スタイリスト小嶋智子さんが指南。大人がミニスカートをはくときは

この春、ミニスカートがトレンドの大本命に返り咲き。「脚を出すのはちょっと……」とためらう大人にこそ、挑戦してほしいミニスカートが今季は盛りだくさん。苦手意識を払拭する着こなしをスタイリスト小嶋智子さんがレクチャー。ミニスカの魅力を再発見しよう

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ジャケット¥407,000・中に着たボディスーツ¥110,000(参考価格)・スカート¥242,000・靴¥130,900/クリスチャン ディオール(ディオール)

シアーなボディスーツに重ねて

永遠のエレガンスを体現する伝統柄、千鳥格子のジャケットとミニスカートのセットアップを今シーズンらしくセンシュアルにアップデート。タイツ地のボディスーツをインに仕込み、胸元に透け感を加える。さらに脚の曲線をなぞるサイドシームがグッドガールな台形スカートの安定感を裏切るいいアクセントに。「脚を露出しすぎずに、インナーを重ねて肌見せをコントロールすることで、大人も無理なくミニスカートをはけると思います。モノトーンにまとめながら、緩急をつけることがスタイリングの腕の見せどころ。あえてノーアクセサリーにして、引き算の美学が光るシックなムードに」(小嶋智子さん)。ボディスーツの上半身はキャミソールタイプ。ジャケットからショルダーストラップをちら見せさせて、遊び心を添えても。

 

お悩み解決! ミニスカート攻略法教えます

大人なミニスカのヒントは、ランウェイとオフランウェイに。カギを握るは、アイテムの組み合わせと素材選び

Profile
小嶋智子さん(スタイリスト)
スカートを用いたスタイリングが得意。今季はミニスカートと相性抜群のユニークなレッグウェアがまれに見る豊富さで、心躍る。

編集AT
20代はミニのプリーツスカートを愛用していたが、30代になって毎日パンツスタイルに。またミニスカをはきたいが勇気が出ない。

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ミニスカを制する者は、肌見せとシルエットを制す!

AT(以下A) ミニスカートが豊作な今季! でも、ここ数年で肌を見せない装いがすっかり定着し、いきなり脚を見せることに抵抗があります。

小嶋(以下K) 各ブランドの急なミニスカ提案に動揺しますよね(笑)。今年らしいのは、2。ミニスカでもきちんとして見え、大人にちょうどいい。3は一番ハードルが低くまねできるのでは。手持ちの大きめサイズのシャツに合わせて、ミニスカの若々しさを中和するアイデア。これまでのトレンドの流れから最も自然に応用できるはず。

 1のケープで体のシルエットを覆う装いも「これならできるかも」という希望を感じました。ロング丈から脚がチラッとのぞくくらいで、足首にボリュームがあるシューズも、素足が生々しくならないような気がします。

 ミニスカ自体のディテールにも、大人にやさしいデザインが見て取れましたよ。4はミニスカの後ろ身頃が長め。一番目立たせたくないお尻から太もものラインが強調されないし、ひらっと翻って大人の余裕が漂う。エコレザーなど厚手の素材のボクシーなジャケットで、上半身にボリュームを持ってきて、下半身に目が行きすぎないようにしているのは今季らしいスタイリングだと思います。ポインテッドトゥのシューズもシャープな印象でスタイルアップ効果あり。2000年代初頭のトレンドが戻ってきています。

 ウエストやお尻が目立たないのはありがたい。Tシャツなどウエストインをするトップスは、ギャルっぽくなりそうで抵抗があるけれど、体のラインをさりげなく隠せるなら挑戦できそう!

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 オフランウェイのモード賢者たちもチェック。5は長いブーツの力を効果的に使ったお気に入りのスタイリング。モノトーンがベースなのも、大人っぽく仕上げるコツだと思います。

 6は年齢を重ねると手を出しづらいフレアスカートを上手に大人っぽく着こなしていますね。白シャツとケープ、ブーツで肌見せとシルエットのハンドリングがお見事!

 お腹とお尻をガードして、ウエストを目立たせなければ、怖いものなし。ランウェイとオフランウェイともによく見られた髪の毛をワンレンで自然に流すっていうのも、90年代後半から2000年代初めを思わせるバランス感。当時の安室奈美恵さんのミニスカ姿を想起します。ショートカットやシニョンでタイトにまとめるのも、グッドバランスですよ。

 7の生地感もポイントかと。トップスが地厚だったりハリ感がある素材でインパクトを足す。このコーディネートも、ワードローブにすでにあるアイテムにミニスカを足したらできそうです。ポップな色使いもキュート。

 8のブルーのシャツ使いに注目を。ベーシックアイテムでミニスカを女っぽく着ないいい例。抜けもあり、まねしてみたい。ロングブーツもきいて、生脚が全然いやらしくない。

 一方で、本特集のスタイリングページではボディコンシャスなアイテムを駆使したスタイリング提案もたくさん見られました。センシュアルな大人っぽさの表現として素敵。こっちの路線も今季ならでは。着こなせたら、かっこいいだろうなあ。

