秋冬ランウェイのトレンドのひとつとして挙げられる、フレッシュなソルベカラー。そこからインスピレーションを得て、洋服と名店の涼菓をマッチング。奇妙な夢世界を旅するストーリーを紡ぐ。猛暑の今夏こそ、視覚と味覚で涼を感じたい
ペパーミントグリーン
ソルベカラーの世界へ、ようこそ。すりガラスのような繊細な質感の「すだち羹」とリンクするドレスは、フェンディの秋冬コレクションから。2000年春夏の透ける軽やかな素材使いを現代に再解釈した。胸元の深いカット、カーヴィーなラインはもちろん、ペパーミントグリーンとベージュの2色が溶け合うレイヤードも、官能性を盛り上げる。シルク素材が、心地よく肌に寄り添う。
すだち羹 / かんたんなゆめ
未知の食感と爽味へ誘う、シアーな和菓子
和菓子になじみがない人にも食べやすい、モダンなアプローチで人気の「かんたんなゆめ」。すだちの果汁とすりおろした皮を加え、寒天菓子に吉野葛を合わせた「すだち羹」は、オリジナルだ。透けるテクスチャーに、浮かび上がるペパーミントグリーンから乳白色へのグラデーションが優美。水羊羹ともまた違う、ぷるり、ムニュッとした口当たりも楽しい。みずみずしく穏やかな甘酸っぱさに、果皮の気高い香りをまとう味わいは、軽やかに、夏の心身を癒やしてくれる。
一皿¥500(7月下旬~8月下旬の喫茶メニューとして提供)/かんたんなゆめ
050-5362-1781
Instagram: @kantan.na.yume
ホワイト
雪で覆われた地面に視線を落とすと、枝に実った無数の琥珀糖が散らばっている。ひと口頰張れば、違う空間にトリップできるかもしれない。そう期待を寄せながら、バレンシアガのAラインのコートに包まれて。背部には、スプレーで「BB」の文字が描かれている。銀世界で、モデルたちが力強く闊歩した、コレクションの一着だ。
鉱物の実 / 御菓子丸okashimaru
果実の化石を思わせる、ひと枝の実
京都の和菓子作家、杉山早陽子氏が手がける甘味。枝に実った琥珀糖は、悠久の時を経て、果実が閉じ込められるように結晶化する……そんな物語を空想するほど詩的な美しさがある。季節の移ろいに合わせて変わる、柚子やレモンの果皮を混ぜ込んだ柑橘風味で、かじれば薄氷のような表面が砕け、清廉な香りが広がる。小枝は和菓子をいただくときの楊枝になることで知られる、クロモジ。箱を開けたときの、甘くすがすがしいクロモジと柑橘の香りから始まる、忘れられない食体験を。
6個入り¥1,080/御菓子丸okashimaru
https://okashimaru.stores.jp/
ベビーピンク
ピンクヘアのレディが主催する、秘密のティーパーティに招かれて。ケーキにドリンク、すべてが多様なピンクで彩られたドリーミーな空間だ。この世界線でまとうのは、既存のものから新しいものを創造することをテーマに掲げた、秋冬のミュウミュウ。ビジューによる華やかなきらめきとフラワーモチーフが、着る人を祝福するかのごとく、スパークする。
フルール ド ロッソ / メゾンジブレー
優美に咲き誇る、アイスのフラワーリース
中央林間に店舗を開くパティスリー。直径15㎝のアイスケーキは、淡いピンクのカラーパレットと、咲き誇るバラのようなフォルムに心躍る。特別な口金で一つずつ絞られた可憐な花びらのようなソルベ。ココナッツダックワーズの生地をベースに、いちご、パッションフルーツ、ココナッツ、バニラのジェラートが彩りを添える。キュンとくる甘酸っぱさに華やかなアロマも湧き立つ。お取り寄せ可能で2時間ほどの持ち歩きもできるので、ギフトやパーティの手土産にも。
¥4,320/メゾンジブレー
046-283-0296
https://givreetokyo.shop-pro.jp/
ライトパープル
パテントカーフレザーのサンダルには、可憐なデイジーが咲く。モチーフの中心には、象徴的なスパイクが。甘さのなかにひとさじの毒を潜ませて。ゴールドとライトパープルの組み合わせが新鮮なイヤリング。高貴なバラのモチーフを耳もとに飾りたい。
The Vegan Ice Cream ブルーベリーヨーグルト /8ablish
ブルーベリーの色彩弾けるヴィーガンアイス
グルテンフリー&ヴィーガンスイーツの名店。ブルーベリーヨーグルトのオリジナルヴィーガンアイスクリームは、8月中旬までの限定品だ。有機豆乳をベースに、有機ブルーベリーと植物性乳酸菌を使用した自家製ソイヨーグルトをミックス。爽やかなフレーバーで、ひんやり舌に溶かせば、まろやかな酸味とともに、デーツシロップや有機アガベシロップのコクとうまみに満ちた、やさしい甘さが口いっぱいにあふれ出す。
パイントカップ(310㎖)¥2,376・カップ(95㎖)6種6個セット¥4,860(一部のデパート、お取り寄せサイト限定フレーバー)/8ablish
03-6805-0597
https://www.8ablish.com/
レモンイエロー
黄色の空間に入ると、またたく間に体が小さくなり、突如出現した巨大なレモン羹と一緒にジャンプ。 秋冬のノワール ケイ ニノミヤのドレスは、無数のリボンを規則的に編み込んで構築した立体的なシルエット。飛び上がると同時に躍動する一着だ。
レモン羹 / 本家菊屋
すがすがしく澄みきった、和のレモンゼリー
400年以上続く奈良最古の和菓子店の涼菓が、近頃SNSで話題の的に。葛などで固めた透き通るレモンのジュレに、スライスレモンを浮かべた「レモン羹」は、きらきらと光を受けて輝く。よく冷やして、ひとさじ口に運べば、プルンとした喉越しと爽やかな香り。さっと湯通ししたフレッシュなスライスレモンは皮がシャキシャキ。噛むほどに感じるほのかな苦みと香り、そしてすっきり爽快な味わいがほてった体と心を潤してくれる。
¥330/本家菊屋
0743-52-0035
https://kikuya.co.jp/
アイスブルー
寒天菓子の中に妖精のような佇まいを投影させて。ボディコンシャスなラインと、ボリュームある裾のデザインのコントラストが美しいドレスをまとう。共鳴するブラックのラッフルスカートをのぞかせ陰影をひとさじ。パワフルさが共存する、ユベール・ド・ジバンシィが追求した実用性の高いラグジュアリーを表現。
空ノムコウ / 乃し梅本舗 佐藤屋
空のしじまを切り取る、幻想的な生姜羹
クリアな寒天菓子、錦玉に浮かぶ青のグラデーション。まるで、ロマンティックな夜空を四角く切り取ったかのよう。200年以上続く老舗和菓子店8代目の、世にも美しい発明だ。錦玉ではタブーとされる気泡をあえて取り入れ、ガラス細工のようにきらめくビジュアルに。濃淡の異なるブルーの寒天が流し込まれており、ひと棹ごとに空模様が変わるのも楽しい。大胆な見た目にして、生姜糖を思わせる味わいは懐かしくシンプル。日本茶だけでなく、紅茶や日本酒とのペアリングも至福。
(長さ15㎝)¥1,296/乃し梅本舗 佐藤屋
023-622-3108
https://satoya-matsubei.com/
目にもうれしい、幸せのソルベカラー・カタログ
Lemon Yellow
1 ビッグシルエットのニットには、同系色のネックピースで首元を華やかに。
ニットトップス¥160,650・ネックピース¥52,650(ともに参考価格)/Pred PR(メリル ロッゲ)
2 蓋には、ロマンティックなバラのモチーフが。
ラタンバッグ¥56,100/ラドロー 阪急うめだ本店(ラドロー)
3 煌めくビジューは、キャンディを連ねたかのよう。
ドロップピアス¥28,600/スワロフスキー・ジャパン(スワロフスキー・ジュエリー)
4 シャーリングを施した立体感のある佇まい。
ドレス¥83,600/YOHEI OHNO
5 ボリュームのある袖とフロントでピッチを変えてメリハリを加えた。
ダウンジャケット¥214,500/モンクレール ジャパン(モンクレール)
Baby Pink
6 甘やかなカラーでも、艶のある素材なら大人っぽい印象に。
バッグ¥26,400/フィルグ ショールーム(ハイ)
7 アッパーに、リズミカルにあしらわれたビジューに心躍らせて。
サボ¥91,300/3.1 フィリップ リム ジャパン (3.1 フィリップ リム)
8・9 オーバーサイズのジャケットには、2種類のプリーツを施し、裏地の裾部分がコットンになったスカートを。
ジャケット¥137,500・スカート¥104,500/PARAGRAPH CO.LTD.(PLAN C)
10 ビーズのベストは"乙女の鎧"。
ビーズトップス¥49,500/エドストローム オフィス(チカ キサダ)
Peppermint Green
11 官能的なカットアウトのボディコンシャスな一枚。
ニットドレス¥60,500(参考価格)/アンブッシュ® ワークショップ(アンブッシュ®)
12 ぬいぐるみがベストになったかのよう。
ベスト¥30,800/エストネーション
13 砂糖菓子を想起させるペパーミントグリーンのカラーを別注。
ドレス¥187,000/スーパー エー マーケット 青山(セシリー バンセン)
14 オーストラリア発、サステイナブルブランドのウールハット。
帽子¥48,400/ヘレンカミンスキー ギンザシックス店(ヘレンカミンスキー)
15 シルクの素材使いに、モダンなデザイン。毎日のスタイリングにも活かせそうなナイトウェア。
パジャマ(上下セット)¥92,400/THE WALL PR(チヨノ・アン)
Light Purple
16 パフスリーブとフロントの3連のリボンが、ガーリーモードを加速させる。
ブラウス¥58,300/ドゥロワー 青山店(ドゥロワー)
17 フレームだけでなく、レンズも淡いパープルをまとって。
サングラス¥18,150/GR8(ボニー クライド)
18 ロゴ入りのアイキャッチな一足。
ラバーブーツ¥69,300/イザ(パトゥ)
19 有機的なフォルムがモダン。
ピアス¥25,300/フィルグ ショールーム(ローマニン)
20 構築的な曲線を描くニット素材のロングドレス。
ドレス¥46,200/CFCL
21 ガーターベルトつきのフェティッシュな味変小物。
コルセット¥27,500/YOHEI OHNO
White
22 手を通すストラップ部分にビジューのあしらいが。幼少期のときめきを思い起こす。
クラッチバッグ¥240,900/JIMMY CHOO
23 ホイップクリームのごとく連なるラッフルで、手首をデコレーション。
カフス¥40,700/エストネーション(キャサリン オスティ)
24 胸元に、5つのリボンをリズミカルにあしらった一着。
ブラウス¥104,500/ラドローオンラインストア(ラドロー)
25・26 レトロなタートルニットとミニスカートは、"スウィンギング・ロンドン"な気分でセットで着こなして。
モヘアニット¥71,500・スカート¥50,600/エドストローム オフィス(クレージュ)
Ice Blue
27 レイヤードが楽しめるシアー素材。
ボディスーツ¥22,000/フィルグ ショールーム(シモーネ ワイルド)
28 メンズライクなオーバーサイズのシルエットをさらりと羽織って。
シャツ¥75,900/ロンハーマン(マリア マクマナス)
29 ふかふかのラムファーをカールさせたバッグは、メンズコレクションより登場。男女問わず、着こなしのアクセントに。
バッグ¥84,700/ドリス ヴァン ノッテン
30 ソフトコットンを採用し、柔らかな肌ざわりを約束。
ソックス¥4,400/スーパー エー マーケット 青山(コーギー)
31 アイシーカラーをまとった人気の「エア リフト」。白地のステッチでスウッシュロゴをかたどった。
靴¥11,550/アトモスピンク フラッグシップハラジュク(ナイキ)
32 動くたびに大胆に光を反射するミラーボールのような一着。
スカート¥357,940/エドストローム オフィス(パコ ラバンヌ)
33 透明感あふれる天然のアクアマリンをスクエアにカット。繊細なクラフトマンシップを指元に宿して。
リング¥71,500/Last Dance
SOURCE:SPUR 2022年9月号「涼菓との甘やかなファンタジー ソルベカラーの夢を見る」
photography: Hiroko Matsubara styling: Tamao Iida hair: Kiyoko Odo 〈KiKi inc.〉 make-up: UDA 〈mekashi project〉 prop styling: Shizuka Aoki model: Marco Varcoe, Victoria Schons text: chico (food) edit & text: Ayana Takeuchi