チュールやフリル、シルクにビーズ……。ロマンティックなドレスが勢揃いした今季。とっておきの一着を、エネルギーに満ちあふれた彼女がまとうとしたら? スポーティなスパイスを加えたアクティブ・モードに身を包み、力いっぱい走り出そう!
ドラマティックに風を切る
「陰影で表現する黒」がテーマとなったノワール ケイ ニノミヤ。幾重ものフリルが生んだシェードが、儚い強さや、美しさを表現した。ドレスの下にはフィッシュネットのタイツを仕込み、さりげなくエッジィに。鮮やかなペールグリーンのローファーとともに、
スタートダッシュを切って。
たとえ転びそうになっても、前を向いて
パステルピンクのシルクサテンのドレスには、ビタミンカラーを合わせ、ポジティブマインド全開に。プラダの2022年春夏コレクションで発表されたこの一着は、イヴニングウェアにインスパイアされたもの。内側についたベルトが、コルセットを彷彿とさせる。大胆なバックスリットからのぞく、ネオンイエローのショーツが、エネルギッシュなムードを加速させる。
マイクロミニでランニングを
ペースダウンしても、立ち止まらず前進。ビーズ刺しゅうで描いたフラワーモチーフをちりばめた、ミュウミュウのドレス。50年代を彷彿とさせるクラシカルな一着はマイクロミニ丈でモダンに進化。切りっぱなしの加工を施した裾が重なり、フレッシュな佇まいに。ニューバランスとのコラボレーションスニーカーを履いて、足取り軽やかにどこまでも走り続ける。
光を受けてきらめく、勝利の兆し
イタリアのマニエリスム期の画家、ポントルモ。彼の作品が着想源となったロエベの2022年春夏コレクションより。日差しを受けて輝く約15,000個のスパンコールがあしらわれた一着を。歩を進めるたびに躍動する、アシンメトリーなシルエットは遊び心たっぷり。走る喜びと、勇気をもたらすドラマティックなドレスと遥か彼方へ。
夕暮れはドレスの裾を翻し、太陽と追いかけっこ
夢中で駆け抜け、気がつけばたそがれどき。ヴァレンティノを象徴するケープドレスを再解釈した、オーバーサイズのシャツドレスをはためかせて。疾走する彼女の身を包む鮮やかなレモンイエローのドレスを、やわらかな西日が照らす。ボディの両サイドと、バックに施された大胆なスリットが、動くたびに風と戯れ、さまざまな表情を演出する。
笑顔がこぼれるラストスパート
20世期初頭に活躍した詩人のイーディス・シットウェルと、貴族のオットリン・モレル、自由に生きたふたりの女性の装いに着想を得たアーデム。未来に向かって縦横無尽に駆ける彼女の身に寄り添うのは、ジャカード織の花柄ドレス。3層のフリルが施されたトレーンが、ロマンティシズムを刺激する。足もとには快適なスニーカーを合わせ、ゴールを目指して一直線。
SOURCE:SPUR 2022年4月号「ラン・ドレス・ラン」
photography: Masami Naruo 〈SEPT〉 styling: Yoko Kageyama 〈eight peace〉 hair: Asahi Sano make-up: NOBUKO MAEKAWA 〈Perle〉 model: Hanna edit: Kaeko Shabana