 そう、体のラインを強調したいときは、肌見せを極力抑えること。そのときにただ肌を覆うのではなく、素肌感の余韻を残すことが大切。今季、各ブランドからたくさん提案されている透け感のあるボディスーツやレッグウェアが役立ちますよ。結論として、大人のミニスカ攻略法は大きくは2通り。「アイテムの組み合わせで体のラインを調整」パターンと、「体のラインを見せるときは、肌を効果的に隠す」。いずれかの手法で、春のトレンドであるミニスカを大人も無理なく楽しんで、はけるはずです!

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(上)カラーショーツで"ひとくせ"加える

ここ数シーズンで姿を現した飛び道具、膝上丈のショーツ。今季は新感覚なレイヤリングとして、大人のミニスカートの装いにフレッシュな風を吹き込んで。「ミニスカートで見える太ももを隠したい気持ちを逆手にとって、フレッシュなレイヤリングに仕上げましょう。マスキュリンなムードで着こなしたいなら、オーバーサイズのジャケットとバランスが釣り合っていることが重要。ストイックなオールブラックに、ネオンカラーをのぞかせてプレイフルなアイデアをプラス。マットな素材感の少しルーズなフィッティングのカラーショーツで、どこかスポーティでラフな雰囲気も。一方で、ジャケットは一枚で羽織ったかのように胸元の素肌を出して抜け感をプラスして。フェミニニティをひとさじ残すのが大人の女性の嗜みです」。

ジャケット¥121,000・スカート¥143,000・ショーツ¥20,900/マルジェラ ジャパン クライアントサービス(エムエム6 メゾン マルジェラ) イヤリング¥9,900/ジャンティーク ブーツ¥155,100/JIMMY CHOO

 

(下)ボウタイを垂らして目くらまし

グラフィカルな縁取りとリボンの装飾がスウィートなジャケットとミニスカートを合わせたスタイリング。一筋縄で終わらせないのがレディの遊び心というもの。「コロナ禍での楽ちんスタイルの反動もあってか、コンサバティブなアイテムが復活したのも今季の新しい流れ。ジャケットスタイルをお堅いムードで古く感じさせないためには、少しルーズに着崩すのがおすすめです。ボウタイは前に垂らして、ミニスカートの存在感をカムフラージュ。シアーなバイカーショーツの透け感も色っぽくなりすぎないように、くしゅっとたるませて。足もとも重めのブーツを合わせることで、露出した素足のインパクトを軽くします」。

ジャケット¥594,000・中に着たブラウス¥192,500・スカート¥214,500(すべてヴァレンティノ)・ブーツ¥195,800(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)/ヴァレンティノ インフォメーションデスク ショーツ¥3,520/ぽこ・あ・ぽこ(ファルケ)

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ニット¥242,000・スカート¥154,000/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン(ボッテガ・ヴェネタ) ショーツ¥1,320/ぽこ・あ・ぽこ(ミュージックレッグス)

トップは地厚でゆるいシルエットを

少し野暮ったく感じるくらいの重厚感がちょうどいい。地厚なニットの素材感を生かしてボディラインをぼかし、ミニスカートへの躊躇を吹き飛ばすポップでファニーな装いに。「厚手のチャンキーニットは、これまでも幾度かトレンドに浮上していたアイテム。ただ、今季は思いきってボトムはミニスカートにチェンジ。ウエストのくびれによる女性らしさが際立ちすぎないように、トップは上から重ねてコンフィーなムードに仕上げてみて。ボトムは同じニット素材で、さらに同色のビタミンカラーを掛け合わせれば、とびきり旬なスタイリングに仕上がります。ここでも同色のシアーなバイカーショーツをインすれば、スリットから出る太ももの主張を控えめに調整でき、同時に素材感の濃淡でコントラストを遊べます」。

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シャツ¥218,900・スカート¥205,700・ブーツ¥198,000・イヤリング¥130,900(参考価格)/リシュモン ジャパン アライア(アライア)

同素材のビッグシャツを羽織る

肌を見せる&隠すの切り口の新しさと露出する面積のさじ加減が、大人のミニスカートの攻略のコツ。ワンピース風ビッグサイズのシャツをドッキングして、"ステレオタイプなミニスカート観"を打破してみよう。「最注目なミニスカートの着こなし提案は、今春に生まれ変わった新生アライアにあり。ミニのフレアスカートをさらに包み込むようなエアリーな大きめシャツとの掛け合わせに注目しました。お腹のチラ見せと縦に開いた背中の肌見せ、さらにはブーツのバックサイドが大胆に開いているという、いわゆる若い肌見せとは一線を画す嫌みのない肌の露出がとっても爽やかでクール。オールホワイトでもガーリーで終わらないのは、シャツのハイネックとボリュームある袖、絶妙な膝下丈という、構築的なシルエットが理由」。

