夕暮れに佇む、うるわしの君
憧れの人との思い出の花、菊を抱く彼女がまとうのは、燃える夕陽の光のごとく、気品あふれる真紅のドレス。イブニングウェアを再定義し、新しいセンシュアリティを表現したプラダの春夏コレクションで発表された一着だ。繊細な縁飾りを施した、フラワーモチーフのレースでボディを仕立て、ディテールまで技巧が凝らされている。見果てぬ夢と希望を胸に秘め、明日を目指して。ドレス¥726,000・ショーツ¥225,500 (ともに予定価格)/プラダ クライアントサービス(プラダ)
儚げに咲き匂う、桜を胸に
芳しい花々のようにカラフルなフリンジドレス。今季のドリス ヴァン ノッテンはインドのホーリー祭に着想を得た。胸元にはしだれ桜のブローチを。花弁形にシェイプしたピンクサファイアとダイヤモンドが煌めきを放つ。そっとあしらわれた涙を思わせる、ひと粒のパールが、静謐な美しさを引き立てる。
ドレス¥259,600/ドリス ヴァン ノッテン ブローチ〈K18WG、白蝶真珠、ダイヤモンド、サファイア〉¥8,030,000/ミキモト カスタマーズ・サービスセンター(ミキモト)
みずみずしい色と芽吹きのとき
若草のごとく生命力あふれるグリーンのミニドレス。1960年代のカルチャーを新たに解釈したディオールのランウェイより。アーティスト、アンナ・パパラッチが手がける作品「Il Gioco del Nonsense(ナンセンスのゲーム)」のカラーパレットからヒントを得ている。グラフィカルなフォルムをかなえるのは、ハリ感のあるスキューバ素材だ。淡い紫のスイートピーの冠を戴く妖精のように、自由奔放に羽ばたいて。
ドレス¥528,000/クリスチャン ディオール(ディオール)
乙女の誓いを白百合にゆだねて
イタリアのマニエリスム期を代表する画家、ポントルモの作品にインスパイアされた今季のロエベ。凜としたモノトーンの装いは、まるでピュアな白百合のような佇まい。ペプラム仕様のウエストバンドをあしらったトラウザーが、構築的なシルエットを描く。たっぷりととった布が生み出す、流れるようなドレープが、荒野を歩く体にやさしく寄り添う。
タンクトップ¥41,800・パンツ¥281,600/ロエベ ジャパン クライアントサービス(ロエベ)
静かに燃やす、反逆心
バディと秘密の作戦会議。二人の不屈の意志を映したヒヤシンスを傍らに。 (右)ギャザーを寄せ、たっぷりとしたフリルに彩られたブラウス。ブラウス¥60,500・ショートパンツ¥89,100・帽子¥55,000/イザ(パトゥ) ブーツ¥37,400/ドクターマーチン・エアウエア ジャパン(ドクターマーチン) (左)大胆なクロップド丈のセーターとシャツに反骨精神を宿して。セーター¥132,000・シャツ¥102,300・スカート¥220,000・ベルト¥63,800・アンダーウェア¥33,000・靴下¥26,400・靴¥121,000(すべて予定価格)/ミュウミュウ クライアントサービス(ミュウミュウ) 帽子¥18,700/メゾンドリリス
ひそやかに捧げる祈り
逃避行の末、出会った二人をつなぐ唯一無二の花、蘭とともに。 (右)花弁のようにたゆたうチュール素材を、クロシェ編みで仕立てたケープ。淡いブルーとグリーンのグラデーションが夢見心地。ケープ¥473,000・中に着たトップス¥66,000・スカート¥286,000/ジョルジオ アルマーニ ジャパン(ジョルジオ アルマーニ) 帽子¥27,500/tahlia store (左)ランバンの創業者、ジャンヌ・ランバンの娘・マルグリットに捧げたコレクション。柔らかなシルクのセットアップが肌を心地よく包み込む。ポップに描かれたデイジーのプリントに心を躍らせて。ブラウス¥199,100・パンツ¥162,800/コロネット(ランバン)
夢の中で咲く数々の花と、楽園を目指す
思い出を彩る花々とともに、シスターフッドの物語は続く。 (右)「ユートピアンユース」の願望をドレスメイキングで表現したメゾン マルジェラ。グログランディテールを配したチュールドレスがロマンティシズムを刺激する。ボトムにはタフなデニムショーツを合わせて。生地の風合いを変化させる技術「エソラージュ」を用い、歴史を刻んだような佇まいに。ドレス¥548,900・中に着たニット¥149,600・デニムショーツ¥60,500・帽子¥102,300・ブーツ¥511,500/マルジェラ ジャパン クライアントサービス(メゾン マルジェラ) (左)デイジーのモチーフを配したシルクのシャツ。一点ずつビーズのフリンジがあしらわれ、どこか儚げな表情。シャツ¥1,045,000・パンツ¥143,000/ヴァレンティノ インフォメーションデスク(ヴァレンティノ)
SOURCE:SPUR 2022年5月号「色鮮やかな、ひとひらに願いを込めて 2022年の花物語」 photography: Hiroko Matsubara styling: Kayo Yoshida flower arrangement: Noriyoshi Haga 〈chibi〉 hair: Kazuhiro Naka 〈KiKi.inc〉 make-up: Masayo Tsuda 〈mod’s hair〉 model: Dinara, TSUGUMI ※この特集中、以下の表記は略号になります。WG(ホワイトゴールド)