2021.07.22

黒島結菜の旅する日常。バッグは大きく、心は軽く

たとえ荷物が増えても、今日の自分は大丈夫。それはまるで強い味方が隣にいるような安心感。ビッグサイズのバッグをよき相棒に、俳優・黒島結菜さんと下町を気ままに散歩

ポピーレッドのアイコンが日常を旅へと変える

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「キーポル・バンドリエール 50」〈H29×W50×D23〉¥259,600・ジャケット¥426,800・タックパンツ¥196,900/ルイ・ヴィトン クライアントサービス(ルイ・ヴィトン) カットソー¥9,350/セント ジェームス代官山店(セント ジェームス) イヤリング¥8,800/プティローブノアー 靴¥130,900/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン)

大容量かつ軽量。名品バッグの夏の新色が、シンプルなジャケットスタイルにアクセントを添える。

シンプルだからこそ楽しい!サイジングの可能性

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レザーバックパック〈H55×W39×D3〉¥305,800・ドレス¥313,500/ジル サンダージャパン(ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー) 中に着たポロシャツ¥14,300/ラコステお客様センター(ラコステ) ソックス¥495/H3O ファッションビュロー(カルツェドニア) イヤリング¥8,800/プティローブノアー 靴¥130,900/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン)

レザーのバックパックは、ライトな素材とクリーンなデザインが個性的なサイジングを引き立てる。トップのレイヤードとバッグの存在感で、フェミニンなドレスをデイリー仕様に。

端正な佇まいにユーモアをひとさじ。デイリーバッグの新しい回答

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「オーボエ バッグ」〈H53×W43×D11〉¥243,000/トッズ・ジャパン(トッズ) デニムオールインワン¥46,200/A.P.C. CUSTOMER SERVICE(A.P.C.) 中に着たゼブラ柄パーカ¥143,000/ブラミンク イヤリング¥8,800/プティローブノアー 

無駄のない美しいフォルムと、シーンレスに使える万能性で人気のバッグに、ラージサイズが新登場。トラッドなのにどこか愛嬌のある佇まいは、この大きさあってこそ。なめらかなスムースレザーは体にしっくりとなじみ、カジュアルな着こなしに品と迫力を添える。

おめかしした日に持ちたいクラフト感あるトートバッグ

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「グッチ ダイアナ」〈H30×W35×D14〉¥799,700・ニット¥209,000・スカート¥209,000/グッチ ジャパン(グッチ) 中に着たタートルネックニット¥57,200/ブラミンク 靴¥137,500/ジェイエム ウエストン 青山店(ジェイエム ウエストン) イヤリング¥8,800/プティローブノアー ソックス¥495/H3O ファッションビュロー(カルツェドニア)

フラワーエンブロイダリーとパイソンレザーコンビの、ヴィンテージライクな「グッチ ダイアナ」バッグ。ネオンオレンジのバンドに合わせ、プレイフルな色使いでスタイリング。ノスタルジックな着こなしをモダンに昇華する。

もう少し遠くまで行こう。できる相棒が冒険心を後押し

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「オーバーサイズド XXL ベルトバッグ」〈H30×W54×D15〉¥119,900・ドレス¥375,100/バレンシアガ クライアントサービス(バレンシアガ) 中に着たメンズのニット¥44,000/オーラリー イヤリング¥8,800/プティローブノアー 靴¥130,900/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン) ソックス¥495/H3O ファッションビュロー(カルツェドニア)

SUMMER 21コレクションで登場し、話題をさらったOversizedラインの新作は、特大のベルトバッグ。リサイクルボンバーナイロン素材を使用した軽量さと機能的なデザインは持つ人の行動範囲を拡張するような力強いオーラにあふれている。

黒島結菜のバッグとその中身、そして頭の中

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(上)昨年秋に買った念願の自転車は、イタリアのメーカー「Cinelli」のTuttoモデル。「すごく走りが軽いんです」。 (下)「白は汚れるもの、と割り切ってガンガン使っています」。2019年に発売されたオーラリーとチャコリのコラボは、イギリス軍のショルダーバッグがモチーフ。中身は、アーツ&サイエンスのミニウォレット、水筒、モンベルの折りたたみ傘、同じくモンベルのポーチ、そしてカメラと文庫本。この日の一冊は友人から借りた森下典子の『デジデリオ』

どんなバッグを選び、何を入れるか。そこには、おのずとその人の性格やライフスタイル、そして価値観が表れる。私物から見えてきた、黒島さんの素顔とは?

 

キャンバスショルダーひとつとお気に入りの自転車で、どこへでも

「普段は財布やスマホだけポケットに入れて、カバンすら持たないことも多いんです。我ながら少年みたいですが」と、照れくさそうに教えてくれた黒島さん。
「でも、去年の5月くらいに、以前から気になっていたオーラリーとチャコリのコラボバッグを買ったんです。ちょうど最初の緊急事態宣言中、自宅や近所で過ごすことが多くなった頃。『自転車に乗りたいな』と思い始めた時期でした。両手があく斜め掛けタイプで、エコバッグがいらない容量。かなり大きめですが、キャンバス素材だから軽くてかさばらないところも気に入っています。愛車でふらっと買い物に出かけるときの相棒はいつもこれで、行きはぺちゃんこ、帰りはたいていパンパンにふくらんでいます」

バッグの中身を見せてもらうと、ミニ財布やポーチ、折りたたみ傘などシンプルで実用的なアイテムが並ぶ。
「お財布とお水を入れた水筒と、あと本は何かしらいつも入っていますね。電子書籍を試した時期もありましたが、やっぱり紙に戻りました。それと一眼レフ、大学の合格祝いにいただいたニコンのF3です。最初に手にした本格派のカメラで、今でも一番よく使っています。最近の被写体はほとんどうちの犬ですが(笑)、遠出のときは必ず持っていきます」

実は黒島さんは以前、大学の写真学科で写真を学んでいた。しかし仕事はどんどん忙しくなり、学業と俳優業との両立が困難に。悩みに悩んだ末中退を決めた。
「全部が中途半端な状態がすごく嫌だったんです。仕事と大学とプライベート、消去法でひとつ削ったのが、大学でした。そのときから、『あれもこれも』から『これはいらない』『これはやらなくていい』って、自分にとって必要ではないものを仕分ける方法が身についた気がします。バッグの中身もそうですけど、私服もほとんど白か黒、それにデニムくらいで。あとは食ですね。コロナ以降、ご飯を玄米に変えました。玄米とお味噌汁ともう一皿……ブロッコリーを蒸篭で蒸してアボカドと和えたものとか。シンプルで簡単で、毎日食べても飽きません。必要なものがちゃんとあって、いらないものがない。そういう感じが私には合っているんだなって、最近気がつきました」

すっきりとした表情でそう語る。不安やプレッシャーとは無縁の佇まいだ。
「悩むこともあるけれど、これ以上考えても無理だと思ったら、一日ベッドから動かず、ごはんも作らず、何にもしない! 本も携帯もさわらない。そうするとわりと元気になる。私なりに見つけたリセット法です」
 彼女は自分の荷物を軽くする術を知っているのだ。

YUINA KUROSHIMA
1997年生まれ、沖縄県出身。2012年デビュー後、ドラマ「時をかける少女」「アシガール」など話題の作品に数多く出演する。映画『カツベン!』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。来年前期放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」で主演を務めることが決定している。

SOURCE:SPUR 2021年8月号「黒島結菜の旅する日常 バッグは大きく、心は軽く」
model: Yuina Kuroshima photography: Naoya Matsumoto styling: Naomi Shimizu hair & make-up: Hiroko Ishikawa 〈eek〉