想源は、60年代のフォークスタイルと、90年代にはやったハードコアテクノのジャンルの一つ、Gabber。サイケデリックかつ懐かしさもある花柄に、ニットのコルセットをオンしてやさしいタッチを加える。
自由を謳歌する
フリータイムを思う存分満喫する彼女がまとうのは、ひだ襟のフリルドレス。デザイナーのヴィヴィアーノ・スーが自宅で育てているバラの写真を、細番手の糸を用いた高密度のシフォンに大胆に転写した。幾重にも重なった大ぶりなラッフルが、迫力のシルエットを生み出す。時折裏側にあしらったレースがのぞき、さらにドラマティックな表情を演出。腕を広げれば袖口から長く垂れるリボンが宙に舞い、高まる感情に呼応する。
SOURCE:SPUR 2021年12月号「ホームドレスで街へ」
photography: Takako Noel〈L MANAGEMENT〉 styling: Yoko Kageyama〈eight peace〉 hair: Waka Adachi make-up: Kie Kiyohara〈beauty direction〉 model: Alisha, Manfred cooperation: FUJIYAMA LOCATION SERVICES