名作アイテムを片っぱしから試し、隠れた逸品を見つけ出すのが生き甲斐の良品ハンター。今回は、おしゃれなアイウェアを探すならここ!と評判の高い「グローブスペックス」を徹底リサーチ。メガネ愛の深さで知られるスタイリストのYUMENOさんに、メガネ初心者のエディターAKIYAMAがアイウェア選びの極意を教わった。
モードにもレトロにも合う黒縁フレーム、その名も「YVES(イヴ)」
エディターAKIYAMA(以下A)今回は、アイウェアのセレクトショップ「グローブスペックス 渋谷店」にやってきました。「おしゃれな人はみんなここでアイウェアを買っている!」と編集部でも評判ですが、実は私、メガネをかけたことのないアイウェア初心者なんです。ファッションとしてうまく取り入れられるか、あまり自信がないのですが……。
スタイリストYUMENO(以下Y) 大丈夫! 先入観に囚われずいろいろ試してみると、どんな人でも必ず自分に似合う1本が見つかるはず。
A のっけから心強いお言葉……! まずYさんにかけてもらったのは、定番とも言える黒縁セルフレームです。
Y 今シーズンの展示会で、これと同じものを実際にオーダーしました。私はアイウェアが大好きで2、30本ほど所有していますが、実はこれが人生で初の黒縁メガネです。
A えっ、意外です! 黒縁は定番というイメージがありますが。
Y もともとカラフルな服が好きで、黒い服もほとんど持っていないくらいなので、アイウェアもカラーフレームを選びがちだったんです。でも最近、前髪を切ったせいか、逆に黒が新鮮に見えてきて。今日着ている黒いニットも、このメガネに合わせようと思って買ったんです。
A さすがカラフルな私服スタイルでおなじみのYさんらしいエピソードです! これはテンプルが極太で横顔にも主張があり、よく見かける黒縁メガネとは一線を画すモダンな表情です。
Y いかにも「黒縁メガネの人」にはならない、幅広いスタイルに合わせられる一本ですね。モードなスタイリングにも、70年代風ファッションにもよく似合いそう。
A フレンチブランド「レスカ・ルネティエ」の「YVES」というモデルですが、イヴと言えばもしかして……。
Y そう、イヴ・サンローランがかけていた黒縁メガネをオマージュしてデザインしたのだそう。そのストーリーに惹かれたのも、購入を決めた理由のひとつです。
店頭で大人気! メタルフレームのキャットアイ
Y この2つは、「アーレム」というブランドのキャットアイグラス。手前のゴールドはもはやこのブランドの定番とも言えるデザインで、女性に一番人気だそう。奥はその最新バージョン。「グレーゴールド」という表記の、やや黄みがかったシルバーカラーがスタイリッシュです。
A キャットアイデザインは、サングラスや分厚いセルフレームに多い印象ですが、これは細いメタルフレームのキャット。すごく新鮮です。(かけてみて)あれ、意外と可愛らしいですね!
Y この手前のタイプは、トップ部分が吊り上がっていなくてフラットなので、つり目になりすぎずに取り入れやすいと思います。
A でもさすがに、この奥の新作はつり上がりすぎでは?(かけてみて)あれ? とても可愛いです!
Y でしょ? 個性的だけど可愛らしいんです。あらゆる人に似合うキャットアイだと思う。そしてよく見てください、ノーズパットもゴールドでできていて、繊細な彫金が施されているんです。
A 本当だ! 細部のデザインまで凝っているし、どんな人にも似合う名品ですね。
「サイ」とのコラボレーションで生まれた、カラーレンズサングラス
A 続いて、薄いブルーのカラーレンズが素敵なシルバーフレームのサングラス。こちらはSPUR読者にもおなじみのファッションブランド「サイ」とグローブスペックスのコラボレーションブランド「サイスペックス」のものです。
Y 私はこのモデルのゴールドフレームを持っています。ずっとWブリッジのメガネを探していたんだけれど、どれもなんだかしっくりこなくて。これはシングルブリッジで、さらにトップバースタイル。ブリッジ部分にカーブを持たせることで表情によく馴染み、取り入れやすいんですよ。かけていると男女問わずいろいろな人から「どこのメガネですか?」と聞かれるアイテムです。
A レンズの大きさも、大きすぎず小さすぎずで取り入れやすそうです。でも、サングラスってどんなスタイリングに合わせればいいのかわからなくて……。
Y 大丈夫! さすがサイとのコラボレーションだけあって、このサングラスはなんだか服をアゲてくれるパワーがあるんですよね。ライダース×デニムパンツのような王道のハンサムスタイルに合わせても素敵ですが、今日はトラッドなチェック柄ジャケットのはずしとして取り入れてみました。
A 確かに、スタイリングがいっそうこなれて見えます!
細部まで美しいクリアピンクフレーム
A ところで今、Yさんが首にかけているゴールドチェーンはもしかして……。
Y そう、これは「ラ・ループ」のグラスチェーンです。頻繁にアイウェアをつけ外しするときは、これがあるとすごく便利。ネックレスとの重ねづけも楽しめるので、気負わず取り入れてみてほしいですね。
A チェーンにかけているクリアピンクのメガネも可愛いです。
Y これは先ほどのメタルフレームのメガネと同じく、フランス出身のデザイナーによる新進ブランド「アーレム」のものですね。Aさん、テンプルを透かしてみてください! 中のメタルパーツに彫金が施されているんです。
A 本当だ! 光を受けてさりげなく輝いて、ずっと見ていたくなるほど美しいです。デザインへのこだわりを感じますね。
Y もともと、バウハウスデザインやグラフィックアートが好きなデザイナーさんなんですよね。クリアフレームはどんな人でも取り入れやすいし、特にこのベビーピンクは肌になじみやすいので、初心者さんにもおすすめのモデルです!
太いセルフレームはドレスにも似合う!
Y こちらは、レスカの「GURU」というモデルです。以前からあったデザインが一回り大きくなって今シーズンに再登場したとのこと。
A メガネって、真面目な格好やカジュアルスタイルに合わせがちなイメージがありますが、Yさんは華やかなドレスにもメガネを合わせるんですね!
Y もちろん! ワンピースに太いセルフレームを合わせるスタイリングは、普段からよくしています。「メガネは華やかな格好には似合わない」というのは、実はただの先入観かもしれませんよ。
A なるほど! 確かに大きめのメガネをかけると、ドレスに負けないし、キャラが立つ気がしますね。
Y そう、ちょっと大げさなくらいに目立つものを合わせるのが可愛いと思います。
エレガントなメタルフレームは、パーティにもぴったり
Y さて、今度は先ほどのドレスにゴールドのメタルフレームを合わせてみました。どうですか? 全然雰囲気が違うのでは?
A ぐっとエレガントになりましたね! きちんとしたパーティや結婚式にも似合いそうです。細いゴールドフレーム、とても肌になじみますね。
Y これは「70年代のパリ7区」がテーマとなった今シーズンの「アーレム」の新作で、シルバータイプもあります。よりモードにしたいとき、より効かせたいときはシルバーがおすすめですね。
A まるでジュエリーのようなエレガントさと繊細さを感じます。
Y 実際にこのブランドのアイウェアは、パリを代表する有名ジュエラーのアイウェアと同じ工場で作っているらしいですよ。
永遠のスタンダード、ここにあり。レスカのクラウンパントゥ
A こちらは、またぐっとクラシックなフォルムですね。
Y トップに角を立たせ、ボトムが丸みを帯びたクラウンパントゥと呼ばれるこの形は、昔からある定番のひとつ。初めての人にもおすすめのフォルムです。このレスカのクラウンパントゥは、男性を中心に熱狂的なファンがいます。これをかけていたら、きっとおしゃれなメンズに「どこのメガネですか?」と話しかけられるんじゃないかな。
A レスカはヴィンテージも大人気で、コレクターがいると聞いています。
Y そうですね。レスカのデザイナーであるジョエルさんは、なんと80代の大ベテラン。セルフレームは時代によって厚さが異なり、1mmの違いにこだわって集める人も多いですね。グローブスペックス代表の岡田哲哉さんは、2012年にこのモデルに出合って一目惚れし、レスカを自社で扱うことに決めたのだとか。そのくらい魅力にあふれる名品なんですね。
A メガネ沼、とても奥深そうです……!
インパクト強めのデザインも、かけると意外になじむ!
A 今度はまたキャラ強めのメガネが登場です。でも、かけてみると意外となじみますね!
Y そうなんです。これはフランス発のブランド「アン・バレンタイン」の「ラッキー」というモデル。名前も可愛いですよね。実は、アン バレンタインは私がメガネ沼にハマるきっかけとなったブランドなんです。10年ほど前、たまたまリースしたここのメガネがあまりにも可愛くて、自分で買い取ったのがすべての始まりでしたね。
A アン バレンタインの魅力はどこにありますか?
Y フランス・トゥールーズが拠点のブランドで、5人ほどのグループでデザインを行なっているそう。アイウェア単体で見ても素敵ですが、人の肌に載せることで完成するようにデザインされているのが素晴らしい。「自分らしくあることの喜び」がコンセプトのアイウェア。
A とても素敵です!
Y スタイリングは、カラフルなメガネに合わせてカラーブロックのファージャケットを。パリジェンヌを気取りつつ、色をかけ合わせてとことん遊びを効かせてみました。
A カラフルなスタイリングにも合うし、オールブラックスタイルの差し色にしてもよさそうです。意外と服を選ばずに取り入れられそう!
個性派だけど肌なじみ抜群のオクタゴンフレーム
Y これもアン バレンタインのもの。最近人気のオクタゴン(八角形)フレームです。
A とても奇抜なデザインで、ちょっと弱気になってきました……。
Y それが意外と、かけてみるとしっくりハマるんですよ。透け感のあるセルフレームだから、肌なじみがいいんです。
A (かけてみて)あれ、本当だ! 意外と違和感がありません。
Y 正八角形ではない、絶妙にズレのある八角形なので、グラフィカルになりすぎず顔になじむんだと思いますね。さすが、人がかけることで完成するアイウェアを作るアン・バレンタインらしい新作です!
ポップなカラーとテンプルについたバイカラーモチーフが可愛い!
A 最後は、ポップなカラーリングが可愛いこちらのモデルです。
Y アン・バレンタインの「HANIA」ですね。今シーズンのアンは、ポストモダンがテーマになっています。これはテンプルについたバイカラーのモチーフと、一風変わったヒンジのデザインが特徴的ですね。
A 本当だ、横顔のアクセントになりますね。
Y そう、意外と人は横顔を見られることが多いんです。これをかけていると、すごく褒められるんですよね。
A (手に取って)うわっ、びっくりするほど軽いですね!
Y 持つとわかる、驚きの軽さですよね〜。メガネをかけていて重さに疲れてしまう人は、こういうメタルフレームをかけてみてほしいです。
アイウェア選びに正解なんてない! 迷ったらプロに相談して
A いや〜、今日はアイウェアに対して抱いていた苦手意識がだいぶ払拭されました。自分には似合わないという固定観念から抜け出せそうです。
Y よかった〜! 私なんて、むしろアイウェアがないとスタイリングが決まらない気がするくらいです。新しいアイウェアを買ったら、それに合わせて似合う服を買うほど。生まれ持った顔は変えられなくても、素敵なアイウェアをかければ顔からおしゃれになれる。自分の顔を鏡でみたときに、素直に「ちょっといいな」と思えるんです。それってアイウェアの大きなパワーだと思う。
A アイウェアを選ぶときのコツはありますか?
Y それはすごくよく聞かれるけれど、アイウェアには正解なんてないんです。「こういう人にはこれが似合う」といった法則みたいなものも、別にないと思っています。自分がどう見られたいか、どういう人になりたいかを考えて選んでみてほしい。あれこれ選ぶことで、いろいろな自分を楽しめますよ。まずはとにかくかけてみること! アイウェアは最初に見たときの印象と、肌に乗せたときの印象が全然違いますからね。
A でも、ショップに行って試してみると、本当に自分に似合っているのかどうか、確信が持てなくなるんです……。
Y あるある〜(笑)。そういうときはプロに選んでもらうのも手ですね。グローブスペックス 渋谷店では、代表の岡田さんが自らお客さんに似合うアイウェアを選んでくれるという贅沢なサービスがあるんです!(※要予約)「必ずあなたに似合うものを選んでみせます」とのことなので、委ねてみてはどうですか?
A それは心強い! なんだかだいぶ前向きな気分になってきました。私はセルフレームが好きなので、まずはいちばん気になったレスカのセルフレームの中から選んでみようと思います!
【お問い合わせ先】
グローブスペックス エージェント
http://www.globespecs.co.jp
03-5459-8326
スタイリストYUMENO(小川夢乃)
幅広いファッション誌で活躍中。アイウェアへの造詣の深さは業界内でも有名で、毎日のスタイリングや気分に合わせて楽しんでいる。初めてメガネをかけたのは高校生のとき。視力が落ちたので、赤いセルフレームのメガネを購入。真っ赤なバッグと合わせて、制服の差し色にしていた。
エディターAKIYAMA
SPUR.JPではファッション&カルチャーを担当。メガネをおしゃれに取り入れられたらいいな~と長年思いつつ、視力がよいためかける機会が生まれないまま今に至る。コロナ禍でオンラインミーティングが増え、キャラづけのためにもアイウェアに挑戦してみようと計画中。
text:Chiharu Itagaki edit:Taori Akiyama