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ベスト¥168,350・ブラトップ¥55,200・スカート¥97,650/エドストローム オフィス(パコ ラバンヌ) 中に着たボディスーツ¥19,800/TORO ブーツ¥240,900/ジージーアール ジャパン(ジャンヴィト ロッシ)

シアーなロングジョンとロングブーツの二重奏

ミニスカートの足もとは、ポインテッドトゥのロングブーツとの組み合わせが最旬コンビ。アクセサリー感覚でメタリックな素材を用いて、足もとに視線を集中させて。大人の脚出しは、太ももからの視線をずらして難なくクリアしよう。「足先がシャープなら、レッグラインがまっすぐ見えて、脚長効果もあり。主役級のシルバーラメのブーツは華やかなだけではなく、脚の形のコンプレックスや膝の露出をそのインパクトによってセーブしてくれます。ノスタルジックな総柄があしらわれた、ロングジレとブラトップ、台形スカートの3点セットのアンサンブルも、ロングジョンをインにきかせることで、一見ワンピースにタイツを履いたかのような自然な一体感に」。

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ミニドレス¥125,400・インナー¥29,700・レギンス¥33,000・イヤリング¥92,400・アイウェア¥47,300・ブーツ¥267,300(すべて参考価格)/MATT.(マリーン・セル)

インナーとタイツで禁欲的に肌を覆う

ワンピースを一枚で着ているだけと侮るなかれ。タイツとインナーをダブルで駆使して、徹底的に肌見せをセーブ。禁欲的でビザールに見えるくらいが、一歩先を行くミニスカートの大人向けアレンジ。「ほぼ顔と指先だけの肌が見える、オールブラックのスタイリングは、ミニ丈のワンピースに、透け感のあるカットソーとレギンスをインナーに合わせています。ワンピースの胸元や袖口、さらに太もも下を覆うシアー素材は、シンプルな重ね着ながら、かなりストイックな印象で、斬新なモード感たっぷり。フューチャリスティックなアイウェアを身につけて、ミステリアスな大人の女性を気取ってみては。艶感のあるパテント素材のロングブーツも、都会的でシックなフレーバーを添えています」。

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ドレス¥235,400・スカート¥69,300・ピアス¥44,000・靴¥190,300/イザベル マラン

ロングドレスのインにしのばせて

ミニスカートにドレッシーなマキシ丈のワンピースを合わせて、ドラマティックに再構築。見え隠れするミニスカートの裾で、大人のちゃめっ気をのぞかせて。「肌見せする部位に加えて、分量のバランスを調整することで、ミニスカートを大人っぽく着こなせます。くるぶしまである丈のロングドレスで脚をほぼ隠して、露出はデコルテと腕まわりに。歩くとグラディエーターサンダルを履いた脚がちらちらと見えますが、腰まわりとヒップラインはしっかりカバーすることがポイント。ミニスカート特有のギャル感は払拭でき、ソフィスティケートされた優雅なムードに。上半身は重ね着せずに、繊細な極細の肩紐で肌の露出を臆さない潔さを出したほうがベター。ヌーディな上半身のアクセントとして、ジオメトリックなモチーフの大ぶりなピアスを添えるのもテクニックのひとつ」。

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ミニドレス¥92,070・イヤリング(参考色)¥40,040・ブーツ¥126,500/エドストローム オフィス(クレージュ)

’60sなムードでサイハイブーツと合わせる

シルエットのコントロールが難しいワンピースは、シューズで肌見せのさじ加減を。「往年のクレージュらしいミニ丈のドレスは、スクエアネックがチャームポイント。ここで、膝下丈のロングブーツやブーティを合わせてしまうと、子どもっぽいスタイリングになってしまう可能性大。膝上まで覆うスリムなシルエットのサイハイブーツ、しかも色はオフホワイトをチョイスしてヌーディかつ’60sに。黒を合わせるよりも、太ももとサイハイブーツとの境界線が強調されず、フェティッシュになりすぎません。ほどよい光沢感のエナメル素材も、素肌になじみやすい。爪先はスクエアトゥで、エレガントになりすぎないのもポイント。王道のチェック柄のミニドレスも、ブーツのセレクト次第で格段に大人っぽく見える好例。堂々と着こなしてほしいです」。

SOURCE:SPUR 2022年3月号「スタイリスト小嶋智子さんが指南 大人がミニスカートをはくときは」
photography: Shuya Aoki 〈W〉 styling: Tomoko Kojima hair: Keiko Tada 〈mod’s hair〉 make-up: Kie Kiyohara 〈beauty direction〉 model: Kristy P text: Aika Kawada edit: Ayana Takeuchi